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白日夢

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  木目木奉 缶×ラム→港
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  木目木奉スレの姐さんの言葉から妄想が止まらなくなった結果がこれだよ!
 | |                | |             \ ソツロン ソッチノケデ カイタ。
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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※かなりの勢いで捏造+缶に夢見すぎです。
※エロはありません。

初秋の強い光が目を焼いた。あの二人を遠くに見たような気がして、思わず目を凝らしたが、
そこにはいつも通り長閑な休日の公園の風景が広がっていた。噴水を通すと人の影は
ぼんやりとする。
きっとそれを見間違えたんだと、彼は考えてベンチに腰を下ろす。
二人の姿がここにあるわけがないことくらい、彼にはわかっていた。
二人の姿を幻視したのは、久しぶりに大湖家に逢ったせいに違いない。
缶辺は大きく息をつき、卑屈に集まってくる鳩の群を眺めた。

間接照明の部屋は薄暗い。缶辺はベッドに浅く腰掛け、後ろに横たわる大湖家に話しかけ
る。
「あれから六年もたつんですよ」
大湖家はうつむき何も答えない。あれが何をさすのか、大湖家が一番よくわかっている。
白蝋のような彼の死顔を思い出し、少し、眉根を寄せた。
「忘れろとは言いません。ただ、もう前を見てもいいころだと思います」
缶辺は続けた。大湖家は港を失って以来、恋人を作っていない。
缶辺もそれは仕方のないことだとは考えているが、大湖家が港という手錠につながれて身動きを失っているかのようにしか見えなかった。
それは、たまに缶辺をバーに誘うときに一番よく現れている。
缶辺がいくら話しかけても、大湖家は奥歯に物が挟まったような返答しかしない。
そしてやたらに酒を呑み、歩けなくなるくらいに泥酔して、缶辺がタクシーに押し込むのがいつもの例だった。
この日は呼ばれたのがホテルのバーであり、幸いチェックインも出来たので、足取りのおぼつかない大湖家を一晩ここで寝かせることにしたのである。
大湖家は缶辺の声を痛む頭で聞いていた。悲しいことに、大湖家はいくら酔っても精神は侵されない質であった。
むしろ、体が悲鳴を上げればあげるほど頭は明晰に動き、普段は思い出さないような港との何気ない会話までも思い出してしまう。
それを打ち消すためにまた酒を飲むので、悪循環である。

悲しい、寂しい、辛い、大湖家は六年間この言葉を口にしたことがない。
それは生来の強がりというよりも、その言葉を吐く資格がないと自戒しているようだった。
(港が死んだのは、私のせいだ。私を守るために港の首に剃刀が走ったんだ)
大湖家はそう思うときはいつも泣き叫びたくなる。
だが、彼は泣くことすらも自らには許していない。港を死なせた自分には、彼のために泣くことはできないとも考える。
そして、ほかの男に体を許すこともまた、港に対する裏切りとしか思えない。
港に関する何らかの感情をアウトプットすることも、感情を紛らわすこともできず、大湖家は内側から蝕まれ続けていく。
缶辺はそんな姿を見るたびにいたたまれない気持ちになる。
ベッドに横たわり、何も言うことができない大湖家の耳元に、缶辺はそっと口を近づける。
「僕を、使ってもいいですよ」
そしてそのまま大湖家の乾いた唇にキスをした。
ほんの触れるだけの軽い口付けだったが、大湖家の孤独が缶辺の中に流れ込んできて、缶辺は撃たれたように唇を離した。
六年間、孤独は大湖家の中で膨らんで大湖家自身と摩り替わってしまったようだった。缶辺は大湖家の目を見ることが出来ない。
涙が一筋、缶辺の頬を伝い大湖家のワイシャツに落ちた。
「なんで、お前が泣くんだ」
大湖家はかすれた声で言った。缶辺は苦い顔で一度だけ、強くシーツを握り締めると微かに笑んで、
「あなたが泣けないから、俺が代わりに泣くんです」
と言った。

結局この日はそれで終わってしまった。
若いうちなら、そのままなし崩し的に性交に持ち込んだかもしれないが、
ある程度人生を重ねると、ただ寄り添うことが一番いい場合もあるということもわかってくる。
幼児のように体を丸めて寝る大湖家の髪を撫でるたびに、缶辺の目からは涙がこぼれた。
これは、大湖家が流せなかった六年分の涙だったのだろう、と缶辺は思う。
そして、港が大湖家の傍らにいた六年前の日々が、目の中にちらちらと浮んでは消えていくのだった。

公園で缶辺はこの夜のことを思い出していた。
(もし、港が今も生きていて、俺が見た幻が幻ではなかったのなら、どんなにかいいことだろう)
これからも大湖家はたまに缶辺を呼び出しては、無言で体を痛めつけるように酒を飲むのだろう。
そして、そんな大湖家を缶辺は黙って受け入れるのだろう。
生きるだけで傷ついていってしまう大湖家に、缶辺ができることはそれだけなのだ。
「俺は誰のかわりにもなれやしないんだな」
缶辺が立ち上がり大きく一歩踏み出すと、驚いた鳩の群は太陽の方向に飛び去っていった。

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 | | □ STOP.       | |                缶の一人称の揺れは仕様です。
 | |                | |           ∧_∧     
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )   
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木目木奉スレの姐さんの、あのレスがなければこれは書けませんでした。
心より御礼申し上げます!


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