Funny Bunny
更新日: 2012-01-08 (日) 20:27:29
ナマ。馬尺伝の某大学。作者が壱区スキーの為悪しからず。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「意外にキレイな造りなんだよね」
「・・・は?」
隣からマジマジと大きな瞳が華やかな顔で覗き込んできて言うから、半ば嫌みかと思ったくらいだった。
でもどうやら本気だったらしく、うんうん、と一人で頷いてまた元の位置に戻る。
「鼻筋とか唇とかさ、すっきりしてて、うん」
「・・そうデスカ」
「そうそう、今や二年の人気TOP3に入ってるって、マジに」
時刻はお昼を過ぎて、午前の試験だけを受けて合宿所に戻る列車内。
冬の穏やかな陽の光が溢れてキラキラしていた。
珍しく空いてる車両は、半分くらいのロングシートが埋まってるのみ。
はっきり言って眠い。
・・けど、適当に聞き流してた、隣で勝手に話してるヤツの言葉が引っかかった。
一位は言わなくてもわかる。日本中に名前と顔を知られているうちのエース。
で、ホントかわかんないけど、自分が入るとして。
「残り一人って・・・」
「ハーイ」
ニッコリと自ら手を挙げる姿にため息を吐いて、脇腹を小突いてやった。
「でも実績がイマイチ伴わないんだよなー」
「そうか?伊豆藻では・・・」
「でも、筺音、走れなかった。都道府県もグダグダだったし」
ふう、とため息が聞こえる。そのまま少し沈黙。
少しだけ勝ってるけどほぼ同じ高さの目線の隣。二人で並んで流れる景色を見てる。
タタン、タタンと緩やかな列車の聞き慣れた音とリズム。
「・・・調子合わせるのは難しいよ、未だに俺も失敗する」
「調子悪くても走っちゃうヒトもいるけどね」
「アイツは特別。・・・今のところ」
去年から、あの光に引っ張られるように、みんなが力を付けているのがわかる。
・・自分は。
特別だけど、特別じゃなく。背中を追いかけるだけじゃなく。
その前を、あの瞳が見ているものを見たい、そんな瞬間が幾度もあって。
・・でもまだこの位置にいる。
「16ビートなんだよね」
「・・・は?」
また何か言い出してるから、その横顔を伺い見た。
「そう言ってた。走る、リズムが。で、オレも伊豆藻はずっと頭の中そうだった気がする、好きな曲ずっと流れてるカンジ」
「・・へえ」
腕を振る仕草。脚を運ぶタイミングを思い浮かべる。
「今は駄目なんだ、流れない。キザシ?はあるんだけどね・・・ってアレ?」
急行列車が駅に止まる。乗り換えの客がぱらぱらと降りて、代わりに乗り込む数人の中に。
「おー、山券たちじゃん。今帰り?テスト終わった?」
「なんでココから乗ってくんの?」
見慣れた凸凹コンビが手を振りながらこっちに寄ってきた。
「やー、たまには埼京線にしよっかってコイツが言ってさ」
ニコニコと潔く髪を短くした長身が頭一つ分低い隣を指さす。
「オマエだろ!」
「そんなに時間変わらないよね?乗り換えあるけど。今度大学行くときも使ってみよっか」
「・・なあ、リョーヘー、オレの話聞いてる?」
「いつも仲良いねー」
「良くない」
「え?良いよ?」
三人のいつものこの空気と会話を聞き流しながら、ぼうっと窓の外を見ていて。
「あ」
橋を渡った列車がスピードを緩め始める。
見慣れた景色、桜の木々の向こう、練習場のトラックの赤茶色。一瞬で過ぎていって。
「・・誰かもう走ってる」
「え」
「ジョグ?」
「誰?」
三人一緒に振り返るから、練習が好きなんだな、と思わず吹き出した。
駅を出て少し。すぐ工学部キャンパスとグラウンドが見えてくる。
心なしかみんな早足になってる。
走っていたのが誰か、予感があるから。
「なあ、16ビート・・ってどんな?」
「うーん、織田原から葦乃湖まで走ってるあのリズムが近いかなー」
「・・・区間新だろ、それ」
「そうなんだよねえ。でもさ、16ビートでもいろんな曲があるから」
きゅ、とシューズの紐を結び前を向く。
風の音と、地面を叩くシューズの、あの音。アイツにたくさんの同じ音が混じってまたひとつの大きな流れになる。
それは多分俺たちが一番よく知ってるリズム、なんだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ネ申童←2年生ズな感じです。前回レスくれた方々ありがとうございました!!
激しくナンバリングミス、ごめんなさいです…
- 駅伝 -- 2012-01-08 (日) 20:27:28
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