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芸人 オードリー 春日×若林 「茅ヶ崎」

今更ながらの誕生日ネタ 先日のシャン伯父収録後のヒトコマな感じで

!!ナマモノ注意!!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ん。」
唐突に目の前に差し出された手の平。
その意味するところは直ぐに察しがついたけれども
なんだか妙にムカついたので、自分の手の平で、ぱちんと叩き払った。

「なぁによぉ」
叩かれた手を振りながら、おネェ口調で文句を言うのも腹立たしい。
「なんだよ」
思いっきり睨み付けてやるとニヤリと口の端で笑う。
「2万円」
「はぁ?」
「くれるっつーたのは、アータでしょうよ」

確かに言った。言ったけれども。
「誕生日のプレゼントに現金って、どうなんだよ」
「現金が一番ありがたいじゃないですか!」
「夢が無いねぇぇ!」
思わず言葉に力がこもる。

「お前って、昔っからそうだよな。
 デリカシーとかロマンとか、欠片も無ぇんだよ」
「ひどい言われようだねぇ」
罵られながらもニヤニヤしてんのが、また腹立たしい。

「金で買えないものにこそ、価値があんだよ!」
「まぁ、そういう事もあるけどねぇ・・・」
ちょっと考え込むように、目を伏せる。

しばらく押し黙った後、おもむろに口を開いた。
「そういう意味でなら、俺はアンタが欲しいよ」
「・・・っ!」
急に真面目な顔になられて、言葉に詰まる。

「ただ、今、こんな状態ですからねぇ」
松葉杖で左足のギプスを小突きながら言う。
「アナタに、上に乗って動いてもらわないと・・・つっ!」
へらへらと恥ずかしい事を言う口を、鉄拳で黙らせる。

頬をはられて、嬉しそうにしてんじゃねぇっ!
益々腹が立ったので、もう一発手が出そうになったところを、手首を握られて止められる。
そのまま引っ張られて、俺とアイツの距離が詰まる。

キレイな両目が、優しく細まるのを間近に見て、ドキリとする。
「じゃあねぇ、『愛の言葉』を頂戴」
「え?」
「俺の事『好き』って言って?」
「なっ・・・なに言ってんだっ!このバカ!!」

掴まれていた手を振りほどきながら、まくし立てる。
「んなもん、今までだって、散々言ってんじゃねーか!ネタ中とか番組の企画とかぁ!」
「だから、ネタじゃなくて本心で。カメラの前でなく、俺にだけに、言って欲しい」
そう言って、また真面目な目で俺を見る。

この目は苦手だ。何も言い返せなくて俯いてしまう。
俯いたまま、ちらりと目をやると、相方は、じっと真剣な眼差しで俺を見つめている。
―――マジかよ・・・
追い詰められた気分で、髪の毛を掻き毟った。

「・・・ロ/ケ/ッ/ト/団の見宇羅さんがさぁ」
「はぁ??」
全く予期していなかった言葉が返ってきたからだろう、素っ頓狂な声があがった。

「見宇羅さん、知ってんだろ?」
「あ・・・あぁ、うん。山形弁の人ね」
「そうそう」
わざと目を合わせないように、壁の方を向いて喋り続ける。

「その見宇羅さんがぁ、東京の地名で、山形弁で言うと面白くなるのを探してるっつーんだわ」
「なんでまた」
「さぁ?ネタにするんじゃねぇの」
「ふ~ん、で?」
話の腰を折ったのに、律儀に俺の話に乗ってくれる。こんなところも、昔から変わらない。

「例えばさぁ『新宿』だったら『すんずく』とか」
「あぁ、なるほどね」
「それでも、そうそう面白くなりそうなのは出てこなくてさ」
「うん」
「でー、そん時は「すんません、あんま思いつかないっす」っつって別れたんだけどぉ」
「うん」
「なんか気になっちゃって、頭ん中で色々考えてみたの。
 んで、神奈川の方まで範囲を広げてみたんだけどぉ」
「鎌倉とか江ノ島とか?」
「鎌倉なんて、なんも変わんねーじゃん。多分『かぁまくらぁ』ぐらいだろ」
「はははっ!」
ちょっと顎をしゃくって、変なイントネーションで言ったのが
ツボにハマったのか、アイツが大袈裟に笑う。

少し空気が柔らかくなった。
これなら、言えるかな、と思う。
本当は、ずっと言いたかった。でも、今更だし。
言いたいけど言いたくないって歌あったなー。

視線を目の前の男に戻す。
自分が自然と笑顔になっていることに気がついた。

「ひとつ、面白いのがあってさ」
「へぇ、なに?」
「・・・茅ヶ崎」
「ちがさき・・・『つぅいがすぁき』?」
怪訝そうな顔をするヤツに、今度は俺の方から距離を詰める。
肩に手を置いて、耳元に息を吹きかけるように囁いた。

「・・・『てぃがすき』・・ティーが好き、だよ」

バタンッと大きな音を立てて、片方の松葉杖が倒れた。
体勢を崩したアイツが、慌てて立て直そうとしているのが
やけに可笑しくて、腹を抱えて大笑いする。

そんな俺を恨めしそうな目で見据える、その顔は耳まで赤い。
これで「2万はチャラな」って言ったら、どんな顔をするだろう。
想像するとまた可笑しくて、ヒャッヒャッヒャッと高らかに笑った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
文中の山形弁は適当です。山形の方、すいません。

  • スレの最後に無理矢理詰め込んだので、少し加筆・修正しました。収録人様、管理人様、いつもありがとうございます。 -- 作者? 2010-02-14 (日) 11:03:13

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