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HELLOWEEN サシャ×ヴァイキー

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  シリアスなのか甘いのか分らなくなりました
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ほんのり死にネタ注意
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヘッコヘッコ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
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玄関のドアが閉じられるのと、シャツの襟を思いきり下に引っ張られるのとは、ほぼ同時だった。
頭が下がり、そのまま強引に押しつけられた唇を拒むはずもなく舌を絡ませ合う。
水音が止んだのは、そろそろキスだけでは堪えきれないと相手のコートに手をかけた瞬間だった。
「ここは玄関だ」
く、と苦笑の声が彼の濡れた唇から漏れる。
「だって」
あなたが珍しく自分からこんなことをするから。そう言い掛けて、ふと彼の様子が
いつもよりどこかおかしいことに気づいた。本人は平常を装っているつもりなのだろうが、
その目の奥にある狼狽の色までは隠せない。普段の飄々とした雰囲気も、今は鳴りを潜めていた。
――ああ、またか。
心の中でそう呟くと、なるべく相手が安心してくれるように笑顔を心がけ、
「コーヒーでも淹れるよ」と部屋の中に招き入れた。

年に数回、こういう期間があった。何事にも動じないように見える彼が、急に弱々しく、不安定になる日。
原因は分かっている。自分が彼のバンドに加入するよりずっと昔に起こった、
ある悲痛な出来事だ――即ち、当時のドラマーの自殺。
「あなたは悪くない」。何度も僕は彼にそう言い聞かせた。おそらく僕なんかが
彼にそう説得するずっと前から、周囲の人間も同じようなことを言ってきたに違いない。
しかし今なお責任の所在と非難の矛先を彼に向ける人物が確かに存在するということも、
また否定の出来ない事実であった。何より彼自身が、自分を追い詰めることを止めようとしなかった。
それこそ何年も何年も、バンドが立ち直り、事件が人々の口に上ることが滅多に無くなっても、ずっとだ。
僕がそのことに気づいたのは、確か彼への想いが通じてから半年ほど経った頃だろうか。
ただでさえ通じにくい電話やメールへの返信が近頃ぱったりと止んでしまったので、
心配になり、電波越しではなく直接会って話そうと彼の自宅へと向かったのだ。
すると家主は確かにそこにいるようなのに、いくら声をかけても玄関のドアすら開けてもらえない。
「何かあったのか」と扉越しに問えば、返ってくる答えは「何でもない」の一点張りだった。

ただ幸い「自分のことが嫌いになったか」という問いに対してだけははっきりとした口調で否定されたので、
それだけを頼りに、僕はたとえドアを蹴破ってでも彼の顔を一目見たいという衝動を押さえ、
彼の憂鬱が終わるのをただひたすらに待ったのだった。憂鬱の原因を打ち明けられたのは、
彼が僕の電話に再び出てくれるようになってから更に1週間ほど経ってからだ。

『声が……声が聞こえるんだ。忘れるはずがない。あいつの声だ。きっと、あいつの最期の声だ。
……“恨む”と、ただ一言それだけだった。だがしかしそれが何度も繰り返されるんだ。
恨む恨む恨む。お前を、恨む。日々の繁忙に呑み込まれて、俺が一瞬でもあいつのことを忘れかけると、
その声は必ず聞こえてくる。見てるんだよ。あんなことがあったというのに
今なおのうのうと生き長らえている俺を、あいつはきっと天の上から、
今でも憎しみの籠もった目でじっと睨み続けているんだ――』
そんな訳がない、あなたに今聞こえているのは単なる幻聴だ。
彼はあなたのことを決して恨んでなんかいないし、今はきっと天国で安らかな日々を送っているはずだ。
確かに、あなたの言動で彼が傷つくようなことがあったかもしれない。でもそれは
あなたに限ったことではなく、もし仮にそれを「罪」と呼ぶのなら、あなたの罪はとっくに償われている。
あなたが作った、数々の素晴らしい楽曲。あなたの音楽で、一体どれだけの数の人間が救われたことか。
ならばそれを「償い」と言わずして、果たして他に何と言うのか――。
彼の両肩を掴み、僕は懸命にそう諭した。しかしそのような僕の必死の行いに対しても、
彼は力無く頭を横に振るだけだった。悔恨、恐怖、不安、怯え、絶望。ありとあらゆる負の感情に淀み、
濁り、光を失ったあのときの彼の瞳の色を、僕は今でも忘れることができない。
その後は電話やメールはともかく、少なくとも彼の部屋への出入りを拒否されるようなことは
一度も無くなったのだが、このように、錯乱状態にある彼が自ら僕の家までやってくるのはこれが初めてだった。

結局僕が彼にコーヒーを淹れてやることは叶わず、向かったのは僕の寝室だった。
彼曰く「コーヒーを飲みたい気分ではない」らしい。別段コーヒーでなくとも、紅茶なり酒なり出せるものは
いくらでもあったのだが、そのことは彼には告げず、何も気づかないふりをして彼の拙い誘いに乗った。
彼が今望むことを、出来る限りしてやりたかった。
彼の服を脱がせ、自分も身につけていたものをベッド脇に放り投げると、
そっと肩を押して、彼をベッドに押し倒した。彼の顔中の至る所に唇を落とす。額へ、瞼へ、頬へ、鼻先へ。
肝心の唇には触れない。すると普段ならにやりと笑って「焦れったい」と自分から何かしら仕掛けてくる彼だが、
今回ばかりはただ黙って目を瞑り、僕の愛撫を受け入れるだけだった。背中に回された腕の力ばかりが
痛いくらいに強い。――これは相当弱ってるな。そう感じざるを得ないほどの、彼らしからぬ行動だった。
耳に唇を寄せる。既にほんのり赤くなっているそれの輪郭を確かめるように舌を這わせると、腕の中の肩がびくりと震えた。
「さっきは一体どうしちゃったの」
耳の中に息が吹き込まれるように囁く。ごくり、と彼が息を呑むのが分かった。
「中に入るなりいきなり、さ」
べろりと全体を舐め上げた。ひ、と小さく悲鳴のような声が上がる。
「凄く嬉しかった。……愛してる」
サシャ、とかすかな声で名前を呼ばれた気がした。声の代わりにとびきり深い口づけで返事をする。
2人の唾液が混じり合う水音と、出口を失ってくぐもった彼の声だけが耳の奥で響いた。
歯列をゆっくりとなぞり、上顎を舐め上げる。口内の奥の方に潜む彼の舌を捉えて、己のそれをきつく絡めると、
自分の動きに合わせるように、彼も同じように舌を絡め返してきた。
やはり普段とは違う、素直な彼の行動に情欲が煽られる。このまま力任せに抱いてしまいたい。
そんな衝動を抑えて、あくまで優しく、宥めるように彼の左胸に触れた。

「……っふ……ん、ぅ……」
赤く色づいた小さな中心を指で探り当てて押しつぶすと、かすかだった彼の声の音量が増した。
親指で、硬くなり始めたそれを慈しむように撫でる。時折きゅ、と摘み上げれば、堪らないというように
背中の腕にますます力が籠もった。唇を離し、「流石に痛いよ」と苦笑混じりに抗議する。
すると当の本人は言われて初めて自分の腕の力の入り具合に気づいた様子で、少々慌てながら腕を解いた。
自由になった体をずらし、左の突起をいじる手はそのままに、右胸のそれを口に含む。
舌先を尖らせてつつくと、耳に入ってきたのはもう声を妨げるものなど何もないはずなのに、
相変わらず音が篭もったままの彼の嬌声だった。ちらりと視線だけ動かして、彼の顔を見遣る。
どうやら、口元を自身の腕で塞いでいるようだった。
「だからいつも言ってるでしょ。声、我慢しないでってば」
手首を掴んで腕を彼の顔から引き剥がそうとするが、向こうもこれだけは譲れないようで、
なかなかそれに従ってはくれない。彼の一向に諦めるつもりが無い様子を見てとると、
それならばとサシャは握られた彼の拳に舌を這わせた。
ぴったりとくっついている指と手の平の間に舌を差し込む。そのまま手の平の見えている部分を
舌で何度も往復してやると、拳は徐々に解れ、頑なだった彼の腕の力もだんだんと緩んでくるのが分かった。
すかさず手首を引き上げる。ようやく彼の顔から腕が外れていった。
しまった、とでも言いたげな表情の彼と目を合わせたまま、掴み上げた手に再び口をつけた。
一本一本、丁寧に指をしゃぶっていく。皮膚が薄い水かきの部分を、少々強めに舌で押すように舐める。
手がふるりと震え、快感からか、彼の目がスッと細められていった。
ふと思いついて自分の左手を彼の口元に近づけると、一瞬戸惑ったように口元をもぐもぐさせたのち、
まもなく彼も僕の指を舐め始めた。最初は辿々しく先の方に舌を這わせていただけだったのが、
行為に慣れたのか、次第に大胆な動きになっていく。

成る程、あまり意識せずにやっていたのだが、指を舐るという行為はなかなか扇情的なものだと思った。
ちらちらと唇から時折顔を覗かせる赤い舌が、何とも言えず淫猥だ。
その動きがあまりにそそるものだったので、人差し指をかぷりと甘噛みされた瞬間
堪らず親指を口内にねじ込み中の舌を摘み上げると、恨めしげな瞳で見上げられた。
「ごめん」と謝り素直にそれを解放すると、今度はいつもは舌でしていた口内への愛撫を、指を使って行う。
内壁を軽く押すように刺激し、指を避けて引っ込んでいく舌先を追って爪でくすぐってやると、
今度こそ何の隔たりもなく、艶を含んだ彼の声が耳に届いた。
「ぅ……ぁ……」
「やっと聴けた」
思わずにっこり微笑むと、非難めいた目でじろりと睨まれた。上気した顔でそんな目をされても、
こちらが余計に煽られるだけなのだが。きっと本人は、そんなことには全く気づいていないのだろう。
「ねぇ、そろそろ下も触って良いかな」
再び彼の耳元で囁く。
「あなたに触れたくて仕方がないんだ。……声も、もっと聴きたい」
「……そういうことは、あまり口にするもんじゃない」
さらりと頭を撫でられた。指先はそのまま下へと降りていき、ゆっくりと背骨を辿っていく。
照れ隠しの中にうっすらと欲を滲ませた彼の行動に、身体の芯が熱くなる。
ちゅ、と啄むような軽いキスを1度だけすると、すっかり勃ち上がって涙をこぼし始めている彼の中心に
手を這わせた。中断していた胸への愛撫も、唇と舌で再開する。
先程とは打って変わったような、甘い喘ぎ声が室内に響きわたった。
「うぁ……ぁ、あ………っ、ぅ、…んん」
竿を扱き上げ、親指で先走りを亀頭に塗り込める。鈴口をぐ、と押してやると、上擦ったような
高い嬌声が上がった。胸の突起を軽く吸い上げると、それだけで体が跳ね上がる。
いつの間にか頭に添えられた手は、もはや更なる愛撫を強請っているのか
それとも阻止しようとしているのか分からなかった。

「ひ……っ、ぅ…は……ぁ…………ぁあっ」
ぐしゃりと思いきり髪を掻き乱された。手の中の中心が波打つ。吐き出された彼の欲望の残骸が、指に絡みついた。
胸元から顔を離し、彼を握っていた己の手を眺める。はぁはぁと肩で息をしている彼を尻目に、
そのしとどになった指先をぺろりと舐めると、彼がぴくりと反応するのが分かった。
「『汚い』?」
彼が何か言い掛ける前に、そう口にした。おそらく発言を言い当てられたのだろう、
眉間に皺を寄せ、かすかに見開かれた瞳が戸惑いがちに揺れた。
「――して、そんな」
「サシャ?」
「……ううん、何でもない。おいしいのにね」
しまった、声に出していたか。再び不安の色を帯び始めた彼の表情に気づき、
慌ててかぶりを振るともう1度指についた白濁を舐めとった。粘っこい苦味が口の中に広がる。
世間一般ではあまり好かれることのないこの独特の味も、彼のものだと考えると本当においしく感じてしまうのだから
我ながら酔狂だと思う。だがそれも、やれやれといった表情で、しかし同時に満更でもない様子で
溜息を吐く彼を見られるのだから悪くない。
ちょっと待ってて。そう一言彼に声をかけ、サイドボードに予め置いておいたローションを手に取った。
とろりとしたその液体を、指と、彼の秘所に垂らす。
ぬめる指で秘所に触れると、きゅ、とそこが縮んだ。緊張がほぐれるよう、くるくると円を描くようにして揉んでやる。
すると程なくして彼の腰が切なげに揺れ始めたので、その動きに誘われるまま、おもむろに中指を埋め込んだ。
ゆっくりと何度か抜き差しし、そのまま人差し指も挿し入れる。今まで何度も同じ行為を繰り返されてきたそこは、
彼の艶を含んだ声と共に2本目の指も容易く呑込んでいった。
「ぅん……っは……ぁ、あ……あぁ………んっ」
指先を鉤の形に折り曲げ、中をひっかくように刺激する。
探り当てたしこりをぐりぐりと執拗に押し上げれば、声は更に艶を増した。

「ひ……ぁ……そこ、は……っ!…ゃ……あっ」
再び存在を主張し始めた彼の中心を口に含んだ。彼の顔を見上げれば、
まるで「信じられない」とでもいうような顔つきをしている。だがその表情も、すぐに快楽に溺れ、歪んでいった。
昴る熱の塊を根本まで呑み込み、思いきり吸い上げた。ほとばしる先走りを嚥下する。苦い。その味が愛しい。
もっと味わいたいと口を上下すれば、彼の中の指がぎゅうと締め付けられた。きつくなったそこをこじ開けるように3本目の指をねじ込む。
口内が、彼の吐き出した生臭い体液でいっぱいになった。躊躇せずそれも飲み干す。
「何、イっちゃうほど気持ちよかった?」
「な……っ!だってお前が」
様々な液体に塗れた口元を指で拭ってにやりと笑いかければ、顔を真っ赤にして抗議された。
だがそれも「嬉しいんだけどね」と一言付け足してやると、向こうはあとはもう呆れ果てた表情でこちらを見るばかりだ。
「あまり40代に無理な運動を強いるな……。体が持たん」
「ごめん、最低あと1回はイかせる予定なんだけど」
若いお前とは違うんだから。そう肩を竦める彼に、さらりとひとこと言ってのけると、その両膝を掴んで脚を開かせた。
露わになったひくつく蜜壺に、固くなった己の先端をあてがう。
「そんなことだろうとは思ってたがな」
参ったもんだとくすりと笑う彼にやはり笑みを返し、そのままゆっくりと体を進め、自身を彼の中へと埋めていった。
「ん……ふ……っ、ぁ、あ」
奥まで収め終えると、視線で彼にもそのことを告げる。そして今度は抜けるぎりぎりまで腰を引くと、再び中に突き挿れた。
同じ動きをゆっくりと繰り返す。彼の体温を、出来る限り味わっていたかった。
すると向こうは向こうで、もう離さないとでもいうように僕の腰に脚を絡め、自らも腰を揺らし始めるのだから堪らない。
大事に、決して壊すことのないように彼を抱こうと思っている心とは裏腹に、
目の前の彼の媚態に腰の動きは否応無しに速まっていった。
「あ、ぁあ……っは、ぁ……っ!サ、シャ……、サシャ……ッ!」
「……ッミヒャエル……」
熱に潤んだ青灰色の瞳が僕を見つめた。眉根は悩ましげに寄せられ、
薄く開かれた唇は唾液に塗れててらてらと赤く光っている。美しいと、ただそれだけ思った。

腕を僕の背中に回して必死に縋り、与えられる快楽に耐えようとする彼の姿はとても頼りない。
そしてその身に重くのし掛かった苦悩を思うと、急に酷く居たたまれなくなった。何故あなたは、未だ自分を責め続けるのか。
「ミヒャエル……ッ、あなたは決して、汚くなんか、ない……っ!」
彼の瞳が驚きに見開かれた。熱に思考を支配されていく中、やはり首を振って
僕の言葉を否定しようとする彼の頭を、僕はその頬を手のひらで包み込むことで阻止する。
どうかそんなに自分を否定しないで、僕の言葉を信じて。
後悔と罪悪感の鎖で雁字搦めにされてしまったあなた。そんなあなたがいつか自分自身を解放することが
できるようになるまで、心の闇を取り払えるようになるまで、僕は何度でもこの言葉を繰り返そう。
何度でも、何度でも、喩えそのせいで声が枯れてしまったとしても。
それであなたが救われるのならば、声の1つや2つ失ってしまっても僕は一向に構わない。
「あなたは、汚くなんかない」
瞼の縁に溜まった涙がこぼれ落ちる前に、唇でそれを吸い取った。もし今ここで僕なんかに泣き顔を見られたりしたら、
あなたはきっと、あとで自分自身を恥じてしまうだろう。あなたの心の負担を、僕はこれ以上増やしたくない。
「――っ!」
瞬間、より一層強く締め付けられた。堪らず精を吐き出す。腕の中の彼の体がびくびくと痙攣し、
同時に腹に生温かいものを感じた。どうやら、彼も同じく絶頂を迎えたようだった。
くたりと力の抜けた彼の体を、僕はきつく抱き締めた。まもなく聞こえてきたかすかな嗚咽に、
僕は決して彼の顔を見るまいと、その肩口に顔を埋めた。

目を覚まして辺りを見回すと、未だ夜は明けていないようで、どこもかしこも真っ暗だった。
起き上がろうとベッドに手を付き力を込めるが、自分をしっかりと抱き締めている腕に気づき、諦めて再び枕に頭を沈める。
――不覚だったと思う。彼の顔を見た瞬間気が緩み、思わず泣きそうになるのを隠して咄嗟に彼に口づけた。
それが非常に不味かった。情けないことに、消耗していた精神は彼に変わらず優しい唇だけでなく、
更なるものを求め始めたのだ。行為の最中では、彼に何度も醜態を晒してしまった。
“あなたは汚くなんかない”。達する寸前、彼が幾度となく繰り返していた言葉が頭から離れない。
「――俺は、許されるのか」
ぽつりと呟かれた言葉に返事はない。肯定や否定の声はおろか、自分を苦しめるあの声さえ、
今はぴたりと止んでいた。深潭なる闇だけが、そこにあった。
独り言など。そう自嘲の笑みをこぼすと、再び目を閉じた。隣で眠る恋人の温もりに、不意に涙腺が緩む。
いつの間に、自分はこんなに涙脆くなったのだろう。
呆れたものだと再度自分を嘲りつつ、ヴァイカートは全てを覆い隠す闇に感謝した。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  何かもう色々とすみません…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ヴァイキーには幸せになって欲しいです
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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