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野球 二人のスラッガーと三人の野手 「スイッチ」

二人のスラツガと三人の屋主がモデル。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

外からは小さな店に見えたのだが、店内は奥に長く続いている。
席を案内する店員に付いて行くと、横からささやくように自分を呼ぶ声が聞こえ、足が止まった。
振り向くとチー.ムメイトが陽気な笑顔を見せて手招きをしている。
その陽気な男の向かいにはもう一人座っている。彼も振り向いて無愛想に会釈した。
寄ると無愛想な男が黙って奥に寄るので、隣に座ることにした。
「来てたんだ。二人の邪魔をして悪いな」
すると目の前の男はしーっと指を口許に当てた。
「ええって。それより今おもろいことが起こっとんねん」
彼はウーロン茶二つとサラダしか置かれていないテーブルの上で頭を屈め、奥に座り直した。
何事かと隣を見ると、無愛想な男もまた頭を低くして黙る。
声を潜めているのだとわかり、隣にくっついて、黙ってきき耳をたてた。
仕切りの向こうから声が聞こえた。

「だーかーら、お前もウジウジしてんなよ」
「してませんよー。でもね、ほんまへこみますわ」
「お前しつこい女みたいじゃの」
ぽりぽりと野菜を噛む音が聞こえた。

「え。この声まさか…」
向かいの男はニヤリと頬に皺をつけて笑う。
「そ。ウチの大船主と大大船主様や」
「へー。偶然」
すると隣がじっとこちらを見据えた。
「今日一人だったんですか」
「いや連れがいたんだけど、あいつ遅れるみたいで…」
「…誰ですか」
ずいっと真剣な眼差しで寄ってくるので、背中を反って席ギリギリまで後退る。
「こらあ。お前そんなん後でええやろ。こっちこっち」
奥を指差す男の言葉に、問い詰めていた男は更にムスッとして黙り込んだ。

「お前がそんなんやとな…」
三人は「ん?」と顔を見合わせる。
突然大大船主様の口調が変わったからだ。
先ほどまでの明るさはぷつりと消え、どこか寂しさを含ませた静かな口調だった。
「え」
それは彼を目の前にした大船主にも十分伝わっているようだ。
「…お前がそのプレッシャーに勝てるなら、俺は何でもすんのになあ」

カチ

再度三人は顔を見合わせる。
聞こえた。
今、確実に。
スイッチの入る音が聞こえた。

「何でも…」
「あ、でもまあ俺のできることも限られてるしなあ」
「い、いや!そんなことないです!」
…あなたにしかできない、あなたにしか望めないことがある!

突っ込みを直接言いたくても言えない男は頭を抱えた。
「大船主…心の声だだ漏れや…」
「わかりやすい人ですね」
もう一人は感心するように頷く。

ガタンと椅子を動かす音。
「変なこと言ったな。俺先帰るわ」
大船主は返事をしただけで動かないようだ。
足音、沈黙。店内のざわめき。
「…何でも、してもらえる…」
まるでおまじないを唱えるような呟きの後。
彼は、ふふふと笑った。

そこまで聞いて、男は耐え切れずテーブルに顔を突っ伏した。
すぐに顔を上げて無表情を装う向かいを睨みつける。
「…おい、お前。アホほどウッて、この人の活躍を吹き飛ばせ」
「何勝手なこと言ってるんですか」
「お前、このままやとえらいことになんねんぞ!」
「…だからって俺を当て馬にしないでください」
ふう、とため息ひとつ。
ここでさりげなく言ってみよう。
「でも、もし俺が…あの人以上に活躍したら…」
と、左を向く。
が、先ほどまでいた小柄な男はいなくなっていた。
「そいつなら、さっきお連れさんが来て奥に行きおったで~」
ヤケのようにさくさくとサラダを食べ始めた男から、冷静なツッコミが入った。
「え、連れって誰…」
問い詰めようとした時、目の前に現れた人に気が付いてさあっと表情が曇る。
サラダを食べていた男もその表情に気付いて手を止めた。

頭上から降ってきた声。
「何や、騒がしのーと思ったら。何しとん」

振り向くことができなかった。
さっき帰ったはずじゃ。
「俺の声はよう聞こえたか?」
きっと彼は、目を細めて笑っている。
彼が勝利を決めた時の表情だ。
敵わない…。
二人は同時に、心の中で白旗を振った。
仕切りの向こうでは、何も知らない彼が、色んな想像を張り巡らせているのだろう。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

もっとこの板らしくイチャイチャしたのが書けたらな…。
同志に託します。

  • 大船主と大大船主様の続きが読みたいですw -- 2010-01-29 (金) 00:32:45

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