ナイトライダー
更新日: 2011-01-12 (水) 00:21:34
パソの機嫌がいいうちに投下します。
懐かしい海外ドラマから。
手際が悪くてごめんなさい…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「じゃあね、マイケル。土曜日が楽しみだわ。」
美しい女性が微笑んで、車から降りていった。
マイケルも笑ってみせて、女性を見送ったが、好意で笑った訳ではない。
彼女は、現在マイケルの追っている事件の首謀者だった。
土曜日に再会した時には、彼女は犯罪者としての証拠を突きつけられているだろう。
「…帰ろう、キット。」
『はい、マイケル』
車の中にはマイケルしかいない。返事をしたのは彼の車。
高性能のCPUを積んだスペシャル・カー。【騎士2000】=キット。
マイケルの操作を必要とせずに、帰るべき場所へと走っていく。
『マイケル』
「…ああ、何だキット?」
『これで土曜日を過ぎれば彼女とはお別れですね』
「ああ、そういう事になるな。…いい女とはお別れする運命にあるんだ俺は。」
大した感慨もなくマイケルが答える。
こんな事は毎度繰り返して、もう慣れっこだ。
例え犯罪者でなくても、事件を解決した後には知り合った女性とは付き合ったりしない。
「…仕方ないさ、もうプライベートは諦めてるよ。…お前以外の車に乗る予定もないしな。」
『そうですか』
「もし恋人が出来ても、お前の中でキスするのは躊躇うだろ。」
『私は躊躇いませんが』
「…お前がキスしてる女の体内活動を逐一報告する車じゃなければな。」
『私は私の中に居る人間のバイオリズムについて報告をしただけです』
「…頼んだ覚えはないんだがな。」
勿論、キットがマイケルの許可もなく、他人の前で喋るような事はしない。
精密な部分にブロックをかけて、大人しい「ただの車」の振りをしている。
自分の主人であるマイケルと、自分に乗り込む人間の生命について注意深く観察を怠らない。
キットはプログラムの通りに行動している。…筈だ。
ただ、マイケルが先程の女性とキスした後に、その女性の中でナントカいう物質が分泌されている、
と聞いてもいない事を報告してきたのが腑に落ちない。
官能の後の生理現象を「車から」聞かされて、白けない男なんか居ないだろう。
「…まあ、お前に女性の魅力を教えても無意味だろうよ。」
『魅力については理解しかねます。ですが好みを判断する事なら出来ます。』
「好みだって?」
『ええ。あの女性について言うなら、私の好みではありません。』
「……はあ!?」
キットにそもそも性別など存在しない。当たり前だ。車なのだから。
ただ、男性のように認識できる音声がマイケルと会話をしているだけにすぎない。
…キットに女性の好みがあるなんて初耳だ。
「…待て、キット。お前の基準は知らないが、何故彼女が好みじゃないんだ?」
『彼女は私の計器類に無遠慮で触るからです。ブロックの不備はありませんが多少の調整を必要とする事を煩わしく感じます』
「煩わしい、ねえ…。」
『そして、マイケル。あなたの生理的パラメーターに異変が起こるのが心配です』
「…心配?…」
『ええ。彼女のような女性に触れられているマイケルの体内では』
「待て!待て!ストップ!それ以上言わなくていい!」
マイケルは声だけでなく、手も振って制した。
…つまり、マイケルが好みではない女性と接している時のパラメーターについて
キットは心配しているのであって、マイケルの好みイコールキットの好み…?
頭がこんがらがりそうだ。…だがそれは、キットの好みと言うべきものだろうか?
「…好みで言えば、彼女は嫌いじゃない部類だぞ?…俺にとっては。」
『そうでしょうね。私は女性について顔面や体つきで判断をしませんから』
それでは話が繋がらない気がする。
「俺は、お前の部品の一部じゃないぞ?…そりゃあ、お前には助けて貰ってはいるさ。
だからって、お前に俺の生理的パラメーターとやらを心配される理屈はないだろ?」
『勿論です。あなたは自身でメンテナンスが出来るのですから』
「…。」
『私が気をつけているのは、マイケルの生命活動です。それを脅かされるのは私にとっては危機と呼べるものです』
…何となくはぐらかされている様に聞こえる。尤もらしいことを言って核心について逸らしているようだ。
キットとは長く付き合ってはいるが、こんな事を聞くとは考えてなかった。
「…キット。お前、妬いてるんじゃないだろうな?」
『なんですって?』
「俺が好みの女と一緒に、お前に乗るのが面白くない、って事か?」
マイケルは茶化して言った訳でもないが、キットの対応にはやや首を傾げたくなる。
「…おい。…キット?」
『マイケル。運転を手動に切り替えます。ハンドルを握ってください』
「…何故だ?」
『マイケルの質問に答える為には負荷が掛かります』
「負荷!?」
『ええ。このトートロジーに対応する為にはシステムを総動員させなければなりません。
このまま自動操縦を続けながら計算を行うと、最悪の場合計器類がダウンする可能性があります』
「ちょっと待て!俺はそんなに難しいことをお前に聞いたのか?」
『ええ、マイケル。私に向かって「妬いているのか」と聞くあなたについて分析しなければなりません』
マイケルは首を振ってため息をついた。
…俺は何とも面倒な車に乗ってるな。
「…ああ、わかった。運転は俺がするからお前は好きなだけ分析してろ。」
『お願いします』
高性能のスペシャル・カーの言う理屈について、何となく理解しがたいものを感じながら
マイケルは家路へとキットを走らせていった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なんだか改行に失敗して変に手間取ってしまいました…。
お恥ずかしい…。
書きながら走馬灯全回転でした。
リメイクとかしないですかね…。
- わあわあ、キットとマイケルっていいよなあ!って昔思ってました!この、微妙な感じがいいですねー。無自覚か…v -- ぽんこ? 2010-03-14 (日) 13:29:03
このページのURL: