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オリジナル 「夜のお話」

ナイト/ミュー/ジアム風オリジナル

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

訪れた人々が帰った後の博物館。
閉館時間。遠くで扉が閉まり、鍵をかける音が聞こえる。
室内の電灯は完全には消されておらず、ほのかに明るい。
人の気配がないのを確かめつつ、動きだす。

「…んー……そろそろ大丈夫かな」
狭いケースの中から外を見る。
他の仲間も同じように思い思いの行動をし始めていた。
その中から自分の所に走ってくる者がいた。
「語武浄~!」
自分よりちょっと幼い容貌の少年、坂羅。
すっごい笑顔で、もうキラキラ輝いて見えるくらいだ。
それにつられてこっちも笑顔になる。
でも…。

「坂羅…走ったら駄目だろ。転んだりしたらどうする?」
もしも、そんな事になったら…。気が気でなかった。
「…ごめんなさい…早く会いたくなっちゃって…」
「………」

横に置かれた腕と無い体をちらりと見て、ふぅ、と溜め息をついた。
「坂羅に何かあったら嫌なんだよ。それに俺、毎晩ここにいるじゃないか」
気持ちは分かる、自分だってすぐにでも会いたい。
けど、心配でもあった。それだけ大切という事。
坂羅は落ち込み下を向いたまま、こくんと頷いた。
少しの間の沈黙。
俺は重くなった空気をなくす為に今日1日の話を切り出した。
していくうちに段々と笑顔も戻ってきていた。

(良かった。もう大丈夫だな)
自分に顔を見つめられると照れるのか、
恥ずかしそうに視線を合わせたり外したりする。
本当に可愛い。
いつも見せてくれる色々な仕草、明るくて素直なところ。
全て。全てが好き。
けれど一番良いのは、笑っている時だ。

暫く話をしていた時にあの事を思い出したのか、俺に聞いてきた。

「…ねえ…語武浄。次の場所に行かずに帰るの…?」
言われた瞬間、体がビクっと震えた。
まだ知らないと思っていたのに…。
仲間数名が帰る、その中に自分も含まれていたのだ。
この事は後々で言うつもりだった。
「…だ、誰から?」
「来てたお客さんから」
その答えに納得した。
恐らく会話で聞き、知ったのだろう。

「ごめん、お寺に戻らないといけないみたい」
「僕も一緒に戻りたい…」
流石にこれは変えられなかった。
すでに向こうへ行くメンバーは決まっていた。
2ヶ月ちょっと、待つ間は長く感じるだろう。
今まで一緒にいた。だから、離れて過ごすのに抵抗があった。

「いない間は…。…坂羅が帰ってくるの楽しみに待ってるから」
「本当…?」
もちろん!と俺は首を縦に振った。

「…それじゃ、…約束…」
そう言って坂羅は正面に立つと、囲っているケースを取り、静かに足元へ置いた。
遮っていた物がなくなり、いつもより嬉しそうなのが分かった。
「ふふ、皆には内緒ね」
「内緒って…」
不安そうな自分にニコっと笑顔を返してくる。
まったく。お前のそういう顔に俺は弱い。
「……しょうがないな」
瞼を閉じて大好きな相手の唇にそっとキスをした。

------

人々が帰った夜の博物館。
電灯がほのかに点いた室内で物思いに耽る者がいた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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