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天地人 兼殿本命+虎殿

※09大河天士也人。
※兼殿本命+虎殿。
※べろちうまで。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

縁側に腰掛け、緑に染まる景色をただぼんやり眺める。交わす言葉こそ無いが、互いにこのひとときが何よりの至福だろう。
加熱具は敬愛する主を見た。いつもと変わらぬ無愛想を貼りつけているように見えるが、春の麗らかな陽気のせいか、はたまた冬の雪に耐え抜いた木々の青さのせいか、僅かに影活の表情は穏やかだ。
その僅かな変化を見抜けるのは己だけ。そう思うと不謹慎ながら優越感が込み上げる。
影活はと言うと、そんな加熱具の視線に気付かず庭を見続ける。それをいいことに加熱具は影活の横顔をまじまじと見つめていた。
(殿は睫毛が長いのだな‥)
長い間共に過ごしていながら今まで気付かなかった。目を伏せれば妙な色気を醸し出すだろう。
(まるで‥)
「加熱具?」
「!」
名前を呼ばれ我に返ると、影活が不思議そうにこちらを見ていた。
「わしの顔に何かついておるのか?」
「いえ‥ただ、」
「ただ?」
「殿は意外に睫毛が長いのだなと思いまして。おなごのようですな」
可愛らしいと加熱具は褒めたつもりでそう言ったが。
「‥何だと?」
「え?」

れっきとした男が、おなごのようだと言われて嬉しいわけがない。影活から僅かな穏やかさが消え、怒りに任せて一喝した。
「痴れ者めが!」
「ひいっ!」
麗らかな空気を一瞬で砕く怒号に加熱具は身を縮めた。

------

「うぅ‥」
加熱具は今にも泣きそうな顔をしていた。
もう影活と3日も口を聞いていない。どころか、目も合わせてくれない。加熱具の自業自得だが、これでは謝る事さえできない。そして今日は朝から影活の姿が見えない。
「殿‥どこにおられるのです?」
「何だ、殿なら影寅殿の元へ行ったぞ?」
いつの間に現れたのか、伊豆三沢が親切に教えてくれた。
「影寅殿の所‥?」
加熱具の顔色が悪くなっていく。
「おい、大丈夫か?」
「急がねば!殿の身が危ない!」
何故だ?と伊豆三沢が訊ねるも、加熱具は無視して疾風の如く走り去ってしまった。
「え、俺の出番これで終わり!?」
そうである。哀れなり伊豆三沢。

その頃影寅の屋敷では華やかな笑い声が響いていた。
「笑い過ぎですぞ」
普段より一層険しい表情を浮かべるのは影活。母と姉は尚も笑いが止まらない様子である。
「おなごとは‥四六は本当に面白い」
「それで加熱具殿と喧嘩をしてしまったのですね。フフッ」
影活としては愚痴を吐きに来たつもりが、却って面白くない事態になってしまった。隣に座る影寅も笑いを堪えるのに必死のようだ。
「おや、時間かしら。花、そろそろ出掛けましょうか」
「はい母上」
「何じゃ出掛けるのか」
「えぇ。貴方はもう少しここにいなさい。たまには兄弟同士語り合うのもいいでしょう」
では、と親子は部屋を出て行ってしまい、影寅と2人になった。途端に気まずい雰囲気が漂うかと思ったが、影寅の方から話しかけてきた。
「加熱具を許してやればよいのに。悪気があったわけではなかろう」
「‥だからタチが悪いのです」
と言いつつ、加熱具が涙目で訴えているのは影活にもわかっていた。だが女に例えられた屈辱を晴らすにはまだ早い。いっそ泣き出すまで放置してやろうか、などと意地の悪い考えがよぎった。だから隣にいる人物の口元が緩んだ事に気付かなかった。

「‥では今の内に頂いてしまおうかな」
「?」
ぽつりと影寅の呟きが聞こえた瞬間、影活は畳の上に押し倒されていた。
「な‥!?」
「いつもお主の周りには邪魔者ばかりだったからな」
「は、離せっ!」
両手首を頭上で纏められ、もう片方の手で頬を掴まれた。これでは顔を背ける事もできない。
すっかりパニック状態の影活に、美麗な顔が迫る。
「んっ!」
ぬるりと己の口内に侵入したもの。紛れもなく、この美しい義兄弟の舌だった。
「ふ、ぅっ、んぅ‥」
異性とでさえろくな経験のない影活に対し、影寅は慣れた手付きで影活の口内を蹂躙する。巧みに攻められ、抵抗していた身体はすっかり力が抜けていた。
口を離すとどちらとも分からぬ唾液が影活の口から流れ、影寅の情を更に仰いだ。
‥が、お楽しみもここまでだった。

突如壊すような勢いで部屋の戸が開いたかと思ったら、血相を変えた加熱具が立っていたのだ。思わぬ展開の連続で影活は開いた口が塞がらない。
「か、かか‥」
「加熱具か。主の危機を察してやって来たか」
影活を押し倒したまま涼やかに言う影寅を、加熱具はキッと睨みつけた。
「我が殿に何をなさるのですか!」
そして音を立てて2人に歩み寄ると、主を影寅から引き離して抱きしめるように庇った。
「いくら影寅殿でも我が殿に淫らな事をするなら‥この加熱具が、ただではおきませぬぞ!」
それは先日、影活が加熱具に浴びせた喝よりも凛々しく、勇ましいものだった。影寅も目を丸くさせるが、すぐにふっと笑った。
「なるほど‥成長したようだ。これは手強いな」
「‥殿、行きましょう。立てますか?」
影活は頷いたが、実際は加熱具の助けを借りざるを得なかった。

陽の傾く夕暮れに、とぼとぼと道を歩くふたつの影。否、影は手と手が繋がっていて、ひとつになっている。
影活は前を歩く加熱具を見る。その表情は見えない。もう加熱具への怒りなど全部消え失せてしまった。寧ろ感謝の思いすらある。
(加熱具‥)
そもそも己が加熱具に対して"傍にいよ"と言っておいて、(あんな事があったとは言え)自ら突き放して、挙句襲われかけた所を助けられるとは。思い返すと恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
(失望させたか‥)
今度は不安で胸が押し潰されそうになる。苦しくて影活は思わず立ち止まってしまった。つられて加熱具も歩みが止まり、慌てて振り返った。
「殿?」
「すまぬ」
短く呟くと、加熱具はとんでもないと首を振った。
「私こそ‥申し訳ありませんでした」
「もう、よい」
「殿?」
「‥‥助かった」
「殿ぉー‥」
安堵したのは影活だけではなかった。加熱具もまた、不安で不安で仕方なかったのだ。緊張の糸が切れた加熱具の瞳からはボロボロと大粒の涙が零れる。
(やれやれ‥)
先程の勇ましさは何処へやら。慰めるように加熱具の頭を撫でながら影活は息を吐いた。
しかし影活は先の加熱具の姿を忘れる事はなかったのである。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お目汚し失礼致しましたorz
同じ数字板のスレ見て浮かんだ話です。姐さん方に感謝!


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