Top/50-22

トランスフォーマー メガトロン×レーザーウェーブ

1乙
携帯から投下します。
アニメ初代トラ/ンス/フォーマーで破壊大帝×防衛参謀

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガ オオクリシマース!

それはつまらぬ捨て台詞だった。

今日も些細な抵抗を続けるサイバトロン戦士を圧倒的戦力―とはいってもこちらの戦力の殆どは意思を持たぬガードロボットであるが―でねじ伏せ、
さあ捕虜にするかスクラップにするかとレーザーウェーブのブレインサーキットが思案し始めたまさにその時、その言葉は投げつけられた。
「貴様のような、感情のない機械人形に何が出来るってんだ!」
一瞬、彼のその堅実なブレインサーキットは活動を停止した。
愚かなレジスタンスの言葉にいちいち反応していては、防衛参謀は務まらない。分かっていた筈なのに。悔やんでも遅かった。後に残されたのは、その一瞬の隙をつかれ敵の逃亡を許してしまったその事実だけであった。

400万年の長きに渡り、メガトロンに代わってセイバートロン星を支配し続けている、デストロン防衛参謀レーザーウェーブをサイバトロン戦士が知らぬ筈もなく、よもやガードロボットと勘違いしたわけではないだろう。
彼、レーザーウェーブも地球で戦っているデストロン達と同じれっきとしたトランスフォーマーである。
航空参謀や情報参謀に比べ目立たない存在ではあるが、そのスパークには主人である破壊大帝メガトロンへの厚い忠誠心と深い敬愛、そして普段決して表に出す事のない思慕の念が宿っている。
そのレーザーウェーブを何をもって、「感情のない機械人形」と言ったのか。…答えは自分がよく分かっている。レーザーウェーブは自嘲した。

「サイバトロンの侵入は未然に食い止めた。だが殲滅には至らず。追跡も考えたが破損箇所の修繕を優先した」
定期的に行われる地球との情報交換の場で、モニター越しの情報参謀へ淡々と状況を報告する。
「了解、メガトロン様ニ伝エテオク」
「サウンドウェーブ、メガトロン様は今そちらにいらっしゃるのか?出来れば…」
「メガトロン様ハ不在。スタースクリームト共ニ新兵器開発ノ材料ヲ集メニ行カレタ」
皆まで言わせずサウンドウェーブの単調な声がレーザーウェーブを遮った。
レーザーウェーブは心の内で苦笑する。元来メガトロンは行動派のリーダーであり基地にじっとしているようなタイプでないのは知っているが、今日ばかりはそれを少しだけ、呪いたくなった。もうどれだけ、お逢いしてないのだろう。
「そうか、分かった。メガトロン様に宜しく伝えておいてくれ」
それだけ言って通信を切った。レーザーウェーブはこの時だけ、感情を表さない、いや表せない自分に感謝した。もし自分がその他大勢のトランスフォーマーと同じく表情があったのならば、きっと落胆を隠せていなかっただろう。

広い通信室でレーザーウェーブは独りきり、物思いに耽っていた。
自分には表情がない。頭部に1つ、暗闇に鈍く光るアイセンサーは不気味に感じこそすれ、親しみやすさなど皆無だろう。
鼻も口もそれを補うセンサーがあるのみでレーザーウェーブには存在しない。機械の身には必要ないと言ってしまえばそれまでだが、とにかく人間並みに表情豊かなトランスフォーマーが多い中、彼はずっと少数派であったのだ。

気にしたことがないわけではないが、気にしてもどうしようもない事である。サイバトロンからの評価など気にかける必要はない。今までに勝ち得たメガトロン様からの信頼。それだけが全てであった。
メガトロン、その名を反芻するだけで、スパークが疼くのが分かる。従順な仮面の下で焦がれて止まない、たった一人の、私の主。
そうだ、例えこの感情が表せずとも忠誠で示せば良い。スタースクリームのようにぶつかっていくことも、サウンドウェーブのようにしたたかに立ち回る事も出来ない、私の唯一の。
…いや違う。いつから忠誠は他者と比べる為の道具になったのだ。後ろ暗い考えを振り払うかのように首を振るレーザーウェーブ。だが一旦思考回路に染み付いたそれはなかなか消えようとしない。
メガトロン様は何故連絡を下さらないのか。私の事など忘れてしまったのだろうか。
セイバートロン星では、常にメガトロン様の側には自分が居た。遥か遠い青の惑星で、一体誰が、かつての自分の場所に居るのだろう。
精神プログラムが不安定になっているのを、ブレインサーキットに走るノイズで知る。自分で思った以上に、心が弱っていたようだ。
いけない、早く安定値に戻さなくては。分かってはいるのだが、思うようにいかない。悲しみを含んだ切なる願いは回路を苛むパルスとなり、どんどんレーザーウェーブを浸食していく。
メガトロン様にお逢いしたい、逢って想いをお伝えしたい。応えて欲しいなどとは思わない。ただ知っておいて欲しい、私にもこんな感情があるのだと。

事態は悪化する一方であった。この所の激務でロクに補給をしてこなかったのもいけなかった。
ブレインサーキットのノイズに反応して全身の回路が軋みだす。
なんて不様なのだろう!精神プログラムの制御すら出来ないとは。メガトロン様に見限られても文句は言えんな。
もはや自力での制御は限界に近かった。このままでは思考回路にバグが発生するのは時間の問題だろう。
「くっ…こうなったら…っ」
一瞬の判断で、レーザーウェーブは自らの意識を強引にシャットアウトした。浅ましい願望を垂れ流すブレインサーキットを半ば強制的にスリープモードへもっていく。
混濁する意識の中で、レーザーウェーブはまるで自分が泣いているかのような錯覚に捕らわれた。だがそれも一時の事、程なく彼の意識は完全に闇の中へと落ちていった―。

「さっさと起きんかこの愚か者めが!」
どれだけ意識が深い電子の闇に落ちようとも、その声に反応するのはもうすでに本能といってよいだろう。尊大で傲慢で、しかしレーザーウェーブを捉えて離さない重厚な響き。
跳ねるように飛び起きたレーザーウェーブ。慌ただしく点滅するアイセンサーに映るのは紛れもない我らがデストロンリーダー、破壊大帝メガトロンであった。
焦がれて止まなかった純銀の装甲を目前に、レーザーウェーブのスパークは狂喜に満たされる。だがそれも一瞬の事、有能なこの部下はすぐに自分の置かれた状況を理解した。
「ちょっと様子を見にきてみたら…セイバートロンを守護する立場にあるお前がこんなところでひっくり返っておるとは一体どういう事だ!」
デストロンの荒くれ者達をも竦ませるメガトロンの怒声が容赦なくレーザーウェーブを直撃した。

メガトロンとレーザーウェーブはデストロン軍団創立期からの付き合いであるが、だからといってメガトロンが彼に遠慮するなどということは全くない。
叱責の言葉も賞賛の声も、全てのデストロン兵士に等しく降り注ぐ。
レーザーウェーブがそれを不満に思ったことなど一度もなくむしろそんな主の一種の平等さを好ましく思っていたぐらいだが、今回ばかりは状況が悪かった。
彼の精神プログラムは悲観的な方向に大きく傾いており、いまだに修正されていなかったのだ。
「申し訳ございませんメガトロン様…もう二度とこのような事は」
「儂が訊いておるのはお前ともあろうものがなぜ、代行プログラムもガードロボットも作動させずに倒れていたのかということだ。敵に襲われた形跡もないし、ただのスリープモードにしては不自然過ぎる」
デストロンを統括するリーダーとして、セイバートロン星の管理を一手に引き受けるレーザーウェーブの異変を見過ごす事は出来ない。
引き下がる気など毛頭ないメガトロンに対し、レーザーウェーブは未だマイナスに傾いた思考回路に引きずられるまま心の迷宮をさ迷っていた。
エネルゴンの不足による動作不良と言い訳をする事も出来た。事実サイバトロンの度重なる妨害のせいで、地球からセイバートロン星へ送られてくるエネルゴンの量は決して満足したものではない。
だが故郷から遥か遠く離れた惑星で日夜エネルギー略奪に心血を注ぐメガトロンを前に、とてもそんな嘘はつけない。ならば伝えるか?この胸の真実を。
「申し訳ございません。…処罰は何なりと」
「レーザーウェーブ!」

言えるはずがない。400万年の時は孤独に慣れるのには充分だった筈だ。そして今、メガトロン様の存在は確かに此処にある。これ以上なにを望むというのだ。
きっとこの無機質な瞳は、私の浅ましい願望を覆い隠してくれるだろう。今までがそうだったようにこれからも。
「…そうか、あくまで言わんというのだな」
ついに呆れたような響きがメガトロンの声に混ざる。メガトロンに失望されるのは何よりも辛かったが、全ては自分が至らなかっただけの話だ。
例え補修点検係へ格下げされようとも甘んじて受け止める覚悟であった…しかしその時である。

「我らデストロンは欺瞞の民などと呼ばれる事もあるな」
「―?は、はい…」
唐突な話題にメガトロンの意図が読めない。戸惑うレーザーウェーブを尻目にメガトロンは言葉を続ける。
「だがそれは間違いだと思っておる。我々はサイバトロンのような綺麗事は言わぬ。
兵器として生まれた以上、力に忠実であり、そして力が生み出す欲望にも忠実でなければならぬ」
この言葉は鍵である、咄嗟にレーザーウェーブはそう思った。
強固な紫の装甲のさらに内部、スパークの中にある何重もの扉の先にひっそりと置き去りにした想い。それをいとも容易く暴いてしまう鍵であると。なのに。
「欲望を持たぬ者は、デストロンには要らぬ。つまらぬ建前のため己の欲望を偽るなどそれこそ愚の骨頂だと儂は考えておる」
淡々と言葉を続けるメガトロンから視線を逸らせない。真紅のアイセンサーに射抜かれて、全身の回路がジンと痺れたように動かない。
「レーザーウェーブ」
逆らうことを許さぬ支配者の声。それはまさに神の啓示に等しかった。

「デストロンリーダー、メガトロンとして命じる。自身の願いに嘘などつくでない。そしてもう1つ、これはメガトロン個人としてだ。
…頼むからそんな泣きそうな顔をしてくれるな。儂の方までおかしな気分になるではないか」
レーザーウェーブのアイセンサーが驚愕に揺れる。先程の厳かな雰囲気から一転、メガトロンはチカチカと点滅する眼光を愉快そうに眺めていた。
「め、メガトロン…様…」
「何だ?わからぬとでも思ったのか?儂も見くびられたものだな」
ニヤリと不敵に笑う主人を認識した瞬間、引き寄せられ、抱きしめられた。
「地球には、目は口ほどにものを言う、という言葉があるそうだ」
メガトロンは言いながら、不安げに揺れるイエローの光を愛おしげになぞる。
「まさにお前の為にあるような言葉だな」
そのまま単眼の瞳に軽く口付けられた、それが合図だった。
「メガトロン様っ…メガトロンさまぁっ!」
メガトロンの胸部プレートへ頭部を押し付け、レーザーウェーブは泣いた。
もちろんトランスフォーマーは涙など流さないし、アイセンサーから冷却水がでるわけでもないがそれでもレーザーウェーブは泣いていたのだ。
「お慕いしております…、応えなど要りません。ただ、メガトロン様に知って欲しいのです。私は…私は…っ」
「よい、わかっておるわ」
抱きしめる腕に力を込め後頭部をさすってやると、レーザーウェーブが縋るように額を胸に擦り付けてきた。
こいつが甘えてくるなど珍しい、よっぽど思い詰めていたのだろう。
400万年の眠りから覚めた後、地球侵略にかまけてろくに連絡を取っていなかった事をメガトロンはすこし悔やんだ。

深い眠りについていた自分に取って400万年という年月は実感のないものであったが、レーザーウェーブはそうではあるまい。
すまなかったと詫びるのは簡単だがレーザーウェーブは自分からの謝罪など望んではいないだろう。ならばどうするか…
しばしの思案の後、メガトロンは唐突にレーザーウェーブの体を抱え上げた。そのまま簡易リペア台へと押し倒しその上に馬乗りになる。
「メガトロン様っ!?なっ、お戯れを…っ」
これから自分に起きようとしている事を瞬時に察したレーザーウェーブ。慌てて起き上がろうとするも、破壊大帝の力強い腕に押さえ込まれてはそれも叶わない。
「また妙な方向に思考回路が進まぬよう、みっちり教え込んでやるとしよう。覚悟しておれ」その時のメガトロンの、まるでサイバトロンを殲滅する作戦を思い付いた時のような悪辣な笑みを前に、レーザーウェーブのブレインサーキットは抵抗は無意味だと告げていた。
喜びと不安と期待と羞恥でエネルギーポンプが逆流しそうになりながら、レーザーウェーブはおずおずとメガトロンの広い背中に手を回したのであった。

◎おまけ
「毎回メガトロン様ガ不在ト分カッタ時ノ落胆振リガ酷イ。見テイラレナイ」
「んなのまだいい方だぜ!俺が前にメガトロンのメッセージディスク届けた時なんざこっちが恥ずかしくなる位うっれしそうによー。やってらんねぇぜ」
メガトロンをせっついてレーザーウェーブの元へ送り出した後ひとしきり愚痴る、航空参謀と情報参謀であった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

実写に光波が出ますように!そして読んで頂きありがとうございます。

  • 光波さん健気ぶり禿萌えた -- 2012-06-26 (火) 00:38:48
  • これは良いものを見た爆乳参謀はほんと良妻だわおまけのスタスクと音波もいいキャラしとる -- 2015-06-07 (日) 13:34:37

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