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Ruina 廃都の物語 アベリオン×シーフォン

何だか呼ばれたような気がしたので投下
R.u.i.n.a賢者編でしーぽんエンド後、ネタバレ満載
あと中盤の固有イベントを見てないと多分わけわかめです、よろしく

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あれから二ヵ月後。
古代の帝王は倒れ、町には徐々に平穏が戻りつつあった。
チュナをはじめ石化の病にかかっていた子供たちも各地で続々と蘇生したと聞くし、
中空の都に魅せられていた人々もまるで夢から覚めたように各々の生活へと戻っていった。
周辺の畑では冬小麦の種まきも終わった。
来年はきっとイナゴにも荒らされずにきちんとした収穫が望めるだろう。

とはいえ、町への来訪者はまだまだ後を絶たなかった。
テレージャとヘデロン教授率いる調査隊の人足たち、
いまだ一攫千金を夢見る冒険者に商人、好奇心旺盛な観光客。
この半年間、多くの災厄に見舞われたこの町において
彼らがもたらす経済効果に期待する者は数多かった。
実際パリスなどは妹と共に小さな店を開いて
土産物を売ったり遺跡内のガイドをして稼いでいるようである。
遺跡の中ではまだ夜.種たちがうごめいてはいるが、
以前のように倒しても倒しても沸いて出てくるようなことはなくなった。
夜の闇に乗じて町を襲うこともない。丸腰で遺跡の奥深くまで潜るような無謀をしない限り、
彼らはもう危険な存在ではないのである。

アベリオンは今、焼け跡に以前とさほど変わらないささやかな小屋を建て直して住んでいた。
小さな畑も作ったし、遺跡内で採取できるコケや薬草を調合して
薬品として販売することで十分に暮らしていける。
最近では彼を医師として頼ってくる者もおり、
以前師匠と共にしていた事と何も変わらない穏やかな暮らしだった。

シーフォンは――アベリオンの引止めに応じて、まだこの町にいる。
「お前とは関係ねーけど」、もう少し遺跡を調べてみるそうだ。
そして同時にパリスの主催する観光客向けの冒険ツアーにて「ラスボス役」を請け負っている。
大廃墟の中心近く、様々なコケやキノコが薄い光を放つ小さなドーム状の場所に
古代遺跡の秘術を狙う「邪悪な魔術師」が研究のための「事務所」を営んでおり
ツアーに参加した客たちは「偶然」彼の怒りに触れて襲われてしまう。
パリスが考えた陳腐な筋書きだったが
元より魔王になりたがり(そして実際になりかけた)シーフォンのこと、
嬉々としてその役を演じているようだった。

客が来ない時間帯には、遺跡内の大図書館に収められていた文書を
片っ端から解読して読み漁っている。それは構わない。
構わないのだが、熱中するあまり何日も遺跡から上がってこない事が度々あった。
そもそも、シーフォンにこの町に残るように引き止めたのが自分だった手前
なんとなく彼に対して責任を感じてしまっているアベリオンは、
結局、3日に一度ほどオハラに詰めてもらったバスケットを持って大廃墟へ潜り
食事を摂らせた上で彼を地上に引きずり出してくるという役を担っていた。

今日も今日とて、バスケットを片手に遺跡へ潜る。
守護者や亡霊たちが暗闇をうろついているのが目の端に止まるが、
向こうから襲ってこない限りはこちらも手出しをしない事にしていた。

事務所の入り口にかかっているプレートが「在室中」となっていることを確認すると
アベリオンは軽くドアをノックする。
返事がないのは分かりきっているので、そのままドアノブへ手をかけた。
部屋の隅の石柱にもたれかかって読書にふけっていた赤毛の「邪悪な魔術師」は、
不機嫌そうな視線だけをアベリオンに投げてよこした。

ちなみに、この事務所には粗末ながらテーブルと椅子も運び込まれている。
しかしシーフォンはあまりそれらを使おうとはせず、
もっぱら床の上にだらしない格好で座ったり寝転んだりして本を読んでいるのだった。

キノコの燐光と、かつては夜空の星だった玻.璃.瓶の光が辺りを青白く照らしている。
この玻.璃.瓶は「事務所」の開設祝いがてらアベリオンが彼に贈ったのだ。
自分にはもう必要のない物だし、油も魔力も消費しないから便利だろうと。
贈られた方は「まぁお前がどうしてもって言うんだったら僕様が貰ってやるよ」などと
いつも通り可愛げの欠片もない態度で受け取ったが、それでも確かに重宝している様子である。

「大分進んだね」
「そりゃ、僕様って天才ですから」

床の上に積まれている未読の本の山と、既読の本の山の大きさが
数日前にアベリオンが来た時と比べて大きく入れ替わっていた。
それを横目に見ながら彼がテーブルの上にバスケットを置き、
同じく携えてきた瓶から飲み物の準備をしているうちに
シーフォンは本を閉じて大人しくテーブルに着いた。
初めて彼が差し入れを持ってここにやって来たとき、シーフォンは「余計なことをするな」などと
相当鬱陶しがっていた様子だったのだが、
自分がいくら口撃してもアベリオンはめげずに何度も通って来たために
そのうち考え方を変えたのか、単純に食事の手段として受け入れている節がある。
そのアベリオンの方は、実はシーフォンの毒舌など今更屁とも思っていない。
最初こそ面食らったものの、数ヶ月間共に探索をするうちにすっかり慣れてしまっていたのだ。

席に着くや否やバスケットに手を伸ばそうとした彼の眼前に、
アベリオンはずいと手拭いを突きつけた。

「先に手を拭いてから」

遺跡に埋もれていた古書や粘土板をいじくり回していたシーフォンの手は埃まみれだった。

「いちいちうるせぇな。オカンかよお前は」
「アルソンには負けるけど」
「…………」

返す言葉が見つからなかったらしいシーフォンは、渋々といった態度で手を拭うと
今度こそバスケットの中身に手を伸ばした。
真っ先に掴んだのは、この時期に採れる少し酸味と苦味のある柑橘を使ったフルーツサンドである。
しかし生クリームもたっぷり使われているので十分に甘い。
シーフォンはこういったフルーツサンドやパイの類は好んで食べたが、
逆に刺激の強い香辛料を多く使った料理は
たとえどれだけ貴重で美味しい素材を使っていようとも決して食べようとはしなかった。
態度は大人よりも大きいのに、こうした味覚などの細かい部分は年相応なままなのが少し微笑ましい。

食べている間は雑談を交わした。
やっぱり遺跡の中にはもうロクな物が残ってないとか、
昨日来た客が人工精霊を見るなり腰を抜かして滑稽だったとか――ちなみに人工精霊は
外見があのままでは格好が付かないので少しいじってある――
柵の修繕をしている間に山羊が逃げ出して大変だったとか、そんな他愛もない話だ。

しばらくそうしてバスケットの中身も空に近くなった頃、腹がくちくなったのか
シーフォンはテーブルを離れて、横倒しになった石柱の上へ気だるげに寝転がった。
まくれたローブの裾から覗く薄い腹には、
生涯消えないだろうと思われる巨大な傷跡が残されていた。
彼が必死で力を得ようとし、そして結局その力に呑まれてしまった証である。
その傷跡を残したのは今まで向かい合ってサンドイッチを食べていた相手だった。
アベリオンが、その手で練った魔力の氷槍で彼の脇腹を貫いた。

あの時どうすれば良かったのか、アベリオンにはいまだ分からないままでいる。
一歩間違えば彼を殺していたかもしれないし、逆に自分達が死んでいたかもしれなかった。
しかしそれを言い訳にはしたくない。
ああなるまでに彼を止められなかったのは
自分のせいでもあるとアベリオンは思っていた。

「……お前、鍵.の.書をどこに隠した?」

ふいにそう問われて、彼はどきりとした。
この二ヶ月というもの、二人の間で鍵.の.書の話題が挙がることはついぞなかったのである。
驚きつつもアベリオンがシーフォンに視線を向けると、
彼は寝転がって天井を見つめたままこちらを向いてもいなかった。
表情も口調も淡々としていて、何を考えているのかアベリオンにはまるで分からない。
重苦しい沈黙が事務所を満たした。

鍵.の.書は、再び上下巻を別々にしてこれまでとは違う場所に封印してあった。

アベリオンは、シーフォンにあの本を読む力量がないとは思わない。
また、あの本から得た力で彼が実際に世界征服なり何なりに乗り出すとも思えなかった。

ただひとつ思うのは、シーフォンがあの本の内包する「音楽」に触れたとき
果たして彼はこの世に戻って来るのだろうかということだった。
「より強く、より高度に、より自由に!」――ただそれだけを今も求めている彼が、
あの輪の一員に加わるという誘惑を断ち切って現世に戻って来てくれる保障はどこにもない。

もし戻って来なかったら……それは、シーフォンにとっては最上の幸福かもしれないが
残された者にとっては彼の死と同じことである。
アベリオンは、そうなって欲しくはないと願っていた。

初めこそ、その憎らしい態度とあまりにも乱暴な魔力の使い方に反感を覚えていた。
事あるごとに勝負を挑んでくるわ魔術書も奪おうとするわ、
百歩譲っても好感を持てる相手ではなかったのである。
それを放っておけないと思うようになったのはいつからだろう、とアベリオンは自問する。
いつか星の明るかった晩に懺悔めいた決意を聞いたとき?
寒さと疲労にうなされてこぼれた涙を見たとき?
はっきりとはしない。
ただ、過去の亡霊に利用されたあげく血溜りに沈んだ彼を見て
絶対にこのまま死なせたくない、失いたくないと思ったのは確かである。
そしてシーフォンも、口でこそ死を望むような言葉を零してはいたが
どこかに生きたい気持ちは残っていたのではないかと思う。
実際あれは、命を落としていた方が不思議ではないくらいの傷で……

また思考がエーテルの海へ飛びそうになって、アベリオンは慌てて元の話題へ意識を戻した。
鍵.の.書だ。

デネロスは、アベリオンを一人の魔術師として認めた上であの書を託してくれたのだったが
つまりアベリオンは個人的かつ主観的な理由でシーフォンに鍵.の.書を読ませたくないと思っている。
いや、読ませていいかどうか分からないと言うべきか。
いくら絶大な力を持っているとはいえ彼もまた10代の少年なのである。
経験や分別といった点では、師匠に及ぶべくもない。

「……なに黙ってんだよ」

寝転がったままのシーフォンがアベリオンをじとりと睨みつける。
アベリオンは、彼に対し何か言ってあげたいとは思ったが、かといって何を言えばいいのかも分からず
結局困惑したような表情のまま黙りこくるだけになってしまった。

「まあいいさ。お前があれをどこかに隠したのは分かってんだ。
 そのうち必ずギタギタにのして場所を吐かせてやるからな」

「よっ」と、勢いをつけて上体を起こした彼は言う。

「そのためにも、いつまでもここに居る訳にはいかねー。
 大体僕はこんなチンケな町におさまるような器じゃないんだ。
 大図書館の調査もあと少しで終わる……そしたらおさらばだな」

それを聞いて、アベリオンがはっと顔を上げた。
しかしその驚いたような表情は、数瞬のうちに何らかの決意に満ちた顔へと移り変わる。
赤い瞳は彼の意思をとても忠実に代弁するのだ。
その光にシーフォンの目が奪われた次の瞬間、彼の口から出たのがこの言葉だった。

「シーフォン。僕と一緒に暮らそう」

かつての勇者が使ったという、凍れる時間の秘法かとも思われるほどの静寂がこの場に落ちた。

「………………僕は前から思ってたんだ。
 お前、相 当 な ア ホ だろう」

長い長い沈黙のあと、やたらと「アホ」の部分を強調してシーフォンは言った。
思わずといった感じで眉間に当てた指もわなわなと震えているように見える。

そして、彼は勢い良く立ち上がった。

「何をどうしたらいきなりそんな話になるんだよ!?
 なんで僕様がお前と一緒に住まなくちゃならねーんだ!
 いいか、僕はお前をブッ倒して鍵の書を奪ってやるって言ったんだぞ!?
 お前の耳はあれか、パンの耳か!?それとも脳味噌がプリンなのか!?
 大体お前、そんな事して僕に寝首をかかれるとか思わねーのかよ!?」
「思わないよ」
「………!!」

青筋を立てながらぎゃんぎゃんとまくし立てたシーフォンに対し、
アベリオンは表情すら変えずにしれっと言ってのけた。
その返答が余りにも予想から外れていたらしいシーフォンは絶句し、
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてしばらく口をぱくぱくさせていたが
やがて諦めたように額に掌を当てて天を仰いだ。

「ああ殺してぇ。今すぐコイツ殺してぇ」

アベリオンは一瞬「出来るんならどうぞ」と言ってしまいそうになったが
火に油を注ぐだけだと気づいて口には出さなかった。「賢き者」は常に賢明なのである。

「で、どう?一緒に住んでくれる?」
「んなわけねーだろバカ!僕様はこの町出て行くって言ってんの!!」
「でも、僕はシーフォンと一緒にいたい」
「っな………!」

一月前にも聞いた台詞をもう一度聞かされ、シーフォンは驚きに目を見開いた。
あの時は同じ台詞を聞いてただ呆然としていただけだったのが、
今は少し顔を赤くしているのが、進歩といえば進歩だろうか。
そして、二対の赤い瞳が互いにかち合う。

「僕なら大丈夫だよ。そう簡単に殺されたりしない」

――みなまで言わなかったが、その断片的な言葉だけで
シーフォンはアベリオンの言わんとする所を理解したようだった。そして激昂する。

「う、うるさいッ!お前に僕の何が分かるって言うんだ!!」
「分からないよ。ほんの少ししか分からない。でも、だからもっと知りたいと思ってる」

いつの間にかアベリオンも立ち上がっていた。

妙な気迫に圧されるようにしてシーフォンが半歩後じさる。
その間にアベリオンは一歩の距離を詰めた。

「一緒にいよう」

ここで、論理的かつ合理的な正論を用いての説得は逆効果である。
天邪鬼なシーフォンは、アベリオンの話が納得できるものであればあるほど
それに反発してしまうだろう。
しかしこの機を逃してはならない、とアベリオンは思った。

ぎゅっとシーフォンの手を握る。
彼は少しひるみはしたが、もうそれ以上後ずさろうとはしなかった。
アベリオンとそう大きさの変わらない手は、意外にも大人しく彼の手の中におさまっている。

「……お、お前が」

ほとんどか弱いとも言える声でつぶやいたその顔は、完全に横へと背けられていた。
視線を必死で外へとそらし、けしてアベリオンの顔を見ないようにと
シーフォンは努力しているらしい。
青白い玻.璃.瓶の光が彼の赤い顔を照らしていた。
鮮やかな赤毛にも青い色彩を持った光が当たり、
まるで古代の不思議な炎が燃えているようだとアベリオンは思う。

「お前が僕様の下僕になるっていうんなら、か、考えてやっても、いい!」

アベリオンは、口調ばかりは忌々しく吐き捨てるようにして言ったその言葉を耳にして
彼の手を握ったままにっこりと笑った。

「うん、わかった。じゃあ今日から僕はシーフォンの召使だ。
 その代わり一緒に住んでくれるね?」
「かっ、かかか、勘違いすんじゃねーぞ!
 お前の弱点をみ見破るために一緒に住むだけだからな!
 いつか絶対殺してやるからかかか覚悟しとけ!!」
「はいはい、ご主人様」
「あああムカつく!なんかムカつくー!!」

シーフォンは、もうこの状況に耐えられなくなったとでも言うように
アベリオンの手を勢いよく振りほどき、いつも携えている杖だけを手にして
事務所から飛び出していってしまった。
いくばくも経たないうちに爆音が聞こえてきたところを見ると、
哀れな遺跡の守護者たちが八つ当たりという名の雷の洗礼を受けているのかもしれなかった。

その音を聞きながら、アベリオンは苦笑してバスケットを片付ける。
そしてシーフォンが先ほど読んでいた数冊の本と、星のランプを手にして
彼もまた事務所のドアをくぐった。
ドアに取り付けてある簡素なプレートを「在室中」から「不在」へと裏返す。
期間限定と思われた邪悪な魔術師の事務所は、
この遺跡を訪れる物好きたちがいる限りはずっとこのまま営業していくことになるだろう。
カラン、と、木のプレートが小気味よい音を響かせた。

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