天地人 景虎→景勝
更新日: 2013-08-21 (水) 10:38:13
世間様が騒がしい折に空気読まずに投下
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| 日曜8時の時代劇ネタ。
正直、第一回後にフライング捏造したものなのでいろいろ矛盾があるよ。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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蔭勝が、一人でいる。常にはあらぬ場に偶さかに居合わせた蔭寅は、迷わず歩み寄った。
「蔭勝殿」
良く通る声に、ゆっくりと首を巡らす。蔭勝はこちらを認めてわずかに目を瞠ったがそれ以上のなにものも静かな面には浮かばない。嫌悪も、もちろん喜びも。相も変らぬ無表情。
胸の内で吐息をつくと、蔭寅はそれを押し隠しにこやかに笑んだ。
「おひとりでおわすとは珍しい。少し、わしと語りませぬか」
言って蔭勝が応じるより先に板の間に坐して差し招く。いささか強引ではあったが、蔭勝は何も言わず蔭寅のすぐ隣に腰をおろした。
外に向かって開け放たれた空間で、二人、並んで見るともなしに整えられた庭を臨む。
「……」
昼下がりの穏やかな空気の中、蔭寅はそっと隣を窺った。
何を考えているかわからぬひとつ年下の義理の兄弟は、冷めた面持ちで端然と坐している。
ほんの手を伸ばせば届く間合いのみを挟んだ傍らで。
……このような好機はそうあるものではない。
普段は小姓上がりの者どもが蔭勝を十重二十重に取り囲んで、守るふりをして蔭寅との間に強固な壁を打ち立てている。
何から守ろうとしてか。この蔭寅を敵と任じてのやりようか。
冷笑と共に考える。が、嘲弄し挑発しても彼ら↑田衆の態度は揺らがない。ただひたすら、一途に殿をお守りするというわけだ。
そうしてあまり語らぬあるじの代弁者とばかりに吠えたて此方にやたらと噛みつくので、それを振り払っているうちに蔭勝との距離は離れている。黙した蔭勝の真意を測ることもかなわず、おのれの心を吐露することもできず、右と左に別たれていくよりないのだ。
なのに、この近しく、しかしひどく遠い存在と二人きりで屋形の庭を眺めようとは。
覚えず頬を緩めかけて、蔭寅は先ほどから場が沈黙に支配されていることに気づいた。
共に並んで坐したものの、蔭勝はこの気まずい空気も堪えぬようで、じっと外に視線を据えている。
おそらく蔭寅が口を開かねば、一刻でも沈思したまま平然としているのであろう。
この穏やかな時も悪くはない。だがこのまま何もせぬでは、いずれ↑田のうるさい家臣どもが駆けつけて静けさはかき乱され失われるであろう。
そこまで考え、蔭寅は唇を湿し蔭勝に向きなおった。
「蔭勝殿。このように人を介さず会うのはめったにないこと。ゆえにこの機に忌憚なくそなたの心が知りたい」
蔭勝がわずかに首を傾ける。それを諾と受け取って言を継ぐ。
「正直、わしのことをどう見ておる」
漠然とした、けれど直截な問いは、家臣らの介在で紛れ惑わされて、蔭寅が直に尋ねなければ決して得られぬもの。そして蔭寅がなによりも気になることだった。
方丈の質として差し出された身でありながら、蔭勝と同じ御屋形様の養子という立場にある我が身。
さぞや複雑な念を抱いていよう。
周囲はそれこそ口をきわめてそれぞれに勝手な憶測を語る。ほとんど蔭勝が悪意を抱いていると確信して。
曰く、蔭勝は蔭寅様を憎んでいる。目障りと思っている。蔑んでいる。↑田衆と常に追い落とそうと企んでいる。
たとえ浴びせかけられる悪意が真実であったとしても、蔭寅はおのが心が崩れない自信があった。裏切られ、切り捨てられることには慣れていた。
だが、それゆえに蔭寅は知りたかった。本人の気持ちを、蔭勝自身の言葉で。
じっと待つ蔭寅の前で、ようやく蔭勝は口を開いた。
「そなたとは御屋形様の養い子同士。御屋形様の御為、共に手を取り助け合うべき者と考えておる」
訥々と語り、不足を補うかのように付け加える。
「それから。花とは良い夫婦になって欲しいと願っている」
評定の場以外で蔭勝が蔭寅にこれほど語ったのはほとんど初めてといって良い。
だが蔭寅は落胆した。例え貴重ともいえる言といえど、通り一遍の型に嵌った句になんの価値があるものか。
「そのような言葉、わざわざ聞かずともわかっておる。わしが聞きたいのはそなたの心。そなたが真にわしに向け
ている思いを問うておるのだ」
きつい声音で言い放つ。
と、蔭勝は下を向いた。
「――わしは、おぬしのように弁が立たぬゆえ」
口の重い蔭勝の言葉は、そんな言い逃れのようなもので。
「弁が立たぬと申せ、胆のうちには思うこともあまたござろう。それが人というもの。それをわずかでもよい。
言葉にしてわしに語ってみてはどうか」
少し語気を強めて促しても、それ以上には蔭勝の口は動かない。
「それとも。そなたのうちには言葉にするべき心がないというか。虚しかないというのか」
焦れた蔭寅がぶつけた言葉に、蔭勝は初めて頭をあげ目を合わせた。
「――」
静かなまなざし。侮蔑のような物言いにも揺るがぬ面は、無言のまま蔭寅の言葉を否定していた。
蔭勝に心がないわけではない。この武骨な男が虚なはずもなし。ならば胸に虚を抱えているのはむしろおのれだ。
煽るように重ねた言葉が、逆におのれを追い詰めていく。
そうだ。
何も語らぬ蔭勝の周りには、けれど人が絶えない。知らず家臣が集い輪になる。幼少から繋がる主従といえど、彼らが心より蔭勝を慕っているのは誰の目にも明らかだ。強い、絆がそこに在る。
……いや、小姓上がりの家臣とはこれが当然だというのだろうか。
当たり前の主従の交わりなどとは無縁な蔭寅には、わからぬ。わからぬから、無視できぬ。
そして心を分かつ家臣がおらぬからこそ、自らことばを操り他者に心を明らかにせねば生きられぬ。そうとしか生きてこれなかった。
唇を噛みしめ、蔭寅は知らぬうちに落ちていた視線をあげて蔭勝を睨み据える。蔭勝の心を探るつもりがおのれのうちにある疵を見つけてしまったゆえか、ひどく攻撃的な気分になっていた。
「虚でないならば、そなたが語らぬのは、周りで騒ぐ者が多いゆえではないか。あれらがそなたが語るべき時をも奪い、勝手に心の内を忖度してしたり顔をしているのではないか」
そうだ。あれらは目障りだ。我らの邪魔をする。
特に賢しらに吠えかかる一番年少の子犬。あからさまに我に対抗心を剥きだしで気に喰わぬ。
「そう、あの鐘継などだ。何かと口を挟み、こうるさくてかなわぬ。どうであろう。蔭勝殿、少しあれを遠ざけてはいかがか」
蔭勝が眉を寄せる。端然とした顔に初めて陰りが生じた。
視線を床に落として、再びこちらに向けたのは常とは違うきつさを帯びたまなざし。
「確かに。あれはいまだ年若くいたらぬところも多々ある。が、鐘継はわしの大事な家臣だ。よく勤めてくれておる。あやつの処遇をあれこれと指図されるいわれはない」
きっぱりと言い切り、これ以上の口出しは許さぬと挑むような眼が蔭虎を射た。
「――」
ようやく蔭勝の口から生の感情を引き出したというのに、いらだちが募った。たかが一家臣のために珍しく言葉を重ねることに理不尽な怒りすら覚えた。
目の前の男は、寡黙と言われおのれを語ることすら惜しむのに、ひとりの小姓上がりの郎党のためには懸命に抗弁するというのか。
「そんな言葉は聞きたくない」
そう告げて、動いた理由はわからない。気がつけば蔭勝の腕を引き、仰のいた唇に口づけていた。
乾いた膚の感触。そんなものにひどく安らぎを覚える。
だが不可思議な心のうちを鑑みる間もなく、我に返った蔭勝に押し退けられた。
間近で、互いに見つめ合う。
そこで逃れた腕を手放せばまだ冗談と流せたかもしれない。
だが距離を取ろうと肘を張る蔭勝を、蔭寅は再び引き寄せた。抱え込んだ体は案に相違しておのれより細かった。
体格を生かし、ぬくもりを腕の中に閉じ込めて今一度唇を合わせる。
顎を捉え、深く。
何故、この者に手を伸ばしてしまうのか。
心から敬愛する美城様の甥で、同じ養い子という立場ではないか。
誰よりも愛おしい花の実兄ではないか。
彼とのきずなは深く、切れることはない。
なのに、何故こうも焦り苛立つのか。
ああ、おのれは。
今生で初めて得た安住の地を失いたくないのだ。この地。この越後を彩る永尾↑杉のすべての人をおのが手にしたいのだ。蔭勝ひとりが黙したまま、蔭寅とは別の場所で何も語らず家臣に囲まれてそこに在るのは不満なのだ。
深い口付けを蔭勝が嫌ってもがく。わずかに離れた唇が漏らす吐息が蔭寅の頬に触れる。
先の言葉と違い、吐息のひとつさえおのがために発せられたものと思うと心が躍る。そして欲深なおのれはさらにはっきりとしたものを引き出そうとて抱く力を強める。
「…っ」
息苦しさにか、腕の中で蔭勝が激しく身じろぎする。そこでようやく蔭寅は顔をあげた。
「怒りがあるなら、言葉でぶつけてみよ」
至近にある蔭勝のうなじに唇を寄せて囁く。
「口に出して言わねば、わしは止まらぬ」
「放っ…せ」
ようようのこと、蔭勝の口から漏れたのはあまりにも短い一言。だが蔭寅は得たりと口の端をつりあげた。黙して語らぬ口を開かせ、おのが為に音を紡がせるのはなんと心地よいことか。
「そうじゃ。そうやっておのれの心を吐かれるがよい」
浮き立つ心を抑えて、言葉を待つ。だが返されたのはやはり味気ないもので。
「なんと言われようと、わしの語る言葉は変わらぬ。そなたとは、御屋形様に共にお仕えすることを至上としている。そなたには、花と良い夫婦になることを心から願っておる」
けれど続く言葉に蔭寅は眼を瞠った。
「ゆえに、そなたとこれ以上深い仲になる気はかけらもない。だから、放せ」
思わずまじまじと見直した顔は、至極生真面目なものだった。だが、朴念仁、と呟きたくなるような顔の中で潤んだ瞳と赤く濡れた唇が別人のように艶めかしい。
蔭寅はくっ、と唇を歪めた。
「面白い!それが今のそなたの本音というわけか。――なるほど。確かにそなたは虚ではない。胎のうちは俗人と同じか」
腕を解き、身を起こすと自由になった蔭勝が大袈裟なほど距離を取る。
その常とは違う慌てた動きにさらに溜飲が下がる。
存外、自分も単純だったというわけだ。
「さて。今日のところはここまでにしておこう。この続きはまたの機会に」
「続き……?」
座り込んだまま、どこかぼんやりとした呟きにわざとらしく返す。
「また、語り合う時もあろう。その折に。――これ以上事を進めて子犬に噛みつかれては敵わぬゆえに」
袖を払い立ち上がる。ふわりと笑みを頬にのせて、蔭寅は。
ひどく愉快だった。
「殿…?」
一人たたずむ影を見つけたのは鐘継だった。
「これはしたり。おそばに↑田衆の誰一人としておらぬとは」
歩を速めてあるじのそばに寄ると、平伏して、はたと首を傾げる。
いつも通りの寡黙な主君の姿だ。鐘継を前にして表情が動かぬのも同じ。
ただ、なにか……常は周囲にまとう静やかな空気が乱れ、惑っているような。
「殿。この鐘継がおらぬ間に、何事かございましたでしょうか」
答えを求めて、無駄と知りつつ頭をあげて正面から問う。
わずかな差異も見逃すまいと見つめる前で、蔭勝が瞬きをした。と、がたん、と音を立てて板べりに座り込んだあるじに鐘継は眼を瞠った。
「と、殿!?いかがされましたっ」
腰を抜かしたような有様に只事ではないと慌てて腕を伸ばす。しかし鐘継の手に頼ることなく蔭勝は一人で姿勢を糺し立ち上がった。
「大事ない」
背筋を伸ばし、それだけでは鐘継が納得せぬと思ってかぼそりとつぶやく。
「少々、驚いただけだ」
何に、と疑問を貼りつかせた顔で見上げても蔭勝の面にはなにも浮かんではいない。先ほど垣間見せた動揺も、波を静めた水面のようにすばやくどこぞへ仕舞いこまれている。
「殿…」
半ば追及を諦め、吐息まじりに声をかけた鐘継はふと口を噤んだ。
鼻腔を擽る、かすかな残り香。
衣服に焚きしめた香。鐘継にはとんと縁のない風雅な、特徴的な香り。
「これは。蔭寅様の…?」
問いの形を取ってはいたものの鐘継はすでに確信していた。この場にはつい先まで蔭寅がいたのだと。
蔭寅が蔭勝と二人で相対していたのだ。
「殿。まこと、なにがあったのです。万一、蔭寅様がなんぞ殿を御不快にさせたというならば、それがし許せまぬ。ただちに蔭寅様のもとに参り談判してまいりまする。殿のお気が済むためならば、この鐘継、蔭寅様になんとしてでも…」
「――」
必死に言い募る間もどこかぼうっとした風情の蔭勝に、鐘継は口を噤んだ。
「と、の」
ゆっくりと呼ぶと見下ろす蔭勝がはっと瞬いた。
「泣くな」
「は。泣いてなど、おりませぬ」
あるじの指摘に慌てて声を張る。だが知らぬ間に涙声になっていた。
「泣いておる」
「――。殿が悪いのでございます」
「そうか」
雅義が聞いていたならただちに叱責するような鐘継の抗弁に、しかし蔭勝はかすかに苦笑したようだった。
「蔭寅殿のことはよいのだ。まことに」
「なにが、よいのでござりましょう」
「そなたたちがおるゆえ。わしはこのままで良い」
「――」
納得した風情で黙したあるじを、鐘継は涙の滲んだ情けない目で振り仰いだ。
これ以上はなんとしても話の続きは聞けそうもなかった。だがこれでも寡黙な蔭勝にしては言葉を多く割いた方である。それだけで満足せねばなるまい。
蔭寅との間には何かがあった。動揺させるような何かが。
それはとても気にはなりはしたものの、それでも蔭勝がこうして↑田の者と共にあってくれるならば取りあえず鐘
継は満足だった。
コピペ失敗といい、重ね重ねスミマセン。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ムックでの印象よりドラマはトラカツもトラカネも仲良さそうです。
| | | | ピッ (・∀・ ) コンナニ仲悪クナイヨorz
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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スミマセンスミマセン。トラは軍神も戦闘員サマもハナもカツももちろんドーマンも好きなんだと思います。ナガオウエスギ萌え?
デモコレジャ、タダノ変ナ人ダヨ
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