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釣り合う事の無い天秤2

一角獣
太鼓鍵盤+太鼓←唄。友情以上愛情未満で唄←鍵盤っぽい
太鼓鍵盤のエロありです

前回の続きです

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ある日の打ち上げ。居酒屋のトイレに行くと彼がいた……気まずい、あの日以来俺は避け続けていたから……余計に気まずい。酒に濁った目で俺を見ている彼は口許を歪めた。
「……なあ」
肩に手を置かれた、と思った瞬間に、個室に連れ込まれる。
「ち、ちょ」
「俺の事好きなんでしょ?」
ビクッと身体が震えた。後ろから抱きしめられて耳元で囁かれる。軟骨に舌が這い、耳たぶを甘噛みされて、舌が耳の穴に入り込む。
「ん、くっ」
必死に声を堪える。
「身体は素直なのにね……何で口は素直にならないの?」
ベルトを外される音に青くなった。身体を反転させられて向かい合わせにされる。
「今日は身体に最後まで聞く事にしたよ」
彼は歪んだ笑いを漏らして、俺の下着ごと引き下ろした。ひっ!と息を飲んだ俺を見て笑う。
「なに?恐いの?……なんで」
恐いのかな?彼はそう言って俺のを口に含んだ。
「ひゃ!……んっう」
飴を嘗めるように俺のを舐める彼の頭を、引き離すつもりだったのに……手に力は入らない。
「やっ……ぁ」

彼は上目使いで俺を見てニヤリと口許を歪めた。口を離した彼はガチガチなった俺のを指で軽く弾く。
「んっ、くぅ」
「抜けよっか、二人で」
逆らえない雰囲気に頷いた俺に彼は、やっと楽しそうに笑う。
「さあさあ、こっそり抜けるよ」
裏口から出て歩く。腕を引っ張られて、よろけながら俺は歩いた。
「ホテルにする?それとも俺の部屋がいい?」
「……どっちでもいいよ」
最後までされる……されたら……俺は……
「なに考えてんの?」
いきなり目の前に彼の顔が。
「えっ……わっ!」
キスされて抱き寄せられる。
「好きだよ」
ビクッと身体を震わせた俺に彼は笑う。
「口には聞かないから、俺……もうね、素直な気持ちは……身体に聞くよ」
そういって彼は俺をタクシーに押し込み、住所を告げる。……逃げるなら、逃げだすなら今しかない。
「逃げられないよ、逃がさない」
耳元で囁かれて力が抜けた……全部を見透かされていて、少しずつ追い込まれていく、そんな考えにふと取り付かれた。

結局場所は、彼の部屋になった。彼は笑顔で玄関を開ける。
「はい、どうぞ」
「あ、はい……おじゃまします……」
躊躇いがちに上がろうとする俺を、部屋に押し込む勢いで彼は背中を押した。
「わっ!」
バランスを崩した俺を後ろから抱きしめにかかる彼。
「捕まえた」
うなじに鼻先を埋められ、おまけにうなじにキスを一つされる。
「っ、ん」
少し声の出た俺に気を良くしたのか、彼はそのままうなじを舌で舐め上げ、首筋にキスマークを残す。もつれるように部屋に上がり、リビングの床に押し倒された。
「さて、身体に聞くからね」
どこか影のある笑顔で彼は言い、俺の服を脱がせ自分も脱いだ。……なんで抵抗しないんだ、俺は。考えてる事と、行動が一致しない自分に気付きながらも、どうにも出来ない自分がいる。身体と心は彼を受け入れていて、理性だけで抵抗しているんだろうか?
…………もし、アイツのためって言葉が……自分が彼を受け入れない言い訳でしか無かったとしたら……?

小さく身体が震えた。

彼が俺の身体をまた抱き上げた。
「床はないよね、さすがにさ」
彼は笑いながら寝室まで俺を運ぶ。そういえば、と彼が切り出した。
「なんで避けてたの?」
……聞くの?理由を…………。顔を見ると真剣な表情の彼が俺を見ている。目を反らすと彼は小さなため息を一つついた。
「ほんとに全部身体に聞かなきゃ、駄目みたいだねえ」
彼の言葉に俺は一応の理由を教える。
「……恥ずかしかったんだよ」
……本当は違う。いや、全くの嘘ではないけど……ちょっと違う。拒んだ癖に俺は彼の事が好きで……本当に…………大好きで、それが態度に出るのが怖かった。
普段の態度に出てしまえば……きっと彼は……どんな手を使っても言わせようとする……駄目だ、それだけは駄目なんだ、絶対に。
「ふーん」
彼は呟いて、俺をベッドに寝かせ上から覆いかぶさる。彼の顔を真正面から見ると無表情で俺を見下ろしていた。口許だけが動いて言葉を紡いだ。
「俺は、アンタしか見てないよ……アンタの心が……誰のモノであってもね」

…………え……?俺の心は彼のものだ。彼はアイツの名前を言い、俺にとって恐ろしい事を囁く。
「アンタの心、奪い取るから」
違う!言葉が喉元まで出てきて一旦は止まった。違う、ちがう……ち……が……う……。思考回路が混乱し、全てを暴露してしまいたい衝動に駆られる。
そして、その衝動は俺の理性を、心を暴走させた。
「違う!隣にいていいのは、隣にいるべきなのは俺じゃない!」
涙が溢れて止まらなくなる。一度関を切って溢れた感情に押し流されて、もうどうにもならない。
「俺だって、俺だって隣にいたいよ!でも、でも、隣にいていいのは違うんだ!」
声を荒げ泣き叫ぶ俺に、圧倒されたように彼は動かなかった。
「俺だって……おれだって」
アイツの顔が一瞬浮かんで、直ぐに感情の嵐に飲み込まれて消える。
その瞬間、俺の今までしてきた努力は全て無駄になった。
「好きだよ!」
好きなんだよ!好きだよ!……何回も叫んだ、泣きながら叫ぶ。
彼の顔が歪んだ、苦しそうな顔、やっと何かに気づいた顔……。でも、もう遅い。

彼は泣いている俺の顔を苦しそうな表情で見ている。見られる事が苦痛で顔を背けた。
「……ごめん」
彼が謝った声は沈鬱で、取り返しがつかない事を悟っているように聞こえる。少し冷静になった俺は彼の頬に指を這わす。
「…………辛そうにしないで……俺も……辛くなるから」
好き、と伝えてしまった想い……少し冷静になった瞬間に浮かんだアイツの顔…………微かな怒りと、複雑すぎて解けない感情。
「ごめん……アンタの事、俺は何も解ってなかったんだね」
彼は俺の上からのけて、俺の横に寝転ぶ。俺は彼に背中を向けて丸くなった。彼の手が俺を抱きしめようとする。
一瞬払いのけようとして思い留まった。背後から伸びてきた手は優しく俺を包んでくれる。
「俺はね……」
彼に全てを告げた。伝えなくてはいけない、そう感じた。俺の中で感情、理性、全てのものを咀嚼しながら、ゆっくり時間をかけて話す。話し終わる頃、彼は俺をきつく抱きしめていた。
「……俺はね、残酷かもしれないけど……アンタしか見えてない」

彼が口を開く。
「でも……俺、アンタを好き、なんて言う資格……無いね……アンタの……俺にとって……都合いいとこしか……見てこなかった」
辛そうな顔をしているのが想像出来そうな声色。苦しげに彼はため息をついた。俺は、俺を抱きしめている彼の手に自分の手を重ねる。
「…………ごめん」
彼は辛そうに謝り、手を離そうとした。俺はその手を一瞬つかみすぐに離す。
「俺の方こそ……ごめん」
俺の声に彼は辛そうに笑う。
「あやまんないの」
彼の優しい声にちょっと泣きそうになった。
「……戻んなきゃ」
携帯が鳴り続けている。……戻れば……いや、この部屋から出たら……二度とこんな時間はもてない。もっちゃいけない。
「……戻りたくない」
彼の少し強い声。沈黙の中、また携帯がなる。俺が携帯に手を伸ばすと、彼の手が上に重なって止められた。
「取らないで……今だけでいいから」
彼の声が耳元で聞こえる。苦しそうな声……。
「少しの時間でいいから……俺に下さい」

彼の声に俺は逆らえなかった。言葉も無く身体を反転させて、俺は彼の腕の中にすっぽりおさまって目を閉じる。彼は、俺の名前を呟き抱きしめた。堪えきれなかったんだろうか、彼の声が聞こえる。
「好きだよ……」
俺は声を出さずに、腕を伸ばして彼を抱きしめかえした。口には出さない想い、二度と言わない。……俺にとってアイツも彼も大切な人。アイツが辛そうなのは……やっぱり見たくない。
俺が出来るのは…………彼を諦める事……だけだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

続きが浮かんだので書いてみた
お目汚し失礼しました

  • 切なくて非常に萌えました。 -- 2014-04-09 (水) 21:55:02
  • 太鼓様が男前で鍵盤さんがかわいらしくて、この二人の幸せなシーンも見たくなりました。作者様の描写が好きです、 -- 2014-04-09 (水) 21:57:07

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