VOCALOID KAITO×がくぽ 「捨て犬のように4」
更新日: 2011-01-12 (水) 00:26:26
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| 1乙です。前回は中途半端に終わったので続きを
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|KAITO頑張ってます。
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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「この乗り物は面白いのう、ゆらゆら揺れる」
「ブランコだよ。もっと大きくこぐからつかまってて」
ブランコにしがみつくがくぽの背を押すと、一段と大きく揺れた。それを何度か繰り返して、ずいぶん高いところまで揺れた。
あまりに高いので、がくぽの顔色が変わる。
こういうところが見てて面白い、とは本人には決していえない。
がくぽのしがみついているブランコに触れた時、一人の男が公園に入ってきた。
なんとなしにその男を見たとき、KAITOが固まった。
「あっ、かいと、危ないぞ!」
と、反動で戻ってきたがくぽのブランコに頭が思いっきりぶつかり、痛みにのた打ち回った。
「KAITO!KAITOじゃないか!」
その聞きなれた声に、KAITOもおきあがって、まっすぐと見つめた。
ブランコがやっと停止したところで、がくぽは隣に立つ。
心なしかKAITOの表情は厳しい。
「かいと…?知り合いか?」
男は走りよってきて、KAITOの肩をがっしと掴んだ。
「KAITO、戻ってこねぇ?リンとレンだけじゃやっぱ寂しくてさー。あ、がくぽもいる!お前どうやってがくぽ見つけたんだ?欲しかったんだよねー、がくぽ。でも売り切れでさー。がくぽもうちこない?」
なんとなく嫌な感じがして、がくぽは視線をそらした。
戻ってこないかといっているあたり、KAITOの前のマスターなのだろうか。
「僕は今、違うマスターのボーカロイドです。貴方とは何の関係もありません。もうかかわらないでください。がくぽもマスターの大事なボーカロイドです。手は出さないでください」
「かいと」
KAITOからいつもの楽天的さがなく、その代わりぴりぴりとした雰囲気が、言葉とKAITOをまとっていた。
KAITOの代わりに何か言ってやろうとがくぽが前に出ようとするが、KAITOがそれを制した。
「がくぽは下がってて」
広い背中が、目の前に広がる。
意外だ、こういう時はとても頼りになるように見える。
KAITOは戻ってこいという元マスターの意見をのむ気はないようだ。
「なんでだよ、根に持ってんのか?追い出したこと」
「根に持ってないといえば嘘になります。でも今はがくぽと、マスターといることが大事なんです」
「…」
KAITOの不安が、がくぽに伝わる。
不安定だ。
元マスターに会えば、その時の楽しかったことも思い出すだろう、KAITOは今強く否定してがくぽを守ろうとしてるが、それは強がりだ。
わずかに震える指先に、がくぽは触れた。
「…」
KAITOは大丈夫だろうか。と、こちらからでは見えぬ顔を伺っていると、ぎゅう、と手を握り返してきた。
「…かいと」
「ん、あ、どうした?」
がくぽは出来る限りの平静を装うと、握られた手を引いて、歩きだした。
「行くぞ、つまらぬ」
「あ、ちょっと、KAITO、がくぽ」
一瞬、元マスターの顔を見る。
「そういう事ですから。リンとレンは僕と同じ目にあわせないで下さいね」
後に残された彼は、忌々しげに地面を蹴った。
帰り道、がくぽの手を握りながら、並んで歩く。
KAITOは空いている手でぽりぽりと頬を掻くと、嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あのね、がくぽ」
「なんじゃ」
無愛想に返事をする。
「ありがとう」
「…なんじゃ、改まって。お主のためにした事ではないぞ。ただ」
その瞬間、がくぽはKAITOに抱き締められていた。
KAITOはがくぽの細い体を包むように抱き締める。
「ただ、ぺっとが…」
「ありがとう、がくぽ」
そういえば、ペットでした。と、KAITOは思ったが言わないことにした。
それよりも、がくぽがぶっきらぼうながら気にかけてくれるのが嬉しくて、思わず涙がでた。
ああ、ボーカロイドでも嬉しいと涙がでるんだな。
KAITOは涙をごまかすように、がくぽの胸に顔を埋めた。
「かいと…」
がくぽはKAITOの頭に手を添えると、口付けにならないように頬に頬を寄せた。
「ただいまー。お土産があるよー」
マスターが九時ごろ、帰ってきた。
手には白い箱が一つ、甘い匂いが漂っている。
それにピンと来たKAITOが、がくぽを連れてマスターを出迎えた。
「あっ…もしかして、クリスマスケーキですか?」
「くりすますけーき?」
やはりがくぽは西洋のイベントごとには疎いようだ。とはいっても、KAITOも最初は何も知らなかった。
「あっ、流石KAITO、よくわかったね」
嬉しそうに笑ってケーキをKAITOに手渡すマスターに、ケーキを大事に受け取り、少し笑顔を作った。
「前のマスターに教えられました。この時期だったから、もしかして、と思いまして」
「そっかあ。…後で皆で食べような」
くしゃくしゃとKAITOの頭を撫でると、リビングでKAITOにテーブルの真ん中にケーキを置くように指示する。箱を開けると、小さなクリスマスケーキが姿を現した。
がくぽは珍しいものをみて、やけにはしゃいでいる。
部屋の電気が消されて、立てられた蝋燭に火がともされる。
二本の蝋燭に灯がともるのを確認すると、がくぽとKAITOに吹き消すように促した。
二人が吹き消すと部屋は真っ暗になり、再び明かりがついたとき、冷蔵庫からシャンパンをマスターは取り出し、皆のコップに注いだ。
「メリークリスマスー!」
「めりーくりすます?」
「あのね、がくぽ。今日ははめはずしていい日なんだよ。こうしてケーキを食べる日なんだ」
「けーきは…うわっ、甘い。でもこの赤い実は中々…」
どうやら甘いケーキはがくぽにとって苦手のようだ。だが苺は気に入ったらしく、不器用ながらフォークにさして食べると、KAITOの分もじーっと物欲しげに見つめている。
「あ、僕のも食べる?苺」
「欲しい」
KAITOがさくっとフォークで苺をさすと、がくぽの口元に持っていく。
それをぱくりと食べると、二人は笑いあった。
その様子を見て、マスターは、なんだか二人は昨日より仲良くなったんじゃないのかと思いつつ、ケーキを食べていた。
それから一週間たった。
仕事が入って、マスターは寒い中でかけていった。
懲りたのか、KAITOの前のマスターは公園に現われなかった。
いつものように、公園で遊ぶ。
相変わらず寒いが、がくぽは全然平気のようだった。
滑り台が怖くて滑れないというがくぽを膝に乗せて、KAITOは片手に抱いて滑り台を滑った。
「どう?」
「べ、別に怖くなんか…!」
「がくぽ、汗浮いてる」
KAITOがクスリと笑う。
「…お主は笑うといい顔をするな」
「がくぽは笑うと綺麗だ。そのままでも綺麗だけどね」
そのKAITOの言葉に、どくんと心臓が跳ねる。
嬉しい。
KAITOに誉められるのが。
がくぽが立ち上がる。滑り台から離れて、砂場で立ち尽くした。
KAITOも立ち上がる。
アンニュイな表情が綺麗で、KAITOはがくぽを抱き締めた。
「そんな表情してるとキスしちゃうよ」
その言葉が早いか、軽く唇が唇に押しあてられる。
「!」
嫌じゃ、ない。
がくぽは腕から逃れると、一人走って家路に着く。
KAITOも慌てて後を追った。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ まだつづきます
| | | | ピッ (・∀・ )
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