ガンダムZZ ジュドカミ
更新日: 2015-12-08 (火) 22:39:41
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昔萌えてたガソダムZZ
34話「カミ一ユの声」その日の夜の話
白い戦艦は静かに夜空を進んでいた。
戦艦内の医務室で、ジュド一はベッドに横たわる小さな少女に語りかける。
「プノレはさ、人の気配っていうのかな、空気っていうのか…
ええと…上手く言えないけど…そういうのって分かるのか?」
うまく言葉に出来ず頭をぐしゃぐしゃとかき乱すジュド一を見て、プノレは微笑んだ。
「分かるよ。目を閉じていても遠く離れても、その人の纏う空気みたいの、分かるよ」
言葉ではあいまいになってしまうイメ一ジが確実に伝わるのは
彼女も『二ュ一タイプ』と呼ばれるものだからだろうか。
「俺、Zガソダム盗もうとした時、コクピットが妙に気になっていてさ」
その気配は、ア一ガマの正式なパイロットとなり、Zに乗って戦っていてもずっと感じていた。
「今日、何故気になっていたのか分かったんだ」
プノレが隣のカ一テンに目線を向ける。
「カミ一ユだったんでしょ?」
隣のベッドで静かに眠っているであろう彼の名。
「……うん」
戦列から離れたZガソダムの元パイロット・カミ一ユが
空襲の最中に行方をくらましたと連絡を受け、ジュド一達は手分けをして彼の探索を開始。
防御の薄くなった隙を突かれア一ガマが襲撃された。
留守を守っていたプノレが整備中だった不自由な機体を駆りながら必死に戦った。
孤独な戦いを強いられた彼女の心の中にメッセージを送り導いたのは、
まさに彼らが探していたカミ一ユ本人の声だったのだ。
彼はダブリンの海辺で波に濡れるのも構わずに座っていた。
ここからプノレに声を届け、戦いを助けていたのだろうか。
振り返った彼の纏う空気は、間違いなくコクピットで感じたものと同じだった。
あの気配はカミ一ユだったんだ。
Zガソダムはカミ一ユの愛機だもの、そりゃそうだよな。
ずっと引っかかっていた疑問がじわりと融けていった。
けれど胸の奥に柔らかな痛みが残る。今まで感じた事の無い、得体の知れない感覚だ。
「ジュド一」
「ん?」
「ジュド一の痛み、私にも伝わったよ」
大きな緑の瞳が更に見開かれたのを見て、少女は俯いた。
ジュド一はまだ分からないんだね。
ジュド一とカミ一ユの間に地球の重力みたいな力があるのを。
自覚したら、怖いよ。
自分でも訳が分からないくらい、引き寄せられてしまうんだもの。
切ない表情を浮かべるプノレに、ジュド一が慌てた。
「ごめんな。ケガ治ってないのに話し込んでしまったな」
戦闘中に負ったケガを気遣いながら、体を支えゆっくりとベッドに寝かせる。
上掛けを直し、頭をそっとなでるジュド一の掌から彼の温もりが伝わってきた。
「おやすみ。ゆっくり休めな、プノレ」
「うん、おやすみ…カミ一ユの意識が醒めてるみたいだから、様子見てみてね」
「え?話し声で目が覚めちゃったのかな。隣みてから部屋に戻るよ」
「うん…」
目を閉じたプノレの微かな寝息を確認してから、静かに立ち上がり白い仕切りをそっと開ける。
カミ一ユは虚ろな視線を天井に向けていた。
「ああっ、やっぱり起きてた…ごめんな。もしかしたらうるさかったかな」
脇にあった椅子に腰掛けそっと話しかけると、目線をゆっくりとジュド一に向けてきた。
その瞳は何度も味わった宇宙の無限さ、底の無さと同じで心もとない不安を感じさせる。
上掛けがもそもそと動き、カミ一ユは左手をそっと差し出してきた。
引き寄せられるように掌をそっと重ね、指を絡める。
「なんだか初めて会った時みたいだね、カミ一ユ」
Zガソダムを盗みにア一ガマに潜入したあの日、病院への移送車の中で静かに横たわる彼を見つけた。
それがカミ一ユとの初めての対面だった。
虚空を見つめる瞳。手をかざしてみても何も反応が無くて、ちょっと怖かったのを覚えている。
少しでも生きている反応が欲しくて、口元に掛かる上掛けをのけてみると、
遠くを見ていた視線を確実にこちらに向けてきた。
何故あの時、彼が差し出した手を取ったのだろう。
今になってみると不思議に思うけれど、あの時は何も疑問を持たずに指を絡ませた。
そうしてふれ合った掌から、一瞬にして宇宙に飲み込まれたのだ。
暗い青と瞬く星の光。彼が見せてくれた宇宙のビジョンを鮮やかに思い浮かべながら、
ジュド一は目を閉じて心の中で語りかける。
ブライ卜艦長やア一ガマの人達からあんたの話を色々聞いたよ。
あんたも大切な人たちを護りたかったのに、戦争でたくさん失ってしまったんだね。
だからこんな風に心が壊れてしまったんだ。
俺も…妹を失ってさんざん泣いて、あんたのような悲しみを抱える人を
これ以上増やしては駄目だって、ようやく分かったんだ。
ジュド一の言葉に反応するかのように重なった手がじわりと温かくなる。
Zのコクピットに乗るたびに感じた穏やかな波動が、体中を駆け巡る。
あんたは…Zに導かれた俺を護っていてくれたんだな。
彼の優しさをもっと受け止めたくて、握りしめた手を額に押し当てた。
俯いた瞬間雫がこぼれる。静かに一筋だけ。涙は妹を失った時に枯れたとばかり思っていたのに。
優しい思いに包まれて流れる涙があることを、ジュド一は初めて知った。
「もう一度会えて良かった。ずっとあんたに会いたかったんだ、俺」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
儚げな電波カミ一ユと、純粋にヌータイプの先輩を慕うジュドがたまらなく好きですた。
- 好きです…!! -- 匿名? 2015-12-08 (火) 22:39:41
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