紳士というのは鼻が利く
更新日: 2011-04-25 (月) 09:06:03
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| 妄想のままに初投稿してみるよ
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黒服組織妄想
「犬と紳士」編の後日談を妄想
シュバイン→ロン毛←ウィルバー
「失礼します」
薄暗い部屋の中に、黒づくめの男が入ってくる。
裾の短いハイネック、ローライズのパンツ、長髪。
「ローライズ・ロンリー・ロン毛」
呼んだのは、部屋の奥、壁全体を覆う巨大な水槽を背に執務机に就く中年の男だ。
シュバイン、黒服組織の幹部。ここは組織のアジトである。
「先ほどの要領を得ない報告、補足しろ」
自分の正面に立つ男に、シュバインは単刀直入に命じた。
「勝手な行動、再三、申し訳ないっス。まぁ簡潔に言うと――」
ローライズ・ロンリー・ロン毛はぺこりと頭を下げ、説明を始めた。
先日、ローライズ・ロンリー・ロン毛は直属の上司・ウィルバーと共に、組織の追うRD-1を手に入れようと、RD-1を持つ日野家の長男を誘拐した。しかしウィルバーは「こちらが一方的に要求を通すのは紳士的ではない」と、日野家の次男(これがどう見ても犬なのだが喋る)とチェスをし、負けたら大人しく引き下がることにした。実はこの上司は、チェスでまだ一度も勝利したことがない。RD-1奪取というのは建前で、本当は自分より弱そうな相手をチェスで負かすことが目的だった、と言っても過言ではないだろう。
誘拐しチェスを仕掛けるまでは順調だったし、戦局もこちらの方が優位だった。しかし結局は引き分けになり、「こちらが勝てなければ諦める」という言葉の通り、上司は紳士的に日野家から退却したのだった(長男は後ほど速やかに解放した)。
――という旨の報告は、帰還して早々呼びつけられた時に、ウィルバーが説明した。が、ドラマチックなまでに紳士的に脚色し誇張した語り口では、文字通り要領を得なかったシュバインに、紳士組としては一度解放されながらも、ローライズ・ロンリー・ロン毛だけが再度呼び出されたのだ。
ローライズ・ロンリー・ロン毛の、脚色と誇張を省いた簡素な報告が終わった。
「……そうか、まぁそんなところだろうとは思っていた。分かっていると思うが、任務外の行動だから経費は出ない。面白半分で行動するなと、お前からも再度言っておけ。反省文は5枚、明日までに出すように」
てきぱきと言い捨てると、シュバインは煙草に火を点けた。
ローライズ・ロンリー・ロン毛は、なんとなく帰ることも出来ず、立っている。
椅子の背にもたれ、ふーっと煙を吐いたシュバインは、ローライズ・ロンリー・ロン毛を見るともなしに眺めながら問うた。
「……お前、なんでウィルバーに従っている?」
それは上から命じられたから…と言いかけ、ローライズ・ロンリー・ロン毛は思い至る。
ウィルバーは上司として、否、大人としてダメな部類の人間だ。自分ではほとんど何も出来ない。なのに言うことは一丁前で、無謀なことを大真面目で実行したがる。
そんなダメ上司の部下であるローライズ・ロンリー・ロン毛自身は、割と有能な人物である。事務仕事なら大方できるし、報告書・始末書他の書類のコツも分かってきた。体術もそれなり、機械の手入れ・操縦にも慣れているし、美味しい紅茶も淹れられる。それもこれも“紳士”の気まぐれに振り回され、目的達成のため尽力し、後始末をしてきた賜物である。
何度となく紳士組の任務活動を見てきたシュバインは、恐らくそのことに気付いているのだ。故に、ローライズ・ロンリー・ロン毛がなぜ無能な上司の下で働くことに甘んじているのか、ということを問うているのだろう。
ローライズ・ロンリー・ロン毛は少し思案し、答えた。
「確かに、ウィルバーさんは仕事ダメっスけど……なんか、ついてきたくなるんスよ」
実際、紳士組としてウィルバーと組み始めた頃は、こんなにダメな人間が上司なのかと呆れていた。しかし、仕事を共にし、任務外の大半も一緒に過ごすうちに、ローライズ・ロンリー・ロン毛はウィルバーを理解していった。ウィルバーは仕事こそ出来ないが、成程“紳士”を名乗るだけあって、常に温和で誠実、自らの信念を曲げない生き方をしている。身辺のほぼ全ての世話を言いつけられるのは少々煩わしいが、生来世話好きだったらしいローライズ・ロンリー・ロン毛にはそれ程苦にはならなかった。それに、立身出世にあまり興味がなく野心も持たないローライズ・ロンリー・ロン毛にとって、「ダメ上司の世話をする部下」のポジションは中々に良いものだったのだ。
すっきりと優しい笑顔でそう答えたローライズ・ロンリー・ロン毛を見て、シュバインは苦笑いをし、呟いた。
「は…ウィルバーが羨ましいな。――俺もお前が欲しいよ」
ローライズ・ロンリー・ロン毛は固まった。いつも眠たそうな二重瞼はこれでもかと大きく見開かれている。驚きすぎて「何スって!?」と聞き返すこともできなかった。
呆然とするローライズ・ロンリー・ロン毛に、シュバインが今度は「ははは」と笑う。
「いや、変な意味にとるな。ここんとこ、色々あってな。野心が無いのは困るが、部下がみんなお前みたいだったらな、とか、思ったんだよ」
それは、いつもの隙のない姿とは違うシュバインの貌だった。なぜ下っ端の自分に気を許すのか分からなかったが、エリート組などよりも、自分のような箸にも棒にもかからない雑魚の方が案外気楽なのかもしれない、とローライズ・ロンリー・ロン毛は納得することにした。
シュバインは未だ、クックッと笑いながら煙草を吸っている。その表情は子どものように無邪気だが、しかし疲れや憂いも含んでいるように見えた。
なんとなく…ローライズ・ロンリー・ロン毛の世話心が疼いた。
「シュバインさん、疲れてるんスね。……いつもお仕事、お疲れ様っス」
執務机を回り込んだローライズ・ロンリー・ロン毛は、そう言いながらシュバインの頭を抱えるように腕をまわし、ぽんぽんと撫ぜた。こんどはシュバインが目を丸くした。
広い執務室に、背後の水槽でアロワナが泳ぐ影が揺らめく。2人はしばらくそのままだった。
火がフィルターに近くなった煙草を灰皿に捨てたシュバインが、口を開く。
「本気で、お前に辞令出すの考えてみるかな……」
「シュバインさん結構タバコくさいんで出来ればやめて下さい」
「ウィルバーは吸わないのか」
「あの人は葉巻の匂いっスよ。吸えないから持ってるだけっスけど」
「ふっ、そうか…」
もういい、反省文忘れるなよ。そう言われたので、ローライズ・ロンリー・ロン毛は失礼しますと部屋を後にした。
ローライズ・ロンリー・ロン毛が紳士組に割り当てられた部屋に戻ると、ウィルバーが紅茶を片手に出迎えた。
「おかえり、ローライズ・ロンリー・ロン毛」
「あ、ただいま戻りました…スンマセン、起きたんスねウィルバーさん」
「あぁ、ついさっきだよ。トイレにでも行っていたのかい?」
「あ、まぁ…」
ローライズ・ロンリー・ロン毛がシュバインに呼び出された時、ウィルバーは「紳士の嗜み」とオペラを聴きながらすやすやと寝ていた。シュバインがウィルバーを飛び越えてローライズ・ロンリー・ロン毛に指示を出すことはよくあるのだが(その方が仕事が確実なのである)、あからさまに「シュバインさんに呼び出されたっス」と言うとウィルバーは少し不機嫌になるので、ローライズ・ロンリー・ロン毛はソファに座るウィルバーにタオルケットをかけ、そっと部屋を出てきたのだった。ちなみに紅茶は、朝ポットに作り置きしておいたものである。
どうやら、ウィルバーはシュバインから呼び出しがあったことに気付いてはいないようだ。ローライズ・ロンリー・ロン毛はほっと息をつき、ウィルバーの座るソファの近くに立った。
すると、やにわにウィルバーに腕を取られ、ソファに引っ張られた。突然のことに反応が追い付かず、ローライズ・ロンリー・ロン毛は、ウィルバーの脚を跨いで向かい合わせに座り込んだ。
ウィルバーは、ローライズ・ロンリー・ロン毛を抱きしめ、肩にかかる黒髪に顔をうずめる。
「あ、のー…ウィルバーさん…?」
やんわりと言葉で抗議してみるが、ウィルバーはすんすんと鼻を鳴らすだけで、ローライズ・ロンリー・ロン毛を離す気配は無い。ローライズ・ロンリー・ロン毛は観念して、ウィルバーの気の済むに任せることにした。
「(たまーに、こうやって甘えるんだよなぁ…)」
上司と部下の関係に慣れ、日常生活もほぼ共にするようになってから、ウィルバーはローライズ・ロンリー・ロン毛に触ったり、凭れたり、抱きついたりするようになった。ローライズ・ロンリー・ロン毛は「ここまでダメな大人だったか」と少し驚いたが、自分より年齢も地位も(一応)上の男の甘えが、微笑ましく、また嬉しくもあった。
抱きしめられるまま、肩口に顎を預けそんなことを考えていると、ウィルバーの体から漂う香りが鼻についた。
これは――
「ウィルバーさん、葉巻吸いました?」
この男がいつも持ち歩く「吸われることのない葉巻」。香りが強いその葉巻は、カットせずともいつも仄かに芳しく香りを放っている。その香りが、今は一段と強い。体をくっつけているからだけではないようなのだ。
「なに、たまには味わわないと、葉巻に申し訳が無いと思ったのだよ」
そう答えるウィルバーの声は、やはり吸い方を覚えないのだろう、少し喉に引っ掛かっているようだった。ウィルバーが葉巻を味わうところを2、3度見たことがあるが、いつもげほげほと涙目になるほどむせて、必ず「もう葉巻は吸わない!」と拗ねるのだ。なぜ、また吸おうなどと考えたのだろうか。
まぁ、いいか。どうせ気まぐれに吸ってみただけなのだから。
漠然と思索するローライズ・ロンリー・ロン毛を抱きながらウィルバーは、やはりもっと匂いの強い葉巻を探そうか、と考えていた。執務室から帰ってきた部下の体に纏わりつく、煙草の匂いに負けないように。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ジブンノニオイニハキヅカナイ
| | | | ピッ (・∀・ )
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辻褄が合うように無理矢理直してみた
とりあえず紳士組は2人でキャッキャウフフしていればいいよ
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