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I'm in inferno with you

本日の公開処刑は、青空無罪×大阪府大芸人です。
時間軸は先生がちちん○い○い火曜組だった頃です。
今更すぎ&愛方以外の攻なんかあり得んと思ってたのに、ちきしょう保管庫め。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

I'm in inferno with you Edit

 “むばたまの夜の寝覚めの朧月 花踏む鬼(ひと)の名を問へば 夢幻と答ふなり 夢幻と答ふなり”(浄瑠璃「鬼闇櫻玉琴」)

 「二人だけこの世に残して、みんな死んだらええのにな」
 ぼくの裸の肩に頭を凭せかけて、蠍座生まれの愛人は物騒な台詞を呟いた。
 「真剣に好きやのに、不倫や言われて非難される。ぼくはただ八代さんが好きなだけやのに、ホモや言われて笑われる。二人とも、自分のしたい仕事やってたらたまたま有名になっただけで、他はべつに普通の人と変わらんのに、芸能人やいうだけで、ちょっとした間違いを人でも殺したみたいに袋叩きされる。いっそのこと、誰もおらんようになったらええ。そしたら、堂々と愛しあえるんや」
 いなくなればいいって、君の本当の恋人の宇治原くんもかい、と尋ねようとした唇を、彼の柔らかな唇が塞いだ。生きているような舌が口腔内を暴れ回り、上顎や頬の裏側までねっとりと舐め尽くす。
 「それとも、ぼくらが死にましょか?新曽根崎心中と洒落こみます?」
 乱暴にして繊細なキスを貪った後で、妖しい瞳が顔を覗きこむ。刃物を握ったふりをした手が喉笛に当てられる。どこまで本気なのかわからない危険な光がその目に宿り、二の腕がざわざわと粟立った。
 「大スキャンダルになるよ」
 殊更に冗談めかしてそう言って、彼の頭を抱え、今度は自分から唇を重ねた。
 彼はふふっと笑って、しれっと言ってのける。
 「そうなったかて、その頃にはもうぼくらはこの世におらへんのやから関係ない。でも、どんな騒ぎになるか、見てみたい気もするな。インターネットでも『祭り』やろうな」
 とんだ小悪魔を相手にしてしまったものだ。

 いつかの蒸し暑い夏の夜、京都の旅館でのことだったか。床も延べず、服も脱がずに、畳の上に組み敷いた彼のTシャツだけを捲り上げ、言われるまま、延々と何十分も乳首だけを責め続けさせられたことがある。彼は歓んでくれたけど、ぼくには結構な拷問だった。妻にさえ、ここまで献身的な奉仕はしてやったことがない。
 「んっ・・・・あっ・・・・そう、それ。親指で・・・・してみて。もっとして」
 「こんなとこ感じるの?菅くんて女の子みたいだね」
 いい加減草臥れ、早く挿入させてほしくて、呆れたように言った。性器への刺激でもないのに、よくそんなにきゃんきゃん言えるものだ。
 「うん、よう言われる・・・・やっ、そんなやらしいいらい方せんといて。もう、先生のエッチ」
 「自分がやれって言ったくせに。よく言われるって、宇治原くんにかい?」
 彼は含み笑いして答えず、Tシャツの裾を咥えてみせる。悪戯っぽい上目遣いで挑発的に見つめられた瞬間、ぼくのジュニアは限界まで充血して、スラックスを突き破らんばかりになった。
 お願いだからもう入れさせてほしいと、一回り下の同じ辰年生まれのお笑い芸人に向かって、エリート国際弁護士のぼくが、泣くように頼んだ。
 「あかん。まーだ。もっとぼくを気持ちようさしてから」
 彼は赤んべをする。宇治原くんも日頃、こんな風に足蹴にされているんだろうか。それとも、とても大事にされているのか。
 「こんなこと、誰に教わったんだい?やっぱり宇治原くん?」
 「へへーっ」
 「君は女を知ってるの?」
 唐突にそう尋ねた。彼はまじめそうな顔をしているけど、実はカキタレ(芸人のグルーピーの中で、性欲処理をする女性)も多いとか、辛い噂も幾つか耳にする。でも、飽くまでぼくに限って言えば、彼からは微塵もそんな気配を感じない。それは、彼とこんな関係になる前、彼と相方が恋人どうしだということを知る前から思っていたことだ。
 遊びだろうが真剣な恋愛だろうが、そもそも、この青年が女性を抱いている所というのが、どうしても想像できない。あったとしても、まるで、女どうしで睦みあっているようだろう。
 彼は息を弾ませながら、殊更に胸を突き出すようにする。
 「ええやないですか、そんなこと。ほら先生、お手々がお留守ですよ!」
 「今まで何人くらいの男に抱かれたの?」
 「あいつと先生だけですよ」
 「嘘つき。その顔と体で伸し上がったんだろ」
 闇のパーティのメインディッシュとして、泣きながら、無数の好色な目に、手に、舌に、素裸の体を撫で回される彼の幻想。そういう絵は簡単に思い浮かぶから不思議だ。相方の方だったら、それこそ吉本新喜劇になる所だが。
 「失礼な。仕事は実力ですよ。だいたい、業界にそんなにホモばっかりおるわけないやないですか」
 そのけしからぬ心象を読み取ったわけではないだろうが、彼はちょっとむっとしたように、ぷっと頬を膨らませてみせた。
 発言の前半部に関して言えば、確かにその通りだ。ぼくだって彼の舞台を観たことはある。彼が宇治原くんの隣に立って、目と目を見交わしながら幸せそうに演技をする様子を見るのは、彼らがキスやセックスをしている所を見せつけられるのと同じくらい苦しかったけれど、でも、おもしろかった。脚本はみんな彼が書いているそうで、芸事に対する彼の情熱と完璧主義には定評があるという。
 しかし、後半部には全面的な同意はできない。ぼくだって、この年になるまで、まさか男性を好きになるとは思わなかったのだ。人間は多かれ少なかれ、バイセクシャルな部分を持っている、というのが今のぼくの私的見解だ。昔は男を抱くなんて、考えたこともなかったけれど。
 「先生、そんなしょうもないこと言うてる暇があったら、さっきみたいにお口も使て下さい」
 「しょ、しょうもない・・・・」
 少し傷つきながらも、彼の胸に唇を寄せ、最前からの愛撫によって赤く充血した乳首を掬うように舐め上げた。彼が背を反らせ、ひっ、というような声を洩らす。左右の乳輪を代わる代わる、柔らかくしゃぶる。凛々しい眉を切なそうに寄せたその顔は、感受性の強すぎる、潔癖な少女が、身を切るような悲憤を堪えているようにも見える。
 何の繋がりもなく、昼間彼と二人で見た、蓮華王院三十三間堂の仏たちが頭に浮かんだ。薄闇の中、圧倒的な迫力で林立する、千一体の千手観音と、その配下の異形の者たち。訪れる人はその中に必ず、見知った顔を見るという。
 古の人は、これほど夥しい仏に、どれほどの悩みを託したのか。どんな救いを求めたのか。仏は黙して語らないが、人の世は、人の心は、今も昔も変わらない。
 長く法律などに携わっていると、しばしば、絶望的な厭世感と虚無感に襲われる瞬間がある。あのド図太い橋下くん辺りならそんなことは思わないかも知れないが。
 「ねえ、ひろ」
 胸から顔を上げ、ぼくだけの愛称を呼ぶ。宇治原くんでさえ、彼のことをこんな風には呼ばないらしい。
 「うん?」
 「この世に生きるってことは、苦しみそのものだね。人は結局、ジョークやユーモアで覆い隠すことでしか、その苦しみを忘れることはできなくて、でも、そうして笑い飛ばすことができるっていうことが、人間に与えられた最大にして唯一の強さなんだろうね。君と宇治原くんは、立派な学歴を持ちながら、それを職業に選んだんだよね」
 思わず、空気の読めないマジ語りをしてしまってから、しまったと思った。案の定、彼は面喰らった様子で、
 「な、何ですか急に。さっきぼくがしょうもないって言うたこと気にして、難しいこと言わなあかんと思わはったんですか?それとも、もうほんまにおっぱい構うの邪魔くさなったとか?」
 最後の言葉について言えばかなり真実だが、慌てて手を振った。
 「いや、そういうわけじゃないけど。ごめん、忘れて。君はまだ若いし、何もかも持っているからわからないよね」
 「身長以外はね」
 と深刻そうな顔をするので、思わず笑ってしまった。
 「バスケットやってたんでね、あいつと違て、チビなんが恨めしかったんですよ。まあ、小回りが利くんで、みんなの足の間かいくぐってボールひったくるんが得意でしたけど。ぼくの左のドリブル、先生にも見てもらいたかったな。
 いや、ぼくなんか大したことないですよ。先生の方こそ、何もかも持ってはるやないですか」
 そう言って、ぼくの大好きな、コロコロコロ、という甲高い笑い声を上げる。
 そう。生まれた時から、明るく暖かい日なただけを歩いて来た。何一つ後ろ暗い点も、罪も穢れもない、栄光に満ちた完璧な人生を送ってきたのだ。
 昔、裁判官として人を裁いていたことがある。自分にはそうする資格があると思っていたし、弁護士に転身してからもそれは変わらなかった。人の悩みを解きほぐす力も、マスメディアに登場して偉そうなコメントを述べる値打ちもある人間だと思っていた。
 初めて彼を抱いた、あの日までは。
 彼はふと遠くを見るような目になり、しんみりと言った。
 「さっきの話ですけど、わかりますよ。ぼくかて、芸人やし、もの書きですから。いずれは本も書きたい思てるんです」
 無言で彼を抱きしめ、その愛しい唇に深く口づけた。ベルトを外し、ジーンズを脱がせようとするぼくの手に、彼はもう抗わなかった。
 ぼくは明日の朝一番の新幹線で東京に戻らなくてはならない。今度はいつ訪れるかわからない、黄金の一時。ほんの束の間の、恋人たちの夜。
 古都の仏たちよ、目を逸らせ。

 仕事に向かう車の中に、彼の歌う甘ったるいメロディが流れている。
 「嫌や、聞かんといて」と散々言っていたけれど、彼が随分昔に出したというアルバムを買ってみた。三組六人の漫才師で結成されたユニットで、当時、近畿圏ではかなり人気があったらしい。勿論、宇治原くんも下手な歌を披露している。京大法学部だからといって、音楽的才能があるとは限らない。
 妻子と一緒の時はさすがに後ろめたくてかけられないけれど、普段の通勤時や、公判やTV出演の行き帰りなどには、彼のお世辞にも巧いとは言えないソロ曲をエンドレスで流している。これでも、血の滲む、どころか、血反吐を吐くような特訓をしたのだそうだ。本業の稽古より大変だったらしい。
 内容は、マイルドで他愛ない恋の歌だ。この歌を録音したのは、ぼくたちが出会うずっと前のことだ。その頃にはもうとっくに、彼は宇治原くんを愛し、宇治原くんに愛されていた筈だ。
 作詞は彼ではないようだが、「語りあった日のさりげない言葉に力づけられてる」というフレーズを含む一連の歌詞を、彼は誰のことを思って歌ったのだろうか。
 風に弄ばれる木の葉のように、思いは千々に乱れるが、凄惨な刑事事件や泥沼の民事訴訟を扱った後、彼のひどい歌にどれほど慰められたかわからない。時には妻の肌よりも、料理よりも、また息子の声よりも、笑顔よりも、ささくれた心と疲れた体を癒してくれた。
 青山の交差点で信号待ちをしながら、彼のアンニュイな鼻声に耳を傾けている。朝から滝のような豪雨だ。フロントガラスに降りかかる水滴とワイパーとの果てしない攻防を眺めながら、半月ばかり前の、那智での逢瀬を思い出す。
 あの晩は二人とも、いつになく燃えた。夜の底に遠く轟く瀑布の音を聞きながら、彼はぼくの上に打ち跨り、普段の知的青年の面影など微塵もなく、汗塗れになってイク、イク、と狂乱しながら普陀落に達した。或いは、ぼくの体に四肢を絡みつけ、喰い千切らんばかりの締めつけでこちらを歓喜させつつ、腰を振り立て、快楽の果てに何度も奈落の闇へ堕ちて行った。
 今は遥かな西の空の下にいる彼を思う。「緩やかに流れる時間ばかりじゃない だけど君の微笑みあれば何も要らない」と、ぼくが知らなかった頃の、ぼくを知らなかった頃の彼は歌う。
 信号が青に変わり、アクセルを踏んだ。誰の側にいてもいい。彼の心に憂いがなく、元気で、微笑んでいるのなら、それでいい。

 夜半過ぎ、ふと目が覚めた。脇を見ると、ぼくの腕を枕に寝息を立てていた筈の彼の姿がない。
 部屋を見回すと、一糸纏わぬ姿のままで窓辺に腰掛け、カーテンの隙間から外を見ていた。
 彼の側に立った。大阪湾の上空に浮かぶアメジストの月が、仄白い頬を伝う涙に宿っている。
 「ひろ・・・・どうして泣いてるの」
 蘭の花の強い香りが立ち籠める中、そっと、後ろから彼を抱きしめた。彼はぼくの手に手を重ねながらも、かぶりを振って答えない。彼の裏切りなど夢にも思っていないであろう、やさしい恋人の面影を月に重ねていたのだろうか。
 不意に、激情が胸に込み上げた。殺したいほどの憎しみと、彼の為ならいのちを捨ててもいいという愛しさが入り交じって、怒濤のようにぼくを呑みこみ、圧倒した。
 「今は忘れてくれよ」
 「え?」
 「忘れろ、宇治原のことなんか!」
 何という奴だろうかぼくは。自分だって、妻のことをすっかり忘れて彼と寝たことはないくせに。
 「おまえは俺のものだ。俺のことだけ見てりゃいいんだよ!」
 引きずるようにしてベッドに連れ戻し、力ずくで押し倒した。生まれたままの裸身が無防備に曝け出され、彼は恥じらいを示して、秘所を手で覆い隠し、長い睫に飾られた目を伏せた。既に何度も肌を重ね、互いの最も動物的な姿を見せつけあった後でも、そうした慎みを決して忘れない彼の奥床しさを、ぼくはこよなく愛する。
 髪の毛を掴んで、荒々しくキスを奪った。ぼくの勢いに戸惑いながらも、頭と背中に手を回してきて、力強く、誠実に応えてくれる。
 足を開かせた。すぐさまあの温かい、ぬらぬらと湿った肉の洞に押し入って、めちゃくちゃに突き上げ、掻き回したいという凶暴な破壊衝動を辛うじて堪える。
 代わりに、片足を肩に掛け、太腿の内側に唇を這いずらせて、背徳の緋文字を刻みつけた。今まで、痕を残さないだけの理性は保ってきたのに。あの男が見つけても、それによって彼が、延いては自分が、どんな苦境に立たされても、もう構わなかった。
 彼の最も男性的な部分が、かわいそうになるくらいに固くそそり立ち、血管を浮き上がらせて戦いている。彼の繊細な美貌に全く見合わない、その猛々しさ。先端から透明な雫を滴らせるその様子は、彼のその部分が泣いているようにも、また、その身が燃え尽きるまで蝋涙を流し続ける蝋燭のようにも見える。
 「いや、見んといて・・・・。見たら・・・・あかん」
 細い声で訴えかけるのを無視して、熱い息を吹きかけた。両手でそっと根元を包み、先端を軽く咥える。チュッチュッと唇を鳴らして吸い上げ、舌で前後に転がすようにすると、ひくっ、と身を震わせ、子供のようにいやいやをする。
 濡れた指で、ゆっくりと時間をかけて、奥へ通じる所を揉みほぐし、押し広げた。
 「ひろ、入っていい?」
 「はよ・・・・早う、ちょうだい、八代さん」
 月明かりの差しこむ白いベッドの上で、ぼくは花を踏み荒らす。
 英輝、ああ、英輝、死ぬ、死んでまう、もう、殺して、殺して!ぼくの背中を掻き毟り、彼は何度となくそう泣き叫んだ。男二人分の体重に、ベッドのスプリングも悲鳴を上げた。
 もしも彼岸というものがあり、この世の法で裁かれることのない罪を裁く力と権威を兼ね備えた、大いなる何者かが存在するのなら――。
 上等だ。ぼくは彼と共に、六道を巡ろう。
 だってこの世には、今という時しかないのだから。ここという場所しかないのだから。彼の星屑を宿す瞳も、肌の温もりも、こうして二人一つになって高みに上りゆく感覚も、全て、ただ一度きりのものなのだから。
 銀青の鱗を光らせて、ぴちぴちと跳ねる魚のように、彼の小柄な体が弾む。ぼくの愛が彼の中にざあっと流れ出し、彼の愛にぼくの肌がしとどに濡れる。
 「・・・・八代さん」
 汗ばむ胸に頬を擦り寄せて、彼は囁く。
 「ぼくはさっき、あいつのことを思い出してたんやないですよ」
 「・・・・ああ」
 嘘か本当かわからない。もうどちらでも構わなかった。彼がそう言ってくれた、というだけで。
 「ごめん」
 頭を抱き寄せ、そっと瞼に口づける。
 「気にせんといて下さい。お互い朝から忙しいんやし、休みましょ」
 謎めいた弱々しい微笑みを見せて、ぼくにタオルケットを着せかけようとするのは、何者か。天使か、悪魔か。菩薩か、夜叉か。
 ぼくはその手を頑なに拒む。
 「眠らない。寝かせない」
 別の誰かの夢を見てほしくないから。
 彼を俯せにさせた。うなじを軽く噛む。彼がシーツを握りしめ、深く息をつく。その白い肩から背へ、背から腰へ、淡雪を解かすように、舌を伝わせてゆく。

Fin.

Edit

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

しかし、コキュという役所が妙に似合いますな。>京大出の人

song 中島みゆき「雪・月・花」(決して工藤静香のバージョンではありません)
そして勿論、菅広文「I'm in love with you」

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