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夏の日の記憶

レスお借りします
夏戦争の理一×侘助です。
陣内家の同年代男性陣萌え…!

31 >>66 >>85 の姐さん方GJです^^
若干ネタ被りすいませんorz

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

侘助と初めて会ったのは、十歳の時だった。
本家の大人達の噂話で、侘助がどういう存在なのかは知っていた。
姉の理香も、なぜそんな子供をうちで引き取るんだとムっとしていたのを覚えている。
だけど、理一は純粋に興味があった。
同じくらいの友人達は、理一が陣内家の人間だということで一歩引いて接してくる。
『大きなお屋敷の子だから。何か失礼があってはいけない』
大人たちのそんな余計な気遣いで、理一には心を許せる親友と呼べる相手がいなかったのである。
親戚でもある、年の近い頼彦邦彦克彦の三兄弟や太助だけが、理一が気兼ねなく遊べる相手だった。
ただ、彼らもずっと家にいるわけじゃない。
子供の頃から少しずつ疎外感を感じていた理一にとって、同い年の子供が家に来るということは大きな事件だった。
同じ陣内家の人間なら、気遣われたりしないだろう。
単純にそう思って、理一はその子供が来るのを指折り数えて眠った。

栄に手を引かれてやってきた侘助は、細くて色の白い、それでいて力強い目をした少年だった。
今思えば、あれが理一の初恋だったのかもしれない。

侘助がその家に連れてこられたのは、十歳の時。
母親を亡くしたばかりだった。
小さい頃から妾の子と罵られながら、病弱な母は女手一つで侘助を育てた。
だが、次第に身体は弱り、ついには起き上がれなくなって。
母が死んでも、どうしていいか分からなかった。
そんな侘助の元に現れたのが、栄である。
母の死後の処理を全て引き受けて、栄は「今日からうちの子になるんだよ」と言った。
そんな風に大人に真正面から目を合わせて言われたことなんてなかったので、侘助は思わず素直にその手を握っていた。
「うちにはあんたと同じくらいの子供がいるからね。きっと仲良くなれるだろうよ」
理香と理一っていうんだ。そう言われて、侘助は少しだけ気分が重くなった。
どうせ、妾の子のくせにとかなんとか言われて、いじめるような奴に違いない。
勝手にそう思い込んでいた。
実際、今まで周りはそんな奴らばかりだった。
期待するな。どうせ裏切られて、傷つくのは自分だ。

そう思っていた侘助は、ある意味で予想を裏切られた。

初めて過ごす陣内家の夜。
侘助は一人与えられた部屋で眠れない夜を過ごしていた。
初めて来たときは驚いた。
話には聞いていたが、こんなに大きな屋敷だなんて思わなかったのだ。
一人は慣れているが、この家には他にも人が居る。
なのに気配を感じない。
不思議な空間だと思った。
侘助の部屋は、本宅のかなり奥に用意されていた。外聞とかそういうことを考えた結果なのだろう。
それとも、栄が気を遣ったのだろうか。
吊り下げられた蚊帳の中で、侘助は月明かりに照らされた外をなんとなく眺めていた。
その時だった。
「なぁ、起きてるか?」
小さな声がかけられて、縁側の下からひょっこりと顔があわられた。
たしか、理一と言っただろうか。栄の孫、つまり自分にとっては甥という存在にあたる。
同い年なのにおかしな話だ。
理一は、侘助が目を開けていることを確認してからそっと蚊帳の中に入ってきた。
「なんだよ」
「ちょっと、出てこいよ」
「なんで?」
「いいから!」
初日から喧嘩でもしようというのだろうか。だが、理一の声はそんな雰囲気ではなかった。
どうせ眠れなかった侘助は、しぶしぶといった感じで理一の後についていった。
「…どこ行くんだよ」
「行ってからのお楽しみ」
そう言って悪戯っぽく笑う理一に、侘助はどうしていいか分からなくて顔をそむけた。
理一は、家の裏側の林を慣れた様子で進んでいく。
自分一人では迷子になりそうだ。
「こっち!」
いつの間にか、理一の手が侘助の手を掴んでいた。
なぜかその手をふりほどけなくて、自分の中で「迷ったら大変だから」と理由をつけてそのままにしておいた。

そして、ようやく細い道を抜けた、と思った瞬間。
侘助は声を忘れていた。

「な、綺麗だろ?俺達の秘密の場所なんだ。あ、俺達っていうのは、他の従兄弟達なんだけど」

理一に声をかけられるまで、侘助はその光景に見とれていた。
林の奥にぽっかりと空いた場所に、池がある。
そこに、無数の蛍が光っては飛んでいたのだ。
見上げれば、池の真上にはまん丸い月が浮かんでいた。
「さっき、あんまり話できなかったからさ。俺、お前が来るの楽しみにしてたんだ」
「俺を…?」
「なんか、弟ができるみたいっていうか…同い年なのに、変かもしれないけど」
「兄じゃないのかよ」
「俺の方が、背が高いだろ」
「まだ分かんねーよ。これから伸びるかも」
ムキになって答えた侘助に、理一は噴出した。
「もう、どっちでもいいや。とにかく、大人はうるさいかもしれないけど、俺そういうの気にしないから!」
「……勝手にすれば」
能天気に笑う理一に、すっかり毒気を抜かれてしまった侘助は、つられて少しだけ笑った。
理一と一緒に見る蛍の光は、悪くない。
「今度は頼兄達と一緒に来ようぜ」
他の従兄弟達も、理一のようならいい。

侘助は、ここでようやく本当の「家族」を手に入れたのだ。

「…行くのか」
「ああ、早いほうがいいだろ」
ラブマシーンを分解し、あらわしが落下してから数時間後。
皆が疲れ果てて寝静まった後、こっそり外に出ようとした侘助は、玄関で理一に捕まった。
「送ってくよ」
「へぇ、そりゃ助かる」
「別に。勝手に乗っていかれちゃ困るからな」
今や無事な車は少ない。翔太の大事なRX-7は、侘助によってボロボロになってしまった。
「信用ねぇなぁ」
「当たり前だろ。十年前を忘れたのか?」
理一に言われて、侘助はシシシ、と笑った。
「覚えてるさ。…忘れるわけねぇ」
「そう、だな」
あの日、この家で侘助は理一に抱かれた。
何がきっかけだったのか、今では覚えていないけれど。
渡されたメットを被り、侘助は理一のサイドカーに座った。
「俺は、あれが原因だったのか、とか結構悩んだんだけどな」
「…別に、そんなことはなかったさ。むしろ逆だな。出て行くから、抱かれた」
「なんだよそれ」
「後は自分で考えな」
エンジンを吹かして、理一が発進する。
「どこまで?」
「とりあえず、近くの交番かな。翔太んとこ以外でな」
「了解」

しばらくは、夜の上田市をお互い何も言わず走り続けた。
そうして、上田市の交番に着いたその瞬間。
「……っ」
理一の顔が、狭い視界に一杯になる。
カツン、というゴーグルの当たる音とともに、理一の唇がメット越しに落とされた。
正直、生でされるよりよっぽど胸が騒いだ。
「片付いたら、ちゃんと連絡しろよ」
動けないでいる侘助のメットを外して、理一が悪戯っぽく笑う。
ああ、俺達は結局、あの頃から何一つ変わっていないのかもしれない。

侘助は、あの日の夜の蛍を思い出して、一人苦笑したのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

夏戦争続いてるのに空気読まずすいませんでしたああああ
あと連番ミス多すぎ失礼しました…orz


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