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記念日

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  邦楽ナマ注意
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  孫湖呂兄弟 佐倉伊×蔵餅
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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始まってはや数時間がたったというのに、宴会の勢いはとどまるところを知らなかった。

(今日のライブ出来、よかったもんねぇ・・・)周囲を見渡しながら佐倉伊はしみじみと思った。
出来が良くなくても反省会と称して盛り上がってきた、という事実はここではさておく。
とにかく客席の満面の笑顔を思い出に飲む酒の味は、『格別』なのである。

中座するのもはばかられるような盛り上がりの中、それでも生理現象には勝てずに
佐倉伊は部屋を抜け出した。ライブ会場近くの会場として使われているのは、小さな和風の
飲み屋で、きょうびの店にしては珍しく間仕切りが襖だ。閉めた襖の中から
ワッとひときわ大きい笑い声が聞こえ、後ろ髪を引かれる思いで階段を下る。
そんなに酒は過ぎていないはずだが、佐倉伊は狭く急な階段を慎重に足を進めた。
酔って足を滑らして骨折でもした日には、話好きの相方に針小棒大でMCで話のネタにされるのは自明の理。
無事階段を下りると、トイレの前の客室の(店は打ち上げのための貸切で、
他の客の姿もなかったのだが))小上がりに、その相方が座っていた。

うずくまっていた、というのが正しい表現かもしれない。小上がりをちょうど椅子のようにして
腰掛け、前かがみになっているのだ。
(気分でも悪いのかな?)
声をかけようと思ったがまずは自分の欲求を満たそうと、佐倉伊はトイレのドアをあけた。

(ふぅ、やれやれ)
ことを終えた佐倉伊がトイレから出てきても、蔵餅はまだそのままだった。
「陽金具さん?」
佐倉伊の声に、ようやく見せた顔は
「だ、大丈夫っ?」
声をかけたほうが動揺するほど蒼白かった。
「ちょっと・・・飲みすぎた・・・」
「水もってこようか?」
たのむ、とかすれた声を最後に、蔵餅はまた顔を伏せた。
通りがかりの店員にもらった水を渡すと、蔵餅は一口飲んで苦しげなうめき声を上げる。
「年だねぇ」
佐倉伊の遠慮ない一言を、蔵餅は、うるさいよと切って捨てた。
「一つしか違わないじゃない」
「その一つが大きいんですよ。先輩」
ふん、とそむけた顔はまだ色を失っていていて、
まだ具合が悪いのかもしれないと思った佐倉伊は、横に腰を下ろした。
「吐いちゃった方が楽なんじゃないの」
「それができたら苦労しないよ」
「勿体無いから?」
「バーカ」
オレはね、繊細なの。佐倉伊とは違って。
そんないつもの憎まれ口も、どこか精彩を欠いている。
どうやら本当に調子が悪いらしいと、マネージャーを呼びに行こうと立ち上がる佐倉伊の腕を
蔵餅がつかんだ。
「?」
いいからここにいなさいよ、と蔵餅がそっぽを向いたまま言った。
言われるがままに佐倉伊はいったんは浮かした腰を下ろす。

座ったはいいが、なんだか居心地が悪い。
口八丁手八丁な相方がだんまりを決め込んでいるせいだ。

「50周年って金婚式っていうじゃない」
「ハイ?」
「20周年ってなんていうんでしょうかねぇ・・・」
ようやく口を開いたと思ったら、何を言うかと思えば。
佐倉伊は呆れたが、酔っ払いのたわごとといなすことにする。
「さあねぇ・・・24金の半分弱だから10金かな」
「10金なんてないよ」
「じゃ、金メッキ?」
「ダサい!というかセコい!!いっそ銀のほうが立派だ」
「銀婚式は、確かもうあるよ」
「金でもなく銀でもなく・・・銅?」
「あんまりありがたくないねぇ・・・ってか、だいたい結婚何年目ってわけじゃないし、オレ達」
「同じようなもんじゃない」

いつもの調子を取り戻しつつある蔵持の軽口を聞きながら、確かに同じようなものなのかもしれない、と佐倉伊は思った。
ある意味家族より近く、心を許した存在。でも一番かっこつけたい相手。
大学で、思い出作りにでもと出演を決めたイベントの、ほんの短い間のパートナーのはずだったのに。
気づけば20年間、一緒に走り続けてきた。

「さぁて」戻りますか、と蔵餅が立ち上がった。佐倉伊も後に続いて階段を上がる。
そのまま素直に宴会場に入るかと思えば、部屋の手前でふいに立ち止まり
「ほら」
と腕が差し出される。
気持ち悪いなあ、といいつつ、でもちょっとウケるかもと思いながら腕を組んでしまう自分は、
まるでミュージシャンというより芸人じゃないかと佐倉伊は心の中で笑った。
「ウェディングマーチ、歌っとく?」
「・・・・アナタもノリノリだね」
言い出したのはアンタでしょ、と佐倉伊が言いかけた瞬間、勢いよく蔵餅が襖を開ける。
「ちょ、まだ準備が」
「皆様、新郎新婦の入場です。盛大な拍手でお迎え下さーい!!」
蔵餅の大声に気圧されたのか。なぜか沸き起こった拍手の中へと、二人は足を踏み出した。

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 | | □ STOP.       | |
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ナンバリング間違えました。。。スミマセン。

弐十周年めでたくてついつい書いちゃいました。
ツンデレ唄最強です。 なにげに先輩後輩な関係も萌え。

  • 禿げ萌えました…ありがとうございました… -- 2016-04-16 (土) 19:42:38

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