羽衣龍景
更新日: 2011-04-25 (月) 23:48:10
一日に二度も投下する自分は黒米稲荷を喉に詰まらせて死ぬといい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
腕の中の皆肩が切なく浅い息を漏らす。
重なった体の律動の内に、時折びくんと背を跳ねさせる。
「っ、あ…!」
そんな時は大抵、慌てて手の甲や指を噛んで堪えようとするから、量間はその手を抑え、口腔内に自らの指を差し入れた。
「りょ…ま…さ…ぅ」
「指、噛んだらいかんぜよ。先生の手ェは沢山の人を助ける、大切の手ェじゃきに…」
愛おしそうに囁く男の低い声が耳朶をくすぐる。
またぞくぞくと疼くものが身の内を駆け上がって、皆肩は甘く鼻を鳴らした。
「んん…んぅ…」
「えいがか、先生」
量間が緩く体を揺すり上げる。皆肩は頭を振って、少しでも体と頭の熱をやり過ごそうとする。
「そういうのを、土佐ではいごっそう、言うがじゃ」
逃げようとしたが更に強く腕の中にとじこめられ、もっと深くまで暴かれた。
「あ…ああ…あっ」
声を殺そうと思うのに、息をする度に嗚咽が止まらない。
体中の力が抜けて、腕がもう上体を支えていられないのに、腰ばかり高く突きだしてしまう様だった。
「もっと、欲しいがか、先生」
男の声は誰よりも優しいのに、言葉は悪魔よりも意地悪だ。
ふるふると首を振っても許して貰えず、また耳の奥に熱い息を吹き込まれる。
「先生?」
「ぅあ…」
欲しい。
強く。
もっと奥まで。
欲望はとても言葉には出来ない。皆肩は唇に含んだ男の指を、そろりと舐めあげた。
「ん…ふぅ…」
「先生」
量間はふっと笑うと、皆肩の体をくるんと反転させた。
突然、涙に濡れた顔を晒されて、同時に精悍な男の顔を目の当たりにして、皆肩は激しく動揺する。
「あ…!」
「可愛いのう」
じたばたと逃げる余裕も、顔を隠す余裕もなかった。
それからはただ量間にすがりついて、嵐に翻弄される小舟の様に押し流されるばかりだった。
「ちっくと、きつかったかのう。先生」
翌朝。
なかなか布団から出て来ようとしない皆肩を、量間があちこちから覗きこもうとしていた。
皆肩はみの虫の様になってちっとも顔を見せない。布団の片側をめくってみても、くるんと背を向けてしまう。まるで拗ねた子供の様だ。
「儂ゃあ先生が可愛い声でせがんでくれるのが嬉しゅうてのう。先生が儂を欲しがると、まっこと必要とされてるっちゅうか…先生にも人並みの欲があるっちゅう事がわかって、ホッとするんじゃ」
せがんでない、欲しがってなんかない。
皆肩は布団の中で顔を真っ赤にして、ぶるぶると首を振る。
「じゃけんど、ずびこんでしもたんは、心配での。先生、ちくと顔を見せてくれんか」
なっ。量間が拝む様にパンと手を合わせる。
それにほだされたわけではないが…皆肩はあることに興味をかられて、布団からそっと顔を出した。
「量間さん…」
「おうの」
「ずびこんで、って何ですか?」
土佐の方言だろうか、それともこの時代特有の言葉だろうか。
薩摩や長州の言葉は、標準語に慣れた皆肩にとっては半分も理解出来ない時がある。
医師として、患者の訴えが理解できない様では診察に関わる。
量間の言葉がわからなければ、いつか、深刻な状況の時に量間の状態を理解出来なくなるかも知れない。
「ずびこむ言うんは…あれだ、先生の狭いところに無理矢理せちこんで、こう…」
「わーわーわーわー! もういいです! もう言わないで!」
「せちこむ言うんは、きっついところに儂のがグーッと…」
「量間さんのバカ! 量間さんのバカ!」
皆肩はまた布団にもぐりこむと、耳を塞いでひたすら身を固くした。
量間は布団の上から皆肩の体に覆い被さり、
「起きんがじゃ、もっと言うぜよ。先生は昨日、泣きながら儂にすがりついて…」
「起きますよ! 起きますから!」
半泣きで叫ぶ皆肩の耳が、赤く染まっている。
天人、仏、皆肩大明神とまで言われたこの男の、こんな子供っぽい可愛らしい姿を知るのは自分だけに違いない。
(仏罰が下る…か?)
それでもこの男を人の子として側に置いておきたいのだ。
天に返すなんて、まっぴら御免なのだ。
泣かせても、いじめても、人間にしておきたい…。
(悪い男につかまったのう、皆肩先生)
量間はうっそりと笑って、血で染まったやわらかな耳にそっと唇を寄せた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- センセかわい。次作待ってます -- 2009-11-29 (日) 18:28:03
- しぇんしえかわいいがじゃ 土佐弁すごい -- 2011-04-25 (月) 23:48:07
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