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八丁堀×カザリ職人

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                    | ハ丁堀×カザリ職人
                    | お正月ネタだモナ
                    |
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 初代シゴトニンの頃だって 
 | |                | |            \
 | | |> 再生.        | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  イマゴロオショウガツ?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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静かに更けゆく夜。長屋の冬は冷えるというのに、ヒデは火鉢も熾さずにただ座っていた。
大晦日の夜。年内に納める仕事は全て終わらせた。飯屋のツケも支払った。
いつもなら痛いほど静かな時間にも、遠くに人々のざわめきが聞こえてくる。
昼の間は、年明けにと頼まれた簪に没頭して過ごした。
隣家のミスズの無邪気な誘いには、笑顔で羽根突きの約束をした。
だが、新しい年は何をしていても近づいてくる。
「くそ…ッ」
ヒデは身体ごと抱きこむように膝を抱えた。

ナワテ一家は、新年を前に除夜の鐘を撞きに行こうと支度を始めていた。
「お父様、ヒデさんも誘ってはいけませんか?」
深夜の外出にうきうきした様子で、ミスズがサモンに問う。
「うーん、どうかなあ。昼間もずっと仕事をしていたようだし、
 疲れて寝てしまっているかもしれないぞ?」
「今年の分は仕上げてしまったからって仰ってましたけど、ヒデさんもあまり根をつめては
 お正月早々身体に障りますわ」
「あいつは真面目な奴だからな。少々融通が利かないが、まあそこがいいところだろう」
心配げな妻に笑顔で返しながら、サモンはふと垣間見たヒデの表情を思い返していた。
「出来る分には早く手をつけておきたいんだ」といいながら、ノミの音にいつもの軽やかさはなかった。
何かから逃げようとするかのように、ひたすらに作業台に向かっていたが、
心ここにあらずであるのは明らかだった。
まだ若く青さの抜けないヒデが、急に塞ぎ込んだり不機嫌になったりするのは珍しくない。
だがサモンにはどうにも気がかりだった。

蝋燭の細い明かりの中、ヒデは自分の右手を見つめる。
この手は何人の人間の息の根を止めてきただろう。
時々、たまらなくなるときがある。
法で裁けぬ悪を葬るためとはいえ、自分は金で人の命を奪っている。
死んでいった罪なき者たちも帰っては来ない。
新しい年が来ても、またこの手を血に染め続けるのだろうか。
その次の年も、またその次も。
裏家業に足を突っ込んだ頃はそんなことは考えなかった。
あの男が現れてから、他人と組むようになってから、こんな苦しさが胸の奥を突くときが増えた。
自分とは違い、守るべきものを背負った男たちはいつだって強い。
どれだけ反発しても、結局は己の浅さを思い知らされる。
ヒデは無言のまま蝋燭を吹き消し、草履を引っ掛けてそっと家を出た。

すれ違う人々は一様に浮かれた様子で、新年を待つ期待感に溢れている。
早くもほろ酔いの者や楽しげな男女、家族にを横目に、ヒデは裏路地に足を進めた。
落ち着けずに出てきたものの行く当てもない。今は誰とも顔を合わせたくなかった。
人のいないほうへいないほうへと、ひたすら歩いた。
気づくと番屋が見えてくる。知らず、引き寄せられるように二、三歩踏み出して、ヒデは我に返った。
足が動かない。膝が震える。
あの明かりの中にいるであろう男は、どんな思いで新年を迎えようとしているのだろう。
そこへ障子が開き、数人の同心が顔を出した。
待機していた岡ッ引きや捕り方に指示を出す中に、見知った顔はなかった。

途端に力が抜け、ヒデは舌打ちしてきびすを返すと闇雲に駆け出した。

鐘の音が静かに響いてくる。年が明けたらしい。人々の歓声や手を叩く音が風に乗って聞こえる。
その微かな音からも逃げ出したくて、ヒデは川沿いの林の中へ踏み込んでいた。
自分の周りだけ切り取られたような静寂が重い。
苦しくて何度も息を吐いた。荒い呼吸を繰り返しすぎてくらくらと眩暈がする。
ふらつきそうな足を踏ん張り、己の両肩を強く握り締める。
「新年早々何をぼーっとしてやがる」
不意に掛けられた声に、ヒデの心臓が本気で跳ね上がった。
勢いよく振り向いた顔に、馬面の同心はやれやれと肩をすくめ歩み寄る。
「ま、新しい年の幕開けを静かに受け止めるってのも悪かねえがな」
ぽんと肩を叩き「おめでとうよ」と静かに言った。
が、モンドの顔を見つめたままのヒデに、訝しげに首をひねる。
「おい、どうしたい。何だもう屠蘇がまわってんのか?」
「いや…」
目を逸らすヒデに、モンドはため息を一つついて続けた。
「あんまり番屋の周りうろちょろすんじゃねえ。毎年飲んでごたごた起こす奴が多くて
 奉行所も警戒が強えんだ」
やはり気づかれていたのか。ヒデは自嘲気味に笑った。
「それに、俺に尾けられて気づかねえとは珍しいな。何かあったか」
「何もねえよ」
取り付く島もない態度。僅かだが声が震えているのも、ひどく危うげな空気を纏っているのにも
気づいていないのだろう
お天道様が沈んでまた顔を出すことに変わりはないのに、年の変わり目というだけで、
その節目はときに重く大きくのしかかる。
モンドは不意に、ヒデの懐にひょいと手を差し込んだ。あまりに無造作な行動に、
ヒデは一瞬硬直したのちに慌てて飛び退く。
「何しやがる!」
「お前ェらしくもねえ。エモノも持たねえで出歩くとはな」
モンドの目は笑っていなかった。ヒデはそっぽを向いたまま黙っていた。
何を言っていいかわからなかった。

「おっさん」
「あ?」
言いかけて、ヒデの舌はそれ以上動かなかった。
今まで何度となくぶつけた疑問は、胸の中でぐるぐる回った後に萎んでいく。
自分のちっぽけな疑問や煩悶など、言った傍から惨めになるだけだ。
見知った昼行灯が大きく見える。決して届かないほどに大きく、遠く。
ヒデは無言のままぎくしゃくと背を向けた。早くここから去りたかった。

「心配ぇすんな。お前ェの獄門は俺が見届けてやる」

振り向いたヒデにはモンドの背中しか見えない。
「どうせそんときゃ俺も三尺高い台の上だ」
肩越しにちらりと視線をよこしてモンドは続けた。
「それまでせいぜい悪あがきしながら生きてやンのさ」
呆けたように立ち尽くすヒデ。初めて見せる無防備な顔。
「ババアカカアに加えて、女共やケツの青いガキの面倒も見なくちゃなんねえしな」
憎まれ口を叩くかと思えば、神妙な表情で俯いている。
言っておいて何だが調子が狂うと思いつつ、モンドは何気なく付け加えた。
「おでん屋が女房と娘連れて鐘を撞きに行くんだとよ。もう寺にいるんじゃねえか?娘がはしゃいでたぜ」
サモンにもお見通しか、とヒデはため息をついた。だが今は、それもいいかと思えた。
「あんた、仕事は」
「あ?夜廻りってことにしときゃどうにでもならあ。いざとなったら
 お前ェ酔っ払ったフリしろ。俺がとっ捕まえたことにするからよ」
「冗談じゃねえや」
むっつりと返す顔はいつものヒデだった。

「甘酒飲むか」
「ガキじゃねえ」
「そうかい」
「…おごりならもらう」
「…この野郎」

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 | | □ 停止        | |
 | |                | |           ∧_∧  
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ガキトオッサン
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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初代の頃のカザリ職人は、いつも無駄にカリカリしてて
やたらとまわりに突っかかりまくる阿呆なクソガキです。

苛めたい。

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