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一角獣鍵盤×四弦

もしもしですが萌えが急にきたので投下させて頂きます。
一角獣、ナマにつきご注意をば。
CPは鍵盤×四弦ですが、読み返したらリバでもいけるかも…
ついでに飼い犬×四弦です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

すごく天気が良かったのに、どうしてだかわからないけどやる気が起きなかった。
堤防に腰かけて、じりじり陽に焼けながらきらきら光る海を見ていた。
次第に人も減り、陽も落ちて、だんだん静かな砂浜に戻る。
サンダルばきの足の指をにぎにぎと動かして、砂を弄んでいた。
なんとなしに考えるのは、彼のことだ。
黒くてつやつやした髪の毛とか、遠くから見たときのたたずまい、線の細さ。
話しかければ、にっこりと嬉しそうに笑顔を見せる彼のこと。

コンクリートの上の砂を踏みつけて、誰かが近づく音がする。
顔をあげれば、今まで考えていた彼そのものが見えた。
足下には小さな白い毛玉も連れて。
「なんども電話したのに」
少し離れた場所から笑って彼がそう言った。
言われてから、携帯電話は家に置いてきたことを思い出す。

「ごめん。家に忘れてきた」
潮風が彼の髪をそよがせた。
夕陽に目を細めながら耳までかきあげるしぐさに、目が離せなくなる。
小さな犬がなにか言いたげにこちらを見ていた。
それから、あたりまえのように隣に腰をかけてくる。
「ココ、海だよ~」なんつって、そのまま犬を膝に乗せながら。

でも、それからふたりはしばらく黙って海を眺めた。

嬉しいのは、大好きな時間とこの空間に、これまた大好きな存在が隣にあること。
これ以上の幸せはないなぁ、なんて軽く考えながら、黙って夕焼けの沈む水平線を眺めていた。
そう、ただ黙って夕焼けを。
沈黙に飽いて、でもその沈黙を壊す勇気もないまま、タイミングをつかめない彼はこちらにちらちら視線をくれる。
最初は気づかないふりをして、そのあとは少し笑って、手を握った。
彼の膝で丸まった犬のしっぽの毛が手にあたるのがくすぐったい。

「サーフィンは?」
「今日はしてない」
「どうして?」
「気分がのらなかったんです」

彼はふーん、と視線を足元の砂地に戻した。猫背。
橙色から、紫色に変わってゆく海の上の空。二人のあいだを風がなぜてゆく。
夏もそろそろ終わりですよと告げるような雲が、美しい色に染まっている。
犬のしっぽで隠れた、密やかに握ったままの手はまだ離れない。とても離しがたい。
まだ砂浜にはまばらながらに人がいる。キスがしたいけど、だけどできない。
我慢していると不意に彼がこちらを向いた。
じいっと見つめてくる。恥ずかしくなる。彼のとくい技。
「…なに」
恥ずかしさをごまかしたような言い方をすると、彼はきょとんとした顔をした。
「なんとなく」

「目立つね、その髪」
白みたいな銀みたいな髪の毛が残った夕焼けに反射して光っていた。
そうありふれてはいない色。改めて言われると照れてしまう。
彼がそんな色の髪にふれる。
まるでその膝に抱いている犬に対してするように。
彼のそういう気安さが、何だかとても好きだった。
そして、彼がこの髪に触れたがる以上に、自分が彼の髪に触れ、梳いてやりたいことに、まるで気がついていないところも。
ずいぶん暗くなり、ふさふさした小さい犬のしっぽがなくても繋いだ手がわからなくなってきた頃。
人影も減り、肌寒ささえ感じるこのくらいの時間。
意を決して実行して良かった。
完全に暗くなる前に、彼の照れて赤くなった顔を見ることができた。

ただ、キスをしたその瞬間に、さっきまで膝で寝ていた犬がとびおきて、彼に甘えて顔をぺろぺろなめ始める。
恋敵が犬、しかもチワワとは、40すぎてちょっと情けなくなってきた。
抱いてたら散歩にならないっつーの。

すっかり闇に溶けた海に、夕陽のかわりにのぼった白い月が、それでもしっかりふたりを照らした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

本ヌレの犬四の流れよありがとう!


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