Top/47-451

VOCALOID KAITO×がくぽ 「捨て犬のように」

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  純愛です。私にしては珍しく純愛です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 楽しんでいただければ幸い 
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
なぜか五回以上の投稿が出来ない・・・

そうだよね、最新のが出たら皆古いの捨てて新しいのほしがるよね。
だから僕が捨てられたのも当然なんだ…。
 KAITOはそう思いながら、小さな公園のブランコにいた。
たった今、新しいボーカロイドを購入したから、お前はいらない、お前は調整も難しいし、旧型だから。といわれ、家を追い出されたのだった。
こんなに雨が降っているのに。
傘もささない。いや、傘なんてものは持っていなかった。
ざあざあと降りしきる雨の中、誰かが近づいてくる。
傘を傾ける。KAITOが傘の下に入れるように。
「お主、こんな雨に何をしておる」
凛とした声が響いた。
顔を上げると、そこにはとても綺麗な紫の髪の、男型のボーカロイドがいた。
大切にされているのだろう、服もしみひとつなく、手には買い物帰りなのか、ビニール袋を持っていた。
最新のボーカロイドを買ったから。
お前なんて要らない。
捨てられる直前の、マスターだった人の声を思い出す。
「僕は…捨てられたんだ…。僕は…旧型だから…」
小さな声でつぶやいて、うつむく。冷たい雨は傘によってふさがれたが、その分、相手がずぶ濡れになっている。
着ている着物らしきところから、雨にぬれてしずくが伝う。
なんて綺麗な着物なんだろう。顔も、髪もとても綺麗だ。
紅で彩られた唇、結われた細い髪の束。そして着物をアレンジしたような服装。
そんな彼が、口を開く。
「なら来るがよい」
「え」
ブランコをこいでいたKAITOの手を握り締め、そのボーカロイドは半ば強引につれていく。
「ど、どこへいくんだい」
「我の家じゃ。正確には我と主の、じゃ」
黙ってついて来いとばかりに、ぐいぐい引っ張って公園から出ていく。
細身の体をしているのに、力はずいぶんあるのだと変な方向に感心しさせられた。
しばらく歩く。その間、何を話して良いか分からず、KAITOは黙って彼についていった。そのうちアパートにつくと、階段をとんとんと上がっていく。
「ここじゃ。中に入れ。マスター、すまぬ、少し遅くなった」
奥から出てきたのは、人間だ。そりゃ当然だろう。彼のマスターというのだから人間であることに間違いはない。
優しそうな、柔らかい雰囲気のマスターだ。

少し眺めの髪を後ろで束ねて眼鏡をしている。
マスター。
自分のマスターの優しかったころを思い出して、少しうつむいた。
「お帰りがくぽ。アレ、その人は…あれれ、KAITO?KAITOじゃないか、どうしたの、がくぽ」
どうやら最新のボーカロイドはがくぽという名前らしい。
なんかちょっと間抜けだな、と思ったのは口にはしないでおいた。
「マスター、茄子と塩じゃ。この者を知っておるのか」
驚いて目を見開き、KAITOの所々を見てまわる、がくぽのマスター。
しかし薄汚れて大して管理もされてなく、服もところどころ擦り切れていて、本当にKAITOかと疑わしくなる。
「知ってるも何も、がくぽの仲間だよ。KAITO、だよね?」
がくぽのマスターはうつむくKAITOの目を見て、確認をとった。
このままだんまりしているのもなんなので、KAITOは小さくうなずいた。
「どうしたの、なんでKAITOがいるの?」
「公園で拾った」
拾ったといわれても。困り果てて、がくぽのマスターはKAITOに質問することに決めた。まずは二人ともずぶぬれだから(KAITOに限っては、随分汚れてもいる)、新しい服を着てもらおう。
「KAITO、がくぽ、まずはあがって。新しい服を持ってくるからちょっと待ってて」
「分かった。上がるぞ、お主…かいとといったか」
KAITOの手を握り締めたまま、上がっていく。バスタオルが投げ出されて、あらかた拭き終わると、がくぽはKAITOの体を拭いてやった。
「寒いのう」
「二人ともこっち来てー」
がくぽのマスターは服をそろえたようだ。
二人が和室までいくと、二人分の着替えが用意されていた。少し大きめのものだが、KAITOにとってはぴったりで、がくぽにとってはぶかぶかだ。
それを着ると、二人の着ていたものは洗濯機の中へ放り込まれた。
KAITOはちょこんと部屋の隅に座っている。
「…」
それを同じく座ったままのがくぽが凝視する。
「ねえがくぽ、何があったの、もしかしてがくぽに気に入られてマスターから離されちゃった?」
お茶をがくぽとKAITOに渡す。
温かいお茶は、先ほどまでのKAITOの冷たい心の氷を溶かしていくようだった。
「はあ。いえ、そうじゃないんです。…がくぽさんに拾ってもらったって言うか…」
「へ?がくぽが拾った?捨てられてたの?」

「は、はい。捨てられたんです…新しい子が入ったからとかで…。旧式はいらないって…」
がくぽのマスターは、その言葉に心底驚愕して、はああ、と深くため息をついた。
「もったいないなー、まだ歌えるでしょ、君。それに、ボーカロイドにも心があるっていうのに…」
お茶を飲んで雨の町並みを眺めていたがくぽが、そこで口を開く。
「マスター、ここにおいてもよいだろうか。めんどうは我が見る。かいと、お主は我のぺっとじゃ」
その言葉に驚いたのはKAITOとがくぽのマスターだ。
ペットと言い出したのは、何かしら雨でやられたんだろうかとも思った。
だが自分を共感してほしい存在をほしがっていたがくぽには、KAITOが頼れる存在に映ったのかもしれない。
「ペットってがくぽ…」
「我はかいとが気に入ったのじゃ。かいとを飼う!!」
「KAITOをここにおいてもいいけど…まあ、食費がかかるけど、でもペットはちょっと…」
それでもお茶を置くと、かいとを抱きしめて、ペットペット連呼する。KAITOは困って首をかしげていたが、その一生懸命さが可愛く思ったのか、がくぽのマスターの声をさえぎった。
「僕はペットでいいですよ、がくぽさんに恩返しもしたいし…。あの、それで、僕のマスターになってくれるんですか?」
今度はKAITOが、遠慮がちに目をきらきらさせて、おずおずとがくぽのマスターに聞きだした。
マスターになってもらえれば、また歌える。いや、前のマスターはろくに歌わせてもくれなかったから、今度のマスターにはつい期待してしまう。
そんな期待した目で見られては、頷かないわけには行かない。
 がくぽのマスターは、にっこり笑うと、がくぽの頭を撫でた。
「良いよ、その代わりがくぽと歌ってもらうからね」
「は、はい!ありがとうございます!」
心底嬉しそうにマスターに礼をすると、がくぽが袖を引っ張った。
「かいと、少し冷たいぞ、それに薄汚れている。風呂に入れ」
がくぽが淡々とそういうと、またしてもKAITOは困ったように首をかしげた。
何気なく世話を見てくれてるのかな?
 がくぽの言葉に、マスターも賛成する。
「うん、ちょっと汚れているから、シャワー浴びるといいよ。がくぽ、めんどう見る?」
扇子をぱっと広げると、パタパタと仰ぎだす。

「我のぺっとじゃ、ぺっとのめんどうを見るのは当たり前のことじゃ。ほれ、風呂場へ案内するぞ」
そんなこんなで風呂に案内され、そしてKAITOはがくぽと、がくぽのマスターの家にすむことになった。
がくぽは実にKAITOのめんどうをよく見た。
朝起きれば、一足先に起きてきたがくぽが、綺麗に洗われた服を差し出す。着終わると、KAITOの髪を綺麗にとかしだす。
まるで飼い主は自分のような気がしてきたが、常にがくぽが、『おぬしはぺっとじゃ、茶とナスをもってこい』というので、パシリには使われた。
 けれど拾ってもらった恩は大きく、KAITOは嫌な顔ひとつせずにがくぽに従った。
いつも無表情のがくぽが、KAITO相手にたまに笑うと、KAITOの機械の心臓がはねた。
がくぽが嬉しいと、自分も嬉しい。
夜になると、二人で歌の練習をした。
がくぽはKAITOの曲がった背中を見て、背中を伸ばせと叩いたりした。
「そんなんでは良い声が出ぬぞ、素質はあるのにもったいない」
そういわれて、KAITOは胸のうちが熱くなった。
ボーカロイドなのに素質がないと、前のマスターにいわれてきたKAITOには、とても嬉しい言葉だった。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 今のところKAITOはぺっとです
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP