相棒 プロの目
更新日: 2011-01-12 (水) 00:20:58
どうも、私警視庁乾式課の※沢守と申します。
就職難といわれるこのご時勢。有難い事に毎日忙しく働き続けております。
非常にやりがいのある仕事であることはあるのですが…
毎日刑事や乾式が働きづめというこの社会の現状を思うと少し複雑といいますか
あと、少しだけ空いた時間にふと思い出してしまう、逃げてしまった女房のこと……
…いやはや、失礼致しました。話が脱線してしまいましたね。
本日も私、一課の方々に隠れて匿名係の椙下警部に捜査資料を運ぶ使命を果たしておりました。
冬の寒さの所為でしょうかこう、なんと言いますかどことなく寂しさを感じてしまう今日この頃。
そう、瓶山さんが居ない と言うことが一番の原因でしょうか。
表面上では椙下警部と板ミ刑事は何事も無かったかのように見えますが。
ふむ、まあ素人目にはわからないでしょうな。
私プロの乾式の目はごまかせません。
例えば…
「※沢さん」
「はっ!!」
いつの間にやら椙下警部が背後に立ってこちらの様子をを伺っておりました。
危ない危ない。
「何やら考え事をなさっていたようでしたので」
「ああ、いえいえ、例の件ですが新事実が浮上いたしまして…」
「被害者の爪に付着した皮膚組織のことでしょう。丁度それを伺おうと思って来たところです」
「さすが椙下警部、情報がお早い。説明する手間が省けました。どうぞ、こちらが検査結果です」
「ありがとうございます」
「くれぐれも…「くれぐれも板ミ刑事達にはばれないように…ですね。心得てますよ」
「ふむ。無用な心配でしたね。表立っては行動できませんがこうしてこっそりとご協力させていただきます」
椙下警部は薄く微笑み、内ポケットから新宿末広亭の座席指定券をちらつかせております。
いやはやわかっていらっしゃる。
まあ、そんなものなど無くても私は椙下警部へ全面的に協力してゆく所存でありますが。
いや、まあ。はい…でも いただけるというのなら…いやいやそんな決して賄賂などでは。
「※沢さん」
「へぃ?」
いそいそと指定券をポケットに仕舞っている時に椙下警部から声を掛けられ
思わず気の抜けた声が出てしまいました。お恥ずかしい限りです。
「プロの乾式の目からは僕はどういう風に映っているのでしょうかねぇ」
「…はっ」
「何事も無かったかのように見えるとおっしゃられても、実際、何事も無いのですから そのように振舞う他ありませんよ」
「…」
どうやら途中から口に出してしまっていたようで。
もう滑り出してしまった言葉。取り戻すことはできないとわかってはいるのですが
思わず口元に手を当ててしまいます。
人間の習性とでもいいましょうか。私、背中に軽く汗をかいてしまいました。
なんとかその場を取り繕うと思案をするわけですが…
椙下警部には全く通用しないでしょうな。無駄なあがきだと分かっております。ええ。
とりあえず指定券はしっかりとポケットの奥に仕舞わせていただきました。
流石に今更返せといわれても手放すには惜しいものですので。
「差し出がましい事とは思いますが、あまり 個人の事まで詮索なさるのはどうかと思いますがねぇ、僕は」
「以後、気をつけます」
「仕事熱心なところは、僕は評価しているつもりですよ」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」
プロの乾式の目はごまかせませんよ。椙下警部。
貴方が僅かに饒舌になる時は図星の時。
付き合いの浅い連中はそのポーカーフェイスに騙されてしまうのでしょうがね。
「おっと、もうこんな時間ですね。それでは、何かありましたらまたよろしくお願いいたします」
「了解致しました」
思い出したように時計に目をやり、椙下警部は資料を持って颯爽と乾式を後にしました。
…と思ったらすぐに戻ってきて扉から顔をのぞかせております。
「今の話は、他言無用で」
「そちらも、了解致しました」
ふむ、気づいたことに気づかれていましたか。
私もまだまだ ということですな。
ポケットからちらりと取り出してみた夜の部座席指定券。
仕事もひと段落ついたところです。早速帰り支度をば…。
おっと、そろそろ捜査に行き詰った一課から連絡がくるかもしれません。
携帯の電源を切っておきましょうか。
椙下警部が私にこれを渡したということは今日中に解決するという事。
とりあえず私の役目はこれにて終了ということで。
私はささっと一課の前を一過して末広亭へと足を運んだのでございます。
お後が宜しいようで。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ※沢さん難しいね
| | | | ピッ (・∀・;) お粗末!
| | | | ◇⊂ ) __ 今回だけ許して。
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | 無事投下できたら真面目にインフル治すんだ…!
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || | いつか板ミ編も書きたいよね。
このページのURL: