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医者の不養生

量間×先生ですよ。
携帯からですいません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

サアサアと細かな音で降り続ける雨は、もう一週間も続いていた。
そのせいでいきなり下がった気温にやられたのか、それとも常日頃からの疲れのせいか、南方は二日前から床に臥せっている。

ケンケン、と乾いた咳が出て、酷く喉が痛む。
肺炎にならなければいいが……などとどこか他人事のように思った。
静かすぎる部屋になんとなく居心地が悪くなる。
なにくれとなく世話を焼いてくれる咲も今は家の用事をしていていないから、話し相手もない。

無理矢理にでも寝てしまおう、と目をつぶったとき、離れた所から響いてくる足音に気を引かれた。
橘の家の女性たちは決して足音を響かせながら歩くなんて真似はしない。恭太郎も然り。
誰だろうと考えを巡らせているとその足音は南方の寝る部屋の前で止まった。

「せんせぇ、起きとうか?」

その声ですぐに誰かが分かった。

「起きてますよ、量間さん。どうぞ」

す、と無遠慮に、しかし音は無く開かれた障子の向こうには量間が枝豆を持って立っていた。
南方の顔を見てにかり、と笑う。

「おお、随分顔色も良うなったようじゃのぅ」
「おかげ様で」

身体を起こそうとすると量間はそれを仕草で制して、自身は皆肩の横に胡坐をかいた。
そして先殿がみえんかったきそのまま持ってきてしもうた、と枝豆を掲げてみせる。

「しっかし、医者が感昌にやられるとはまっこと情けないぜよ」

ハハハ、と大声で笑いつつその手は皆肩の額に当てられている。
熱を測っているのだろう。
外を歩いてきたからか、ひんやりとしたそれが気持ち良くて誘われるように目を閉じた。
途端に量間の手が離れていってしまう。

「どうしたんですか?」
「……無自覚っちゅうんは怖いのぉ」
「?」
「そういうんがあかんのぜよ」

首を傾げれば、量間は苦笑した。
再び手が伸びてきて今度は髪を梳くように動く。
やはり気持ちが良くて目を閉じた。

「無防備やき、いかんのじゃ」

ちゅ、と軽い音を立てて唇を吸われる。
舌でなぞられて、擽ったさに開けば深く噛み付くようにされて、舌をゆるゆると絡められた。

「ちょ、量間さ……」
「なんじゃ」
「な、何して、」
「なにをて、きっすじゃ」
「きっ……」

再び口を塞がれて、のしかかるようにしている量間の肩を必死に押すがびくともしない。
そのまま吸われ続けて、ぐったりしたところでやっと解放された。
何をするんですか、と問い質したくとも舌がうまく回らずできない。
量間がまた髪を何度も撫でる。
まるで幼子にするような手つきに安心して、睡魔が襲ってきた。

「今日はこのぐらいにしとくけんど、次はどうなるか知らんぜよ」

眠りに落ちる寸前にそんなことを言われた気がするが、どういうことかももう考えられず素直に意識を手放した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

量間に「きっす」って言って欲しかっただけなんだ。


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