ライドウ ツナツグと鳴海とライドウ
更新日: 2011-01-12 (水) 00:22:19
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| ライドウアバドン、ツナツグと鳴海。ライドウを巡る山なし意味なしオチ無し
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 別件依頼ネタバレ含むですよ
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
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絶好の花見日和だった。
空はどこまでも青く晴れ、白い雲がゆらゆらと浮かび、さわやかな風が吹き抜け、色とりどりの花が咲き競う。
バスケットにサンドウイッチでも詰めて出かけたらどんなに楽しいことだろう。
――いや、大学芋だな。紅茶と大学芋を詰めて、あの書生と……。
爛漫の霞台を見回した後、嘆息しながら、ツナツグは空を仰いだ。
そんなとき。
「こんにちは、ツナツグさん」
凛とした声。白皙の美貌。人間離れしていると言っても良いほどの整った顔立ちは表情に乏しく見えるが、
よく見ると口角は上がっている。それが彼の笑みであることに気付いた者だけが得ることのできる、
他者よりも彼のことを知っているという優越感はたまらない。
「あれ……?」
そう。目の前に立っていたのは、つい先程自分が共に在りたいと思っていた当の書生だった。
自分の妄想がついに幻覚として見えてしまったのかと思って一呼吸。
三度瞬きをして、目をこすって、一呼吸。
それでも眼前の少年が消えないことに気づいて、ツナツグはようやく飛び上がらんばかりに驚いた。
「って、ラララライドウ君!?」
思わず後ずさりして背後の車にドスンと尻をぶつける。その衝撃にびくりとして今度は前に退き、そして、
「あわわ――」
息がかかるほど近い距離で、彼を眺める羽目になってしまった。
軍人にあるまじき狼狽をしている自分に動じることなく、しかし少し心配そうに見上げてくる少年――
帝都を護る最強のデビルサマナー、14代目葛葉ライドウは、十数秒の後ツナツグがどうにか落ち着きを
取り戻したのを見てから、形の良い唇を再び開いた。
「近くに寄ったものですから、ご挨拶をと思いまして」
「そ、そうだったんですか……、いや、みっともないところを見せてしまったな、はは……いや、元々
もうこれ以上は無いってくらいサマナーとしてみっともないところを見せてしまっているか」
デビルサマナーとして軍に属しているツナツグだったが、かつては深い呪いを受けてその能力を
封じられていた。それでも悪魔関連の事件などにはサマナーとしての見解を求められることもあり、
そういった類の事件に狙われやすい要人の警護などを任されていた。
今はこの若き葛葉ライドウによってその呪いは破られ、ツナツグはかつてのように仲魔を使役
することができるようになってはいたのだが、これまでの勘を取り戻すため、そして鍛錬のためにも
しばらくはそのまま今の仕事を続けることにしていた。
いつかは、この少年を護ることができるほどのサマナーに。その想いがツナツグを強く強く支えていた。
護りたい、頼られたい。――今はまだ、口に出すどころか思うことすらはばかられる。
『春の陽気で怠けておるのではないか』
にゃあ、とライドウの足下の黒猫が鳴いた。
「お恥ずかしい限りです、ゴウト殿」
猫に向かって頭を掻いてわびる姿は、事情を知らぬ者の目には滑稽に映ることだろう。
ライドウの目付役として黒猫の姿で彼に従っているゴウトの言は、デビルサマナーにしか理解できない。
「そ、それでライドウ君、今日はこれから――」
「おおい、ライドウ」
ツナツグがなけなしの勇気を振り絞って「予定はあるか」と聞こうとした矢先、呑気な声がそれを打ち消した。
「……鳴海さん」
首を巡らせ、背後からのたのたと近付いてくる白いスーツ姿の男を見るライドウ。
「俺はやるときはやるんだぜ」と飲み屋の女を口説くときだけ真面目な顔をするような、冴えない男だった。
「もう済んだよ。こんなところに長居したくないから早く帰ろうぜ」
言いながら、その男――鳴海はライドウに並ぶ。そしてようやくツナツグに気付いたのか、その世の中を
舐めたような目つきのまま、ツナツグに会釈してきた。
「ああ、こちらが」
「はい、軍属サマナーのツナツグさんです」
「やあどうも。鳴海といいます。『うちのライドウ』が世話になってます」
うちのライドウ。やけに、強調して言われた気がした。いや、自分がこだわっているだけか――。
「いえ、世話だなんて……」
「それじゃ、今後ともよろしく」
謙遜すら最後まで言わせずに、鳴海とやらはライドウを促して立ち去ろうとした。
ライドウがそれに抗い、ぺこりと頭を下げてくれたのは救いだった。
「それでは」
「あ、あの、ライドウ君っ」
外套を翻し去ろうとしたライドウを、ツナツグは慌てて呼び止めた。
「……はい」
「今度、お花見――じゃなかった、鍛錬に付き合ってくれないか。この近くに桜――、
いやいや、屋外の鍛錬にいい場所があるんだ」
きょとんとするライドウ。見つめられ、どんどん頬に血が昇るツナツグ。彼の足下の猫と、少し奥から
振り向いている男がどんな顔をして自分を見ているのか、確認したくもなかった。
「はい、分かりました」
「!」
ライドウが口角を上げてそう応えてくれたため、ツナツグの気分は一気に浮上する。ただでさえ眩しい
春の陽気が、きらきらと瞬くようだった。
「では、今度予定を確認してまた伺いますね」
「よ、よろしくっ」
◆◆
そしてライドウは鳴海と共に去っていった。
遠ざかっていく白と黒の人影を見送りながら、ツナツグは思う。
約束は取り付けたけれど、何だか釈然としない。
白い背を、やや睨みながら思う。
ああ、肩を抱くなんて。『うちの』だなんて。なんで、いかがわしいあの男があんなに親しげに。
あれじゃあまるで――
◆◆
「いやはや、分かりやすい人だったなァ」
「……?」
「いや、こっちの話」
霞台からの帰路、鳴海はまるで童子の遊戯を見守るかのような笑みで呟いた。
そして、先刻見た若きサマナーを思い浮かべる。
憧れと恋心を混同しているような、純朴な青年だった。隣を歩く黒い書生に向ける眼差しは、サマナー
として以上の物が込められていることはほぼ間違いないだろう。
鍛錬にかこつけてライドウを花見に誘うだなんて、まるで――
◆◆
『パトロンじゃないか』
『恋する女学生みたいだ』
◆◆
「本当にダメダメだなぁチミは。読心術、教えてあげようか?」
突如背後に現れた、小さな悪魔。
霞台を歩く間自由にさせていた、外法属のモコイだった。
ブーメランを弄びながらくるくると回るモコイを見下ろし、ライドウは鳴海に先に行くよう言ってから
足を止め、問いかける。
「モコイ。どうした?」
するとモコイは踊りをやめ、まあるい目でライドウを見上げてきた。
人間に言われると腹が立つような偉そうなことでも、この仲魔に言われたのなら憎めない。
「んーとね、なんだかとっても、トライアングルなわけ」
「……?」
「いろいろと大変だねぇチミ。ところでトライアングルの次って何て言うんだろうね。
数を数えるのも大変だなぁ」
きょとんとするライドウをよそに、読心術を得意としているモコイはひとり、ふふんと得意げにするのだった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 実は本命が閣下だなんて言えない
| | | | ピッ (・∀・ )
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