ねこかぶり
更新日: 2014-12-26 (金) 05:20:45
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| モンスターを狩るゲームの樹海引き籠り迅/竜×我が儘俺様轟/竜
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 迅一人称の非擬人化注意です。
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深く木々の生い茂った樹海の奥で、わたしは彼のことを考えていた。
彼は何時も、風を切る、というより、無理矢理押しのけていくような飛びかたをする。
人のことを言えた義理ではないが、彼は飛竜種の中でも飛ぶのが特に苦手な部類らしい。
まあ、わたしは他の飛竜との付き合いはあまりないから、正確には分からないが。
彼はそのことを特別コンプレックスに思っているようで、自分が飛ぶ姿をあまり見せたがらない。
着地する時も酷くせっかちで、早く地面に降りたくて仕方がない、とでもいうように乱暴だ。
そんな彼を見ていると、あの、人間どもには空の/王者、とか言われて気取っているリオ/レウスの
凄さを思い知る。確かに彼の飛行能力は素晴らしい。とても優雅で、気品に満ちている。
だが一つ訂正させてもらうとすれば、彼は空で一番強いから王者なのではなくて、飛ぶのが
上手いという意味で王者なのだ、と。きっと戦ったらわたしのほうが強い。多分。リオ/レイアが
許さないから、しないが。妻の後ろで尾を丸めて震えている憎たらしい赤蜥蜴の姿を想像すると、
少しは気が晴れた。
もう長い間、彼の翼が羽ばたく音を聞いていなかった。彼はわたしと違って、一つのところに
じっとしていない。明日は雪山、明後日は砂漠、空色の翼を不器用に動かして、風を利用するでも、
操るでもなく、力ずくで捩じ伏せて飛ぶ。彼の飛びかたは、彼の生き様そのものだった。
と、飛竜の中でも格別良いわたしの耳が、彼の翼が空気を掻き乱す音を聞き取った! 間違いない、彼だ!
わたしはここ数日まったく動いていなかった寝床から、のそりと這い出してきた。
わたしが一度ひとつの場所へ落ち着くと、当分動かないことをよく知っているアイノレーたちが、驚いて
蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
そんなに慌てずともわたしは、小骨が多くて硬いうえに、酷く不味いアイノレーの肉など食べない、
そんなことを以前、ふとした気まぐれから言ってみたことがあったが、彼らの返事は「そうは言ってもダンナ、
アンタがひとっ飛びしようとするだけで、オイラたちは吹き飛ばされてしまうんですニャ!」というものだった。
なるほど、獲物と見なされていなくても、彼らには逃げるまっとうな理由があるのだな、と感心した。
わたしは大型のモンスターが作った獣道……今となってはほぼわたしくらいしか使わないが、
そこを素早く走り抜けた。厚く生い茂った木々の間から微かに見える青空に、彼の姿を見ることは
できなかったが、近づいていることは感じられた。
彼の目的地は、樹海の端の、湖があるエリアらしい。わたしがそこへ着いた丁度その瞬間、
ざばばばん! と派手な水音を立てて、彼……轟/竜ティ力゙レックスは湖の中へ着地した。
一瞬、着地地点を間違えたのかと思ったが、そうでもないらしい。
「……とても久し振りだ」
「そりゃぁ良かったな!!」
ティ力゙レックスの声は普通の状態でも、とても大きい。わたしは非常に耳が良いし、それに、
わたしを見ると声を潜めてしまう樹海の生き物たちと長く暮らしていると、彼の普通の声でも
語尾に感嘆符が2つか3つくらいくっついているように感じられてしまう。
だが、それだと非常に台詞が読み辛くなってしまうと思うので、これからは省略することにする。
ささやかな気遣いだ。
ティ力゙レックスはのっそりと湖から這い出してきた。わたしは水が苦手ではないが、
進んでああいったことはしなくないな、と思った。別に苦手だからではない。断じて。攻略本にも書いてある。
「何故樹海へ?」
以前にも、ティ力゙レックスは樹海へ来たことがあった。それも酷く傷付いた、瀕死の状態で。
雪山で人間のハンターに襲われたらしい。今でこそすっかり尾も生え揃っていたが、その時は
まだ痛々しい切断面を晒していた。今でも尾をよくよく注意深く見てみれば、微かな古傷を
見つけることができる筈だ。
勿論、そのことを話題にすると顔と腕に赤い警告色さえ浮かべて怒るだろうから、言わないが。
今までなるべく他の飛竜との関わり合いを持たず、ひっそりと暮らしていたわたしには、
まさに天変地異の驚きだった。傷だらけの砂色をした鱗も、傷んでぼろぼろの空色をした翼も、
なにもかもが新鮮で物珍しく、美しかった。
あろうことかわたしは、種族違いで、同性の、飛竜種たちから厄介者扱いされている暴君竜に、
一目惚れしてしまったのだ!
かいがいしいわたしの看病の甲斐あってか、彼は全快し、ぶっきらぼうな彼なりの礼をして(どこから
掻っ攫ってきたのか、丸々と太ったポポ1頭。アレは確かに美味しかった)、さっさと行ってしまおうとした。
慌てたわたしは、とっさに彼に言ったのだ。また来たら、ご馳走してあげようと。
情に訴えるよりも、駆け引きするよりも、彼にはこの言葉が一番効くに違いなかったので。
わたしの質問に、彼はそっけなく、
「たまにゃこっちの獲物も良いかと思っただけだ。てめぇがいたのは予想外だったがな。
と、皮肉げに言った。わたしに会いに来たわけでなかいようで、少し残念に思った。
がっかりしたわたしに、彼はふと薄い水色の瞳を瞬かせ、
「てめぇ、水でも飲みに来たのか? あいにくだったな、ここじゃ当分飲めねぇぞ」
ティ力゙レックスの顔を、わたしは思わずまじまじと見た。彼はわたしとの出会いがたまたま偶然、
運命の産物だとでも思っているようだった。
意外と抜けてるんだな、とも思ったが、まあ、飛竜種の中でも格別の嫌われ者扱いされてきた彼だから、
まさか自分に進んで会いに来るような変わり者がいるだなんて、思いもよらなかったに違いない。
わたしはティ力゙レックスの後ろの湖へ視線を落とした。確かに、彼が這い出た後の湖の水は
酷く濁っていて、とてもではないが飲めるような状態ではない。だが、わたしは水を飲みに
来たわけではないのだ。
猫のようにぶるりと身体を震わせ、彼は全身の水を飛ばした。わずかな木漏れ日に反射して、
埃や汚れが洗い流された砂色の鱗がぴかぴかと美しく輝く。
「美しいな」
「は?」
ぽつりと呟いたわたしの言葉に、彼は間の抜けたような声を上げた。
「だから、おまえの、」
「おい、止めろ、それ以上は言うな。また気味の悪い台詞言う気だったろ、てめぇ」
わたしの台詞をぴしゃりと遮り、ティ力゙レックスは不機嫌そうにわたしを見た。
気味の悪い奴だ、と言われることはあったが、気味の悪い台詞だなんて、初めて言われた。
彼がすることはたいていの場合、わたしにとって初めてであることが多く、わたしは何時も
新鮮な気分になれる。
「分かった、止める」
「あぁ……良い子だ」
わたしが素直に頷くと、ティ力゙レックスはぎらぎらとした牙を覗き見せ、低い声で、
とてもサディスティックに言った。
彼のそういった一面が、わたしはとても好きだった……良い意味でも、悪い意味でも。
悪い意味のほうを彼が知ったら、きっと尻尾を巻いて逃げだして、二度と戻ってこないに違いないから、
絶対に言わないが。わたしはとても酷い男だ。
「でも、何故、湖なんかへ着地を?」
「そりゃぁ……」
わたしの質問に、ティ力゙レックスは珍しく口籠る。首を傾げるわたしの尾を、彼は誤魔化すように
伏し目で見た。彼に会えた嬉しさから、わたしの尾は落ち着きなくぱたぱた(というか、それなりの
重量があるからもしかしたらどすんどすん! のほうが正しいかもしれない)と揺れている。
答えを待ってじっと見つめていると、彼は居心地悪そうにぐるる、と鳴いた。そして、いきなり叫んだ。
「……ッてめぇが!! 汚れたままで行くと!! 毛もねぇのに毛繕いしようとするだろ!!」
ティ力゙レックスの大声はわたしの耳にとても痛いのだが、この時ばかりは天使の囁きのように
感じたものだ。
なんということだろう。彼は、なんと、最初からわたしに会いに来てくれたのだ! そうでなければ、
樹海へきてすぐ水浴びをしようなどとするだろうか!
わたしは思わず彼に飛びかかって、その喉元を甘噛みして、それからあんな水浴び程度では
落としきれなかった彼の汚れを、隅から隅まで落としたい情動に狩られた。
が、そうすると彼はとても怯えてしまうだろうから、ぐっと我慢して柔らかい腐葉土の
積もった地面へ、こっそりと爪を立てた。
「そうか、気遣い有難う。とても嬉しい」
「はあ? 違う、俺はアレが嫌なだけで、」
「ところで、腹は空いていないか」
わたしに会いに来てくれたのか、なんて台詞は、間違っても言わない。彼はとても恥ずかしがり屋なのだ。
わたしは気が付かなかったふりをした。とても酷い男なので。
彼が一番好きな話題に話をすり替えてやると、彼は文字通りすぐに食いついてきた。
「あぁ、そうだ! 腹へって死にそうなんだよ。てめぇから獲物横取りするためにきたよーなもんだからなァ」
「そうか。では、ひと頑張りしてくるとしよう」
嫌がりもせず素直に頷くわたしを、ティ力゙レックスは一瞬、奇妙な生物でも見るような目で見たが、
すぐに気を取り直す。
「てめぇは、狩りの腕前だけは確かだからな」
わたしの後ろを、彼はとても無防備にのっしのっしと歩いて行く。不慣れなせいか、たまに太い木の枝に
頭をぶつけたり、葉の中へ顔を突っ込んでしまうのがなんとも可愛らしくて、わたしは笑いを堪えるのにひと苦労した。
「これだから樹海は嫌なんだよ……」などとぶつくさ言う彼のご機嫌をとるために、丸々太った
獲物をとってくる必要があるようだ。
少し開けた場所にあるわたしの寝床に、彼は我が物顔で寝転ぶと、早々に眠たそうな欠伸をした。
そこでわたしはやっと気が付いたが、後ろ脚近くに治りかけだが酷い傷が見える。以前のように、
ハンターにやられた傷ではないようだ。
他の竜と喧嘩でもしたのだろうか。呆れこそすれ怒りは湧いてこなかったが、何故か少しだけ
その竜が羨ましくなった。やはりわたしはとても悪い男のようだ。
とても疲れているのだろう。そんな状態のティ力゙レックスがわたしのところへわざわざ来て、
無防備な姿を晒していることに、深い喜びを感じた。彼はわたしをとても都合の良い、気の良い
お人好しの竜だと思っているのだろうが、それは大きな間違いだ。親切なナノレガクノレガなんてこの世には
存在しない。勿論、あの世にも。
「終わったら、起こそう」
「…………あぁ、……」
彼にしてはとても小さな返事だった。半分は寝入っているんだろう。これは当分、なにをしたって
起きないに違いない。
わたしは急いで狩りを終わらせることにした。そしたら余った時間は、こっそり帰って
うとうとしている彼の毛繕い(彼の場合は鱗繕いか)へ、思う存分費やすことができるし、あわよくば
その先だってできるかもしれない。
わたしは姿勢を低くすると、音もなく、素早く太い木の枝へ飛び移った。それまで陽気に歌っていた
鳥たちのさえずりが、ひたりと止まる。
狩りが始まったのだ。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 実はまだナノレガさんに遭遇したことないんだスマン。
| | | | ピッ (・∀・;) ゲーム ガンバル……
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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- ものすごく!よかったです!ゲームはど下手ですが。 -- 2011-08-25 (木) 18:11:39
- 素敵!あなたの作品をもっと読んでみたい -- 2014-12-26 (金) 05:20:45
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