生
更新日: 2011-01-12 (水) 00:28:59
乳首が書きたくてやった。
ナマモノで書いたものですが、全て一人称です。
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脳が中心から溶けてゆくようだ。全身の血液が一瞬で沸騰するような興奮とは違って─
──特にこの何ヶ月かにおける「仕事」中には味わえない、ぬるま湯のような温度の快楽。
ジュニアスイートのバスタブに二人で浸かり、全身ぴかぴかでいい匂いになった後のベッドの気持ちよさは格別だった。
ぱやぱやの手触りになった彼の少しくすんだ色の髪に、顔を押しつければシャンプーの花の香り。
割と彩度の高い自分のそれを掻き分ける彼の優しい指も、
さらさらの皮膚を触れ合わせながらシーツの滑る感触を楽しむのも、何もかもが淡い快楽に包まれている。
最初は大抵触れ合わせるだけのキスから始まる。
段々わざと音を立てて吸い合って、あとはもうキスというより、息が続く限り口の中の粘膜を舐め合う感じだ。
僕はキスが好きだし彼もそうなのかもしれない。
唇を合わせずに最初に舌だけを突き出して、いきなり絡めるところから始めるのも好きなやり方のひとつだった。
そして互いに胸元に両手を這わせれば、どちらともなく甘い声を上げてしまう。
彼は僕を焦らすのが好きで、首から段々と下がっていく両手がまずは筋肉を撫で回すように愛撫し、
中心に近付くと指の間隔を狭くして、少し膨れた僕の乳輪を丹念になぞる。
間に挟んでいる指の側面が触れるか触れないかのところで速度を上げてゆき、
僕が「もっと強くこすってしごいて、摘んで」とねだるまで焦らしてくるのだ。
彼が調子にのっている時は「ドコを」まで言わなくちゃいけなくて、
「僕のこりこりに固くなったピンクの乳首を」くらいは申告しないと触ってくれない。
彼は少し痛いくらいにされるのが一番感じるから、僕は自分ならあんあん言えるくらいの丁度いい愛撫をひたすら続けるだけ。
焦れた彼は僕の指に強く押し付けようとして体をくねらせる。僕達はキスを続けているから、一番好きな「噛んで」は禁止だ。
彼からのおねだりは「もっと強くぎゅっとして、ぐりぐりってやって」だけど、僕だって聞き入れたりしない。
結果としては仕返しに僕の乳首は触ってもらえないし、更にその仕返しで彼は爪を立ててもらえないわけだ。
唇を少し腫らせて口のまわりを涎で汚し、十分高まりきった頃にやっと男は登場する。
バスローブ姿の彼はベッドに近付くと、僕の左胸を指先で辿り、軽く倒したり押し込んだりする。
くりくりと摘みあげられると、散々焦らされた僕は腰くだけだ。
その逆側では彼は爪を立てて思い切り引っ張られ、甘い声を上げる。
ふにゃふにゃになった僕達が左右に体を這わせて彼のバスローブの合わせ目に頭を突っ込めば、
それが楽しい遊びの始まり。ただしこの辺りから僕はあまり頭が働いてないので、
起きて思い出せるのは大体序盤だけ──彼とのゆったりした甘ったるい時間だけだったりするけど。
スタートで彼に負けるとなかなか離してくれないから、僕は鼻で布地を掻き分けるようにして勢いよく頭を埋めた。
モノのてっぺんに舌を置いて仲良く絡ませるのも確かに好きだけど、
目の前でこれ見よがしにくちゅん、とかちゅぽん、とか音を出して頬張られるとさすがに癪に障る。
男が微かに笑う気配と、ローブの紐が解かれる音がした。
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