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棋士の山崎→羽生?

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                     |  マイナーですが、本スレの声に本気になってしまった馬鹿もんです。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  将/棋棋/士の山崎→羽生?っぽく。ヘタレ攻めと天然受けっぽいかもです。生なので御注意下さい。
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これは…

その眼鏡の存在に誰よりも早く気付いたのは、山崎だった。
棋士しか立ち入ることの出来ない休憩室の中央を陣取る
テーブルの上にそれは置いてあった。
どうやら、誰か忘れ物の様だ。
だが、本日は、此処、東京将/棋会館は、タイトル戦の解説会場となっている為、
棋士の出入りが激しいのだ。
となると、益々、この眼鏡が誰のものかが分からない。
何せ、棋士の眼鏡率はかなり高い。
山崎自身も掛けているし、頭の中に浮かぶ先輩、後輩、同期の顔の多くにも
眼鏡はその存在の一部かの様に掛かっていた。

どうしたものかと、取り敢えず手に取って見る。
だが、特にブランドものという感じではない。
言ってしまえば、それは余りにも有り触れた形だった。
こうなれば最早、持ち主に全く見当が付かない。

誰彼と気兼ねなく話し掛けられるかと言われるとそうでもない。
仕方がなく、事務室の方へと届け出ることにした。

……でも、普通忘れるもの?

少なくとも、伊達眼鏡でもなければ、何処其処に眼鏡を忘れるということはないだろう。
視界が悪いことで直ぐに気付く筈なのでは。
そう思うと、届け出ている間に持ち主が慌てて帰ってくる可能性も捨てきれない。
再び、眼鏡を手に考え込む。
どうにも考え込むことは苦手だ。将棋以外で。

…って、此処で考え込んでること自体、おかしいぞ。

山崎は休憩室のドアを閉じた。
それと同時に、山崎の立っている休憩室のドアの
十数メートル先の辺りに誰かが立っていることに気付いた。

……あ…

直ぐに。本当に直ぐに分かった。
前人未到の七冠を達成し、それから十年以上経った今尚、トップを走り続けている男。
スーツ姿の羽生だった。

しかも、眼鏡を掛けていない。持ち主は、あっさりと判明した。
今回のタイトル戦には絡んでいなかった羽生は解説会のゲストとして呼ばれていた。
山崎もそのことを知り、自身も絡んでいなかったにも関わらずやってきたのだ。

その羽生が、きょろきょろと辺りを見回していた。
眼鏡を探しているというよりは、視界の悪さに軽く立ち眩んでいるかの様に見えた。
届けないと、そう思い声を掛けようとしたが、ふと思い止まる。

ちょっとした好奇心が湧いたのだ。
いつも盤面で対峙している時には、あの様な羽生を見ることはない。
焦りさえも中々表情に出さず、鬼神と言われる程の強さにいつも圧倒されてしまう。
自分は自分で必死に対局を有利に進めようと必死で、
視線の先はいつも盤面ばかりで、滅多に羽生相手には向けられないのだ。

その羽生が、軽く首を傾げ、ゆっくりと右腕を持ち上げた。
そして、人差指の横を軽く唇に挟み込んだ。

「……っ」

それは、良く見る仕草だった。羽生の癖なのだろう。
考え込む時の仕草だ。
だが、その良く見る仕草に、思わず息を飲んだ。
一瞬、色っぽさを感じてしまった自分に驚いたからだ。

…な、何を考えてっ…

今考えたこと全てを振り払うかの様に、慌てて頭を左右に振って、声を上げた。

「あのっ!眼鏡、此処です!」

「!」

その声にハッと顔を上げた羽生と目が合った。
それでも、その眉間には皴が刻まれていた。恐らく、ちゃんと見えていないのだろう。
だが、声から相手が山崎であることに気付いたらしい。
羽生が軽く会釈をしてきた。

相変わらず、先輩後輩関わらず礼儀正しい人だと心の中で思いながら、山崎は歩きだす。
すると、羽生も此方へと歩き始めた。

一歩一歩、不思議なことに誰もいない廊下に二人。
その歩を進めて互いに近付く。
頭の中で、歩がと金に成る光景が浮かんでしまうのは職業病だろうか。

「……休憩室にお忘れでしたよ」

「どうも、済みません。ちょっと仮眠していたら、すっかり寝入ってしまった様で、ですね。寝惚けた壗、トイレに行ったらそこで気付いた所でした、えぇ」

「そうだったんですか」

互いに握手が出来る程の距離で立ち止まった所で、山崎の方から声を掛けた。
羽生が少し照れ臭そうに頭を掻きながら謝ってくる。
眼鏡が無いことで、羽生の長い睫毛も良く分かる。
伏し目がちになれば尚更に、それは綺麗に生え揃っていることに気付く。

触れてみたい。と思ってしまう。
直ぐに、何を考えてるんだともう一人の自分が制止を掛ける為、
何とか手を出さずには済んでいたが。
そもそも、大先輩を相手に何を考えてるんだ。失礼にも程がある。
馬鹿だ。馬鹿だ。馬鹿だ。山崎は再び頭を軽く横に振った。

「……どうかしました?」

「いえ、何でもないです。それで、これを」

「あぁ、はい。有り難う御座いま……っ!!」

「!」

目測を誤ったらしい。眼鏡を受け取ろうと伸ばした腕が、眼鏡の横に抜けた。
その壗身体ごと倒れかけたのを、山崎は咄嗟に抱き留めた。抱き留めてしまった。
身体が勝手に動いてしまったのだ。心臓は、驚きの余り動きを止めかけた。

決して、棋士の中では低い方ではないが、身体の線は細く、思っていた以上に軽かった。
抱き留めた腕も、思わず背中を支える様に回してしまった。

「ははは、本当に…何度も、済みません」

「いやっ、いえっ……はい」

丁度、肩の辺りにあった羽生の頭が小さく揺れ、ゆっくりと持ち上がった。
山崎は、慌てて腕を外し、一歩下がる。
羽生は然して気にしていないのか、穏やかに笑った壗だ。

「眼鏡がないと、本当に駄目ですね、えぇ。気を付けないと」

「そう、ですね」

眼鏡をかけ直した羽生は、最後にフレームの位置を微調整した後、顔を上げた。
山崎は何とか返事をするだけで精一杯だった。
心臓はバクバクと高鳴り、指先は僅かに震えていた。

「山崎さんは、これからどちらへ?」

「あ、タイトル戦の…解説会の方へ…」

「そうですか。僕は少し取材が入っているものですから、そちらを終えてから向かいますので、また後程」

「……はい」

だが、羽生は本当にあっさりとしていた。
そんな山崎の心境に気付く筈もなく、淡々とそう告げ、山崎の横を擦り抜けていった。
山崎はゆっくりと振り返す。

「………」

段々と小さくなってゆく背中。
対局室へと入ってくる時の気迫を背負ったものとは違い、何処か頼りない。
その背中を、先程抱き締めた腕に目を落とし、
山崎は溜め息とも安堵の息ともとれない小さな息を吐き出したのだった。

…盤外でも…十分強いんだ、あの人は…

ある意味、敗北の気分を味わった山崎だった。

-…END…-

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
規制が掛かってしまい携帯から済みません。
羽生さんの指先をくわえる仕草はエロいと思います。

  • 素敵です。 -- もふもふ? 2017-06-30 (金) 08:13:15

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