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お別れ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )コッソリジサクジエーン

内容がタイムリーなうえ不謹慎なので注意
自分の気持ちの整理として書いたので自分勝手な内容になってしまいましたので注意
先日亡くなった方と前日本トップのお別れ

雨風が強く打ち付ける丑三つ時、朝生はテーブルにちょっとしたつまみを用意させ、
今は亡き祖父が所有していたグラスを二つ手に持ち一つを自分の方へ、
…もう一つは誰もいないはずの向かいのソファーの前へ置いた。
こういう夜は、強くて酔える酒がいい、眠れぬ夜の友のお馴染みのブランデーに手にかけるも
それでは彼がすぐつぶれてしまうな、と亡くなったばかりの戦友を思い彼の愛していた地酒を手に取った。
手前の空のグラスになみなみ一杯、…向かいのには気持ち八分目。
カチン、と乾杯をし、すするように一杯。
「庄一、やっぱりうまいな…これ」
こくり、と一杯。
「こりゃ刺身と一緒にいただくといいんだよな」
こく、こくりと一杯。
「そういやお前の地元の魚仕入れる贔屓の店最近いってなかったな」
残りを一気に飲み干す。
「また行きたかったのになぁ…一緒に」
いつもは彼が先に飲み干すはずの酒を自ら注ぐ。
「…なんで死んじまったんだ」

ふと、窓の外から雨風の音が消えた気がして、懐かしい気配を感じる。

「…すみません、朝生さん」

あぁ、亡霊が見えるなんて俺も気が狂い始めたのか、この前くたばっちまったやつが目の前に座ってやがる。
久し振りの深酒に酔っているのだろう、と自分を納得させながら彼に向き直る。

「お前、化けるならこんなおいぼれよりも家族が先だろうが」
「いや、もう家族と阿部ちゃんとか比良沼さんとかお世話になった人は廻ってきたんで」

朝生さんが最後です、と苦笑しながらグラスを手に取りクイッと一杯。

「なんだよ俺後回しかよ」
「だって朝生さんならこの時間まで起きてると思ったんです」

だから最後、と一気にグラスの中の残りを呷るとあっという間に空にしてしまった。
酒瓶に手を伸ばしゆっくりついでやる。どうも、といいつつまた呷る。
なんだかその一連の流れがとても懐かしく思えて、胸が締め付けられる。

「…最後ってことはこれで天国かどっかに行くのか」
「そういうことになりますね」
「やっぱ実際天国と地獄の概念ってあるのか?」
「朝生さんがそうなったときにでもわかりますよ」
「洒落にならねぇこと言うなお前は」

ククク…と二人して笑いあう。
さっきまで一度も手放さなかったグラスをそっと置く。

「…もう時間なんでそろそろ行かないと」
「待て、庄一最後に聞いていいか」
「なんですか、へそくりはありませんよ」
「馬鹿、真面目に聞け」

朝生は息をのんでから彼の眼を見つめた。

「なぜ死んだ?」

彼はしばらくテーブルを見つめながら俯き、また朝生の方に視線を戻した。

「…この世の親子の因果ってやっぱり続くみたいです。親父以上に、長生きさせてもらえなかった」

でもそのかわりこうして化けて出られたんでよかったです、とグラスの中の酒を一気に呷ると
彼の言うタイムリミットが近付いてきたのだろう、彼の体がだんだん薄く立体感を失っていった。

「庄一、俺は、お前を守り切れなかった。そのうえ政権交代までさせてしまった
次はお前が日本を背負って立つように、と考えていた、それなのに、それなのに」
「朝生さん、僕はあなたのような高貴の出なのに口の悪い、でもすごく有能な人と出会えてよかった」

彼の下半身はすでに消え、上半身が細かい粒子に覆われたようにキラキラと光っている。

「僕は、大事な父といろんな話ができないまま夢半ばで死なれたのが辛かった、悔しかった、でも」

朝生は気がつくと立ち上がって手を伸ばしていた。
朝生の両腕はむなしくも空気を切り裂くだけだった。

「…大事な朝生さんといっぱい話ができて、最後までお手伝いができて、本当に幸せでした」

幸せでしたとか、過去形に言うな、今度は俺がお前の手伝いをするはずだったんだ、
返り咲くんだろう?一緒に日本を守るんだろう?
逝くな、庄一

伝えたいことはたくさんあるのに、朝生の言葉は口から嗚咽となって零れてしまう。

「さよ……ら……」

‐‐‐‐‐‐

窓から差し込む陽ざしの眩しさに目を覚ますと、どうやらソファーの上で寝てしまったようだ。
慣れない体制で寝たせいか体の節々が痛むのを確認しながら昨日の夢のような出来事を思い出す。
ふとテーブルを見やると、手前のグラスには軽く一杯、もう一つの減るはずのないグラスは空になって横たわっていたのだった。
指を震わせながら朝生がそのグラスに手をやると、彼のぬくもりがのこっていて
朝生は朝日に照らされながら声を押し殺し、人知れず涙を流した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
突然のことだったので一目でも2人を会わせてあげたいという思いです。
お目汚し申し訳ありません。
日本のために戦った彼のご冥福をお祈りします。

  • うわああああ!涙ぐんでしまった……姐さんありがとう!本当にありがとう! -- 2009-10-08 (木) 20:20:53
  • 自分も、ご冥福をお祈り致します。………(´;ω;`)ブワッ -- 2009-10-11 (日) 13:22:33
  • 遅まきながら、姐さんありがとう!すごい泣けてきました。。。今はただご冥福をお祈りいたします -- 2009-10-13 (火) 02:51:22
  • くっそ、涙出そうだ。 -- 2009-11-07 (土) 17:46:10

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