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テニスの王子様 榊監督×跡部

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「どうした、跡部」
ぽんと頭を撫でられたのが嬉しくて、ぎゅっと抱きついた。
「監督、」
「ん?」
ふわりふわり、監督の香りがする。
「!、すいません!」
「なにがだ?」
「あの、いきなりこんな…しわになったし…」
「お前に抱きつかれて嫌な気はしない。
スーツのしわなど、この幸福感に比べれば些細なことだ」
慈しむような視線に、跡部の顔がほころぶ。
「なにか飲むか。紅茶でも」
「ミルクティーがいいです。あったかいの。」
「砂糖は多めだったな?」
「、監督!」
はははと笑って。そんなたわいもないやりとりが好きだった。
ソファーに座って待っていろと言われて、ふてくされたようにはーいーと返事をした。

なんでもできる跡部だが、いつもいつも授業の全てを理解できるわけではない。
今日は数学。教科書とノートを取り出して、問題番号を丸でかこっている場所を確認する。
授業を聞いていれば分かるのだが、実際解いてみると不正解になる。
結局、分かっていないのだ。問題に慣れるため、さわさらとペンを走らせる。
ふわり漂う香りに顔をあげると、カチャリとカップが二つテーブルの上にやってきた。
「ありがとうございます」
「あぁ。…数学か」
「はい、?」
監督の眉間に少ししわが寄った気がして、跡部はいぶかしがる。
「あまり得意ではないからな。まぁ、そこそこの点数はとれていたが」
「嫌味ですか」
「お前も同じようなものだろう」

ティーカップに口をつける監督を見て、同じく一口喉を通すと、
ふわりふわり幸せな気持ちになる。ふ、と肩の力が抜けた。
片手でさらさらとペンを走らせて、答えを見つつやったのだから、正解なのは当たり前なのだが。
「ん、正解だな」
柔らかく笑って、たった一問正解しただけなのにそんな嬉しそうにしないで欲しい。
当然だと話すとなるほどと分かったらしく、教科書とノートを取り上げられた。
「え、ちょ、」
「少しむこうを向いていろ」
「いや、」
「いいと言うまでこちらを向くなよ」
「はい」
不思議に思いながらも、楽しそうな監督に、ついつい従ってしまう。
(あの顔は卑怯だぜ…)
気配が消えて、また戻ってきた。がさごそと紙がこすれる音がする。
さらさらと、ごりごりと、薄くペンを走らせているような、違うような。
「いいぞ、跡部」
「はい」
振り返ると、真っ白な紙に一問、監督の文字で問題が書かれていた。
「解いてみろ」
「はい」
さらさらとペンを走らせる。先ほど解いたのと同じ問題だ。数字だけ変えてある。
「…。」
「さっきもそこでつまづいていたな」
「!、」
まさか気づかれているとは思わなかった。なんとなく、納得がいかない部分があって、
写す際にも引っかかっていたのだ。
(さすが、監督だ)
超えられない存在を嬉しく思いながら、跡部は再びペンを走らせた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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