戦国BASARA 真田幸村と猿飛佐助 「新茶のころ」
更新日: 2011-01-12 (水) 00:28:36
携帯から失礼します。
戦/国BA/SA/RA 真田主従 カプ要素のないほのぼの話
閑/吟/集を読んで破廉恥!と思った結果できた話です。
小唄の引用あり…というか小唄が話の中心です。
歌そのものは男女の恋愛がテーマですのでご注意を。
ソレデハ ジサクジエンガ オオクリシマス! ( ・∀・)つ皿 |> PLAY
「佐助、お館様から新茶を賜ったぞ」
甲斐から上田城へ戻ったばかりの幸村は、留守を守らせていた佐助を呼ぶなり、うきうきとした様子でそう話した。
良い香であろう、と幸村の掲げる包みからは、なるほど青い茶葉のさわやかな香りがする。
「お、良いね。きっと上等のだ」
「そうだろう、早速頂こうではないか。佐助、頼む」
そう言って幸村は佐助に茶葉の包みを渡す。つまり淹れてこいということだ。
「はいはい…。全く、忍にこんなことさせないでくれよ、腹いせに黴びた古い奴淹れちまおうかな」
「何を申すか、そもそもそんな古い茶など取っておくな」
「だって勿体無いじゃないの」
「貧乏性だな。淹れての後は 古茶知らぬ、だ」
幸村の楽しそうな言葉に、佐助はちょっと驚いた顔をした。
「どうした」
すると、佐助は堪えきれなくなったようにくっくっ、と笑いを漏らした。
「な、何だ気味の悪い」
戸惑った様子で幸村が言う。
「ちょっとアンタ、その歌どこで覚えたの」
「この歌か?『新茶の茶壺よのう 淹れての後は 古茶知らぬ 古茶知らぬ』であろう、城下で聞き覚えたが、何かおかしかったか」
「ああ、うん。旦那じゃ解らなかったか。あのねぇ、この歌は…」
佐助はにやにや笑いながら、幸村の耳元に口を寄せて囁いた。
新茶の茶壺よなふ 入れての後は こちやしらぬ こちやしらぬ
幸村が口にしたのは、歌の表の解釈だ。
しかしこの小唄は、裏の解釈で世に広く通っている。
「古茶じゃなくて此方や、だよ。茶壺は女の胎、入れるのは男の魔羅さ」
「なっ」
幸村は一声叫ぶなり、ばっと弾かれたように飛び退いた。
顔にはみるみるうちに血が昇り、額の鉢巻よりも赤くなる。
「は、は、はははは破廉恥なっ!」
わなわなと震え頭を抱えてうろたえる様子に、ついに佐助は声を上げて笑った。
「あははは、アンタは本当に初心なんだから!」
「か、かように破廉恥な歌とは知らず口にしてしまうとは、不覚でござる…」
「小唄なんてだいたいそんなもんでしょうに。ま、俺様しか聞いてなくって良かったじゃない」
佐助はそう言ってなだめようとするが、幸村は首をぶんぶんと横に振る。頬を冷や汗が伝い落ちた。
「実は…茶葉を賜った時に、お館様の御前でも歌ってしもうたのだ」
「…あらま」
「あのときお館様があれほどお笑いになったのは、そういう訳でごさったか!
うわあぁぁぁ叱って下されおやかたさまあぁぁぁぁぁぁ!!」
幸村はいよいよ炎を出さんばかりに熱くなり、絶叫して床をごろごろ転げ回る。
「旦那、旦那。大将はそんなこと気にしちゃいないって…って聞こえてないな」
佐助はひとつ溜め息を吐き、幸村の悲鳴を後ろにそっとその場を離れた。
湯は茶釜の中でよい具合に煮立っている。
紙の包みを開けば、初夏の芳香がふわりと立ち上った。
「旨いからって飲み過ぎないでくれよ」
「わかっておる」
「寝付けなくって夜中に鍛錬でも始められたら、騒がしくってみんな眠れないし、」
「うむ」
「だからって床の中にじっとしてたら、絶対さっきの事思い出して騒ぐだろうし」
「そ、それを言うなっ」
幸村が恥ずかしそうに手を振り上げるのを、佐助は笑って受け流す。
「はいはい。さ、入りましたよ、旦那」
今日は平穏な日である。
携帯から失礼します。
(;・∀・)つ皿 □ STOP
正味、幸村に破廉恥って言わせたかっただけです。
ありがとうございました。
このページのURL: