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幸福の王子 「幸福の王子異説」

801CP的な意味でちょっと投下迷ったんだけど、
意味不明な映像や切れ端も収納してるってことでここに・・・。
同じネタ続くけど勘弁願いたい。幸福の王子異説です。
元ネタは「日/本/語はな/ぜ美/し/いのか」黒/川/伊/保/子著

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

王子様の銅像は、町の高い高い台の上にそびえていました。
<幸福の王子>
人々はそう呼んで見上げました。
王子の一生はたいそう幸せでした。
亡くなってから立てられたその銅像も、純金の箔で全身を包み飾られ、
目にはキラキラとサファイヤが輝き、剣の柄には真紅のルビーがはめ込まれ、
朝に夕に、また月明かりにも幸せそうに輝いていました。
それでも月日は流れ、王子は少しずつ少しずつ、くすんでいっていました。

ある夕暮れ、一羽のツバメがこの町に飛んできました。
寒い冬を暖かい南の国で過ごすために長い旅に出るところです。
ツバメは今夜の寝床にしようと王子の足元に降り立って身を寄せました。
そうして、いざ眠ろうと目をつぶると、ぽつんぽつんと冷たい雨粒が頭の上に落ちてきました。
ツバメはびっくりして、慌てて目をあけるとそれは雨粒ではなく、王子の流した涙でした。
ツバメはちょっと怒って王子に文句を言いました。
「ねぇ、きみ。僕は雨露がしのげるだろうって、きみの足元にやってきたのに、どうしてきみは
涙なんか流して僕を濡らすんだい?」
王子はすまなそうに答えました。
「ああ、きみ悪ぃな。でも、ここから見える世の中が悲しくて、泣かずにはいられないんだ。
なぁ、ずっと向こうの小さな家が見えるか?あそこの母親は熱病で苦しんでいる。
小さな息子はお母さんにオレンジを食べさせたいと思ってるんだ。だけど、家は貧しくて日々の生活にも困ってる。
ねぇ、きみ。夜が明けたら、あの家の男の子をここに連れてきてくれないか。」
ツバメは遠くに見える窓の明かりをぼんやりと眺めながら、「今は暗いから明日になったらだよ」と王子に返事をしました。
そして、ツバメはとても眠かったので王子の足元で目を閉じました。

翌日、ツバメは約束どおり王子の下に男の子を連れてやってきました。
でも、男の子は母親のことが心配で気が気ではありませんでした。
そわそわと落ち着きのない男の子に王子は少し笑っていいました。
「きみ、お母さんにオレンジを食べさせてやりたいんだろう?」
男の子は黙ってうなずきました。
「きみのお母さんが元気になったら、雑巾とバケツを持ってまたここに来てくれ。
約束が守れるなら、俺の金箔を少し分けてやってもいい。」
男の子はどうして王子がそんな条件を出すのか不思議に思いましたが、
お母さんにオレンジを食べさせてあげたかったので、しばらく考えてもう一度うなずきました。
そうして、「あんまり目立たないところから剥がしとってくれよ」という王子の言葉に従って金箔を少し剥がしました。
男の子はそれでオレンジを買うと大急ぎでお母さんのところへと帰っていきました。
その様子を見ながら、ツバメはひらりと少しくすんだ王子の肩に止まりました。
「きみは一体何を考えているんだい?」
王子は少し意地悪そうに笑って「春になったらわかるよ」と答えました。
「さぁ、きみにはもう一つ頼みたいことがあるんだ。きいてくれるかい?」
ツバメは肩をすくめていいました。
「旅立ちに間に合うならね。」
王子はまた笑ってツバメにいいました。
「俺って、とっても素敵だと思わないか?輝くサファイヤの眼、全身金箔張りの豪華なつくり・・・」
ツバメは最初こそ楽しげに王子の自慢話を聞いていましたが、
次から次へと出てきては延々と続く王子の自慢話にほとほと呆れかえってしまいました。
そして、とうとういつ終わるとも知れない話をさえぎって聞きました。
「それで、きみは一体どうして欲しいのさ?」
「もちろん、きみがこれから立ち寄る町々で俺の話をしてきて欲しいのさ。この町には世にも珍しい立派な像が建っているって。」
ツバメは王子の自慢癖に呆れましたが、王子のする自慢話は聞いていてそれなりに面白かったので、
まぁそれくらいならと承知して、南の国へと飛び立っていきました。

そして三日後、王子の下にあの男の子がやってきました。
手には約束どおり雑巾とバケツを持っています。
「この間はありがとう。おかげでお薬が買えて、母さんはすっかり元気になったよ!それで、僕はどうしたらいいの?」
「その雑巾とバケツで俺のことをピカピカに磨き上げてくれ!」
男の子はうなずくと雑巾で王子の体を磨き始めました。
夕暮れ時になると、王子はまた金箔をちょっぴり剥がしてもらって、
(王子はやっぱり「目立たないところから剥がしてくれよ」と言います)男の子はそれでパンを買って帰ります。
そうして、二人は毎日を過ごすようになりました。
男の子が体を磨く間、王子はやっぱり自慢話をしていました。
王子の話が面白くて男の子はクスクス笑います。
そうすると王子はますます自慢話に花を咲かせます。
絢爛豪華な王宮のこと、すばらしい王様のこと、美しい王妃様のこと、自分がどんなにかっこいいか、
また戦いでどんな手柄を立てたかなど、王子の自慢話はつきません。
そうして一ヶ月が過ぎた頃、町には南の方からの旅人が増えてきました。
そうです。旅人たちはあのツバメに自慢話の好きな美しい王子の噂を聞いて一目見てやろうとやってきた人たちです。
町の広場で人々はピカピカに磨き上げられた王子の像を見てみんな眼を見張りました。
こんなに美しい像は自分たちの町にはありません。いいえ、きっと世界中を探してもここだけでしょう。
王子はぽかんと口を開けて見上げる人々を見て自慢げに男の子に言いました。
「ほらな、俺はとってもカッコイイだろう?」
「僕がピカピカに磨いてあげてるからでしょう?」
「もちろん、きみのおかげさ!」
男の子はやっぱりクスクス笑いました。

やがて春が来てあのツバメが帰ってきました。
すっかりきれいになった王子の肩に止まって、ツバメは広場を眺めました。
周りには人、人、人の大行列です。よく見ると、あの男の子が旅人たちの解説役をかって出ている様子も見えました。
「やぁ、ずいぶん人気者になったね!」
「もちろん、きみがあちこちの町で俺のことをふれ回ってくれたおかげさ!」
王子の言葉にツバメは少しびっくりして言いました。
「それじゃあ、また南の国へ行くときは違う町を通ってきみの自慢をして歩かなきゃ!」
「ああ、是非ともそうしてくれ!」
こうして町はあちこちから王子を見に来る旅人たちで賑わい、段々と豊かになっていきました。
今日も王子は朝に夕に、また月明かりにも幸せそうに輝いています。
「ほらな、やっぱり俺はとってもカッコイイだろう?」
「僕がピカピカに磨いてあげてるからでしょう?」
「もちろん、きみのおかげさ!」
言い合って二人はクスクス笑いました。
今日も世界中から<幸福の王子>を見上げに人々が集まってきます。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

名前欄がめちゃめちゃなのは堪忍してください・・・orz
黒/川女史の私がもし幸福の王子なら、仕事にあぶれた人々に招集をかけるだろう。
「私をピカピカに磨きなさい」と。
という、文から妄想してみました。
上の話が好きな人には申し訳ないけれど、少しやりきれないと思った方には
こんな考え方もあるんだよーと思っていただければ。


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