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某バンド シンセサイザー←ベース 「懸想の夜」

初です。
某盤度のベースしか出てないシンセ←←ベース。
ぬるいオナニー描写とナマモノ注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

水気を含んだ雲が垂れ込める夜、風は吹かず湿度は普段より異常に高い気がする。寝苦しくて、眠れない。
ぼんやり眠気が訪れるのを待ってるうちに取り留めない思考が流れ始めた。
気圧の乱れるときには古傷が痛むってよく言われてるけど、あのひともこんな夜には痛みに苦しんだりしてるんだろうか。
普段朗らかなあのひとがふとんにくるまって眉間にしわを寄せてうずくまっている姿を思う。
体に走る傷に潜む何かが何かを訴えてあのひとを苦しめている姿を。
それとは関係なく独りの夜に思うことは、あのひとの傷痕に触れてみたいということ。触れてみたい。キスしてみたい。舐めてみたい。
いつも思うことと、この熱帯夜の夜に思うことがごっちゃになってきてイメージもない交ぜになる。
苦悶するあのひとの傷痕を舐めたい。それで、あのひとの声を聞きたい。浮き出た汗の味を感じてみたい。
そこまで考えてわれに帰った。
頭を振って考えを飛ばそうとしたけど、体の正直さに気がついてしまって、苦笑いを浮かべる。

寝巻きにしてるスウェットと一緒に下着もずり下ろして片足を引き抜く。
相も変わらず湿気た夜で首周りに汗が滲む。
けど、それは湿気のせいだけじゃないんだろう。
熱い。ふとんも取っ払った。

俺はあのひとのことが好きで、けどあのひとに気持ちを伝える手段も方法も考えられない。
諦めがすべてにおいて勝っていて自分を慰めることしか思いつけなかったから今もこんなになって息を継いでいる。
涎を垂らしている。汗にまみれている。指先と手のひらに滲んでくる自分の体液には苛立ちとやるせなさを感じている。
熱気は依然として停滞。その隙間を縫って”そんなことをしても何も変わらないよ”と夜は無言で囁いてくる。

「…知ってるよ、そんなことはっ、」

どうしたらいいかわからなくて手近なものに手を伸ばしてるんだ。どうしたらいいんだろう。どうしたら、どうすれば。
泣きたいけどこんなことに泣いてもしょうがない。なのにどうしようもなくて、結局泣いてしまう。
どうしようもないのは勇気のない自分のせいとわかっているのに。

まぶたの裏、イメージが再生される。現実と妄想もごっちゃになって、想像上のあのひとと、リアルなあのひとが笑いかけてくる。
ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい。ごめんなさいと思うのに頭と体が正反対に動く。ちぎれてどっちか死んでしまえば楽なのになぁ。
あぁ、そうか。俺はどっちとも欲しがってるんだ。いつもやさしい朗らかなあなたと、俺の劣情も受け止めてくれるあなたを。
欲張りでごめんなさい。こんなことを思ってごめんなさい。好きになってごめんなさい。

身を震わせた後にまぶたを開いた。ティッシュは間に合わなかった。
手にかかって、夜具にも飛んだそれらを思って重たいため息をついてから、枕もとのケイタイが何か示しているのに気がつく。
ティッシュで手を拭ってからディスプレイを覗いて、ひゅ、と血の気が引く。新着メールが一件。あのひとからのメールだった。
途端に部屋に立ち込めるにおいを自覚した。ケイタイを握る手が震え始めた。
なんで、このタイミングなんだ。

あのひとを思って行為に耽ることなんて数え切れない。いつものようなことだった。
そのいつも以上の罪悪感でいっぱいになって目に涙が溜まる。今にもこぼれてしまいそうだ。
告白する勇気も開き直る勇気もないくせに手近なものには手が伸びる。
自分でも呆れたけど、震える指がメールを開封した。

『熱帯夜で眠れないよー>< おまけになんか昔怪我したとこまで痛んでくるしサイアク;ー;
そっちはどう?眠れてる?』

読まなければよかった、と思った。あまりに明るい調子の文面は眩しすぎて自分の影が余計に濃くなるよう。
ドロドロとした感情が一層粘り気を増す。罪悪感は深まる。涙はとうとうこぼれる。劣情は、その勢いを増した。
知らされた今を取り込んだイメージは箍を壊して押し寄せてくる。自制が効かない。
混乱しきった頭と裏腹に体には節操がない。こんなの嫌だって思いながらも自身の熱に手が伸びている。

手放したケイタイの光るバックライト。そこに映る文章を唇噛み締めながら涙でぼやけた視界で見ていた。

「眠れてるわけがないよ。眠れてるわけがないじゃないか・・・。
それもこれもみんな、・・・みんな、」

今はもう、真っ暗に融けて読めない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

デソワでした。お目汚し失礼しましたー


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