Top/44-484

チーム・バチスタの栄光 役人→愚痴←麻酔でGO!

各自の性格も捏造もいいところ。
こういう「おふざけ」が嫌いな方には、心からの謝罪を。
いろいろ混ざって、すいません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「好きなんです、多愚痴先生!」
 そう言って、麻酔医・日室が愁訴外来にいた多愚痴医師を押し倒したのは、昼休みが始まったばかりのまっ昼間だった。ご飯を食べに立ち寄った日室だったが、
たまたま外来に多愚痴しか居なかったことが、この無謀な行動を起こした起因でもあった。
「え…ええっ!?」
 思わず、2人分のコーヒーを取り落としてしまった多愚痴だった。2杯分のコーヒーを手にかけてしまって「うわ、あっつい!」と飛びあがったところを
抱きしめられて、そのまま診察に使われてもいる広いテーブルに押さえ込まれてしまった。抵抗しようにも身体の大きさが違いすぎる。身動きすら取れない。
「ん…っ!!」
 そのまま多愚痴の唇を奪った日室であった。しかし…、元がノーマルであるため、ここからの仕様が分からない。キスした時は夢心地であったのが、
一気に困惑の様子を見せる。
「?」
 自分の上で、固まった若者に当惑して頭を上げた多愚痴だったが、我に返しちゃならんと、訳も分からず何度もキスを繰り返す日室。お陰で
多愚痴は酸欠を起こしてぼーっとなっていた。勝負の分かれ目である。しかし…というか、当然というか、受ける方が酸欠を起こすなら、
責める方も酸欠になっている訳で(笑)。2人でクラクラになっているその時
「なってないなー、まったくなってない」
 突然の声に、ビクッとしながら振り向くと、そこには腕を組んで眉間にシワを寄せた白取捜査官が立っていた。
「ししししし白取さん、い、いつから?」
 日室の下から多愚痴が、真っ青になりつつ問いかける。
「いつからって、ひむろんが愚っ痴ーを押し倒したところからだよ。だめだなあ、ひむろん。それじゃ愚っ痴ーはオチないよ」
「ひむろん…」
 微妙な顔で受ける日室に、ハイハイどいてと白取はまんまと美味しい位置につく。

「いいかい、押し倒してキスするまではよかった。(愚「よくないですよ!」)でもそこからがポイントなんだよ。
いいかい、まず」
 こうキスをして、と、白取が自然に多愚痴の唇に自分のを重ねた。多愚痴と日室はそれぞれの表情でそれを受けたが、
白取はあっさりと無視して、話を進めた。
「ゆっくり…相手の心を酔わせるんだよ…、あせらないで、じっくり、ね」
 そう呟きながら、白取はねっとりと大人なキスを多愚痴に施す。日室は思わず白取を突き飛ばそうとしたが、白取の下で
表情を変えていく多愚痴に、つい目が行ってしまう。
 チュッ、とワザと音を立てて顔を離すと、白取の方は満面に喜びを表していたが、多愚痴の方は目を閉じて、ぐったりとしている。
その顔は酸欠というには艶めかしかった。
「ここまで丁寧にしたら、相手はまずこうなるから、そこで軽く相手に、我に帰ってもらうんだ」
 そういって優しく多愚痴の頬をなぜると、ピクッと多愚痴の目が開いた(白「ホラ、たったこれだけの刺激でも、
身体が反応するようになったろ?」)。
「ここで、相手の目をじっと見つめる…。いいかい、決してモロに欲望を出さないで、優しく…でも、目に力を込めて」
 そういいながら、白取は例の眼力で多愚痴を圧倒する。多愚痴の心象の変化が伝わってくる。その緊張感に日室の胸が熱くなる。
「しら…とり、さん?」
 多愚痴の呼びかけに、白取はにっこりと微笑んだ。緊張が解けた。不思議な開放感が多愚痴と日室を包む。
「そしたら、ここで…」と、どんどんとペースを掴んでいく白取と、顔を中心にいろいろされてつい声を上げてしまう多愚痴の
2人を見ていて、ハッと日室は我に帰った。
 そうだ、元はといえば、自分が多愚痴先生に迫っていたハズだったのに!
「…ハイ白取さん! ありがとうございました!!!!」
 音が立ったら「ドカーン!!」といいそうな勢いで、日室は白取を突き飛ばした。思いっきり戸棚に額を打った白取には目もくれず、
日室は多愚痴を見下ろした。
「日…むろせんせい」
 潤んだ視線と濡れて光る唇に、思わず日室の喉が鳴った。
「多愚痴先生…!」
 そして、そのまま美味しくいただこうとした時

「ひむろん、講義は終わってないYO!」
 額を真っ赤にした白鳥が、自分の時とは正反対の方へ、おぼこい青年を跳ね飛ばした。診療用ソファに、したたかに向う脛を
打って、日室は言葉もなく足を抱えて跳ね回った。
「まったく、ひむろんは油断ならないなー。ねえ愚っ痴ー?」
 妖艶に笑って、白取は再び多愚痴に挑もうとした。その時(ry
 何度かお互いをどつきまわし、青あざを作ったあげく、とうとう日室と白取は言い争いまで始めてしまった。
「白取さん、もう十分ですからどうぞ功労省にお帰りください! 結構なご教授、ありがとうございました! 
つーか、終了! もう帰れ!!」
「なんだよひむろん! 大体ここまで愚っ痴ーを美味しくしたのは僕でしょお? ひむろんはまだ若いんだから、
ここは年上に譲るのが常識ってもんじゃないかなあ!?」
「だから、「ひむろん」ってなんですか!? 人を勝手にヘンな呼び方しないでください!!」
「日室だから「ひむろん」だろ? それくらいもわかんないの!?」
 話が下らない方に進んできたこともあって、ここで一番先に正気に戻ったのは多愚痴だった。
彼にしてみれば、いきなり身近な人間2人に襲われて、そしてなんだかわからないけど、どうやら自分を巡って
口争いが始まってしまった。端で見ているなら楽しい状況だが、渦中の本人にしてみれば、いたたまれないこと夥しい。
「あの…2人とも」
 掴み合いになりそうな勢いの日室と白取の間に入ろうと、多愚痴は必死になった。んがしかし、2人とも多愚痴の
一つ頭半は背が高い。そんな、雲の上での喧嘩に割って入ろうとしても無理な話だった。それでもなんとかしようとしても…。
「愚っ痴ー、ちょっと黙ってて(脇にポイ)」「多愚痴先生、待っててください(襟足掴まれてポイ)」
 いい大人がいつまでも言い争う姿を前に、多愚痴は呆然と頭を掻いた。そして、今、自分に出来ること…とりあえず乱れた
衣服を整えることにした。貴重な昼休みが終わろうとしている。口喧嘩は終わりそうもない。どうしたものか、と多愚痴がふと
入り口のドアを見ると…
「あなたは…!」
 そこには、母性の塊のような笑顔が、困った状況を見つめていた。

「もうこうなったら、多愚痴先生に決めてもらいましょう!!」
「ああ、そうだね。それが一番だ!」
 ぜいぜいと息を荒げて、白取は日室の提案を受けた。仕立ての良いスーツがよれて、ネクタイも曲がっている。
対する日室の術衣も、クタクタにシワがより、すそがほつれてしまっていた。
「多愚痴先生!」「愚っ痴ー!」
 しかし、お互いが同じ場所を振り返ったところに多愚痴の姿は無く、代わりに
『いいかげんにしてください!』と筆で大書きされたA3方眼紙が2人の目に飛び込んだ。
 思いっきり肩透かしを食らった男2人に
「多愚痴先生は、もうここにいませんよ」
 と、優しいが怒りを含んだ女性の声が届く。
「え?」「富士原さん!?」 そこには、昼休みを終えて職場に戻った有能な看護師が、この部屋では珍しく
番茶を啜って座っていた。
「多愚痴先生は、午後の往診に行かれましたよ。かわいそうに随分疲れたようすで…」
「往診? じゃあすぐには戻らないな」
「田愚痴先生!!」
 駆け出そうとした日室に、思わず白取が釣られた。怒涛の勢いでドアに向かった矢先
「…おわっ!!」「うわあっ!?」
 思わずつんのめって、ドアと鼻が仲良しになった2人だった。
 見ると、しゃがみこんだ富士原が、どこの柱とも知れない場所にくくりつけた縄をピンと引っ張っていた。
 ……ちょうど大人の足元の高さの、縄を。
「なにするんですか…?」
 ちょっと情けない声で白鳥が抗議する。日室は痛みで何も言えない。
 そんな2人に、自身の腰に手を当てて富士原が立ち上がった。見ていた2人は、思わず彼女が変身するのかと身構えた。
「お二人とも、ここは心療内科愁訴外来です」
 しかし、変身なんぞするはずもなく、富士原女史は歳の功の迫力を湛えて、非常識な者共を見下ろした。
「そして、お二人はここの担当ではありません。直ちに昼休みを取って、各自の仕事場に戻ってください!
 多愚痴医師はまだ仕事が残っています、外来患者さんもやってきます! 多愚痴先生の邪魔をなさらないようお願いします!!」
「いや…仕事の邪魔なんて…」「ボクはこれから愚っ痴ーと調査を…」
「お黙りなさい!!」 ぐずる生徒に活を入れる口調だった。

「なんですか、いい大人が揃っていながら、あろうことか職場でこんな不埒な行いに及ぶとは、情けないですよ!!」
「不埒、て…あの、富士原さんはどこらへんから見てたんですか…?」
「(突っ込みを入れた日室をキッと睨みつけ)やるんだったら、病院以外のところでおやりなさい!! まだこれでも
やる気があるなら、ですけども!!」
 そういいきると、自分の背丈よりも倍はありそうな男どもを外来から軽ーく、追い払ってしまった。
さすが富士原である。多愚痴ではこうはいかない。
 追い出された2人は、すごすごと廊下を歩いた。昼休みはもう5分で終わる。白取はまだしも、
日室は昼食ヌキで午後の激務に戻らなければならなくなった。
「これというのも、白取さんがよけいなことを…」
「ひむろん、ちょっとうるさいよ」
「だから「ひむろん」はやめてくださいって!」
「もういいよ。それより、このままだったらボクら病院で愚っ痴ーに会うのが、難しくなるんじゃないの?」
 ビクッと日室の肩が跳ねた。それは…嫌だ。しかし、あの筆の筆跡(「いいかげんにしてください!」)
からみて、かなり怒っているのは明白だ。
 頭を抱えた日室に、顎に手を当て考え込んでいた白取がある提案をしたのは、日室の医療用PHSが昼休み
終了を知らせるアラームを鳴らしたのと同時だった。

 ぐったり疲れた多愚痴が、職員用玄関を出たのは終業から2時間も経ってからだった。仕事自体は
そんなにも溜まっていなかったのだが、あの後例の2人が、まったく姿を見せなかったのが気になっていた。
『ちょっと、やりすぎたかな…』
 「いや、そんなことはまったくないから」と肩を叩きたくなることを思い悩み、多愚痴はため息をついた。
富士原は『懲りるような人達じゃ、ないですよ』と言ってくれたのだが…。
 その時
「多愚痴先生」
 聞きなれた声がかかった。

「え?」
 見ると、私服に着替えた日室が、寒空の下ポツンと佇んでいた。
「日室先生…」
 ほっとした気持ちで、多愚痴は日室を見たが、すぐに表情を硬くした。「あっさり許しちゃ
いけません」との、富士原からの御達しだった。
「なんですか? 僕は、謝りませんよ」
 なんとか怖い声を出して、多愚痴は言い切った。日室は哀しげに眉をひそめたが、すぐに「ごめんなさい」と、
頭を下げた。
「あの後、富士原さんに言われて、ボク達、反省したんです。多愚痴先生、先生の仕事場で、あんなことをして
申し訳ありませんでした」
 もう絶対、あそこであんな行いはしません。ですから…これからも、先生の外来に言ってもイイですか?
 これはボクも白取さんも、同じ気持ちです。と日室は後に続けた。誠意と本気が、そこからは感じられた。
「いいんですよ、わかってくれれば」
 今度こそ、ホッとして多愚痴は表情を緩めた。
「お二人の気持ちは…ありがたいんですが、あの場所は僕の場所であって、僕個人の場所ではありません。
そこのけじめをつけたいんです」
「じゃあ、いいんですか? 許してくれるんですか?」
 必死の眼差しで、日室が尋ねた。思わず多愚痴はくすっと笑った。なんだか、日室がかわいいと思った。
「許すだなんて…。でも、そうですね。ハイ。許します」
「じゃあ、ボク達の気持ちも分かってもらえたんですか? 『あの場所ではしない』っていう…」
 なんで同じことを繰り返すんだろうと思いつつ、多愚痴は一つ肯いた。
「じゃあ、あの場所以外ならいい、てことなんですね」
 明るい笑顔と明るい口調の日室の言葉に、ついウンウンと肯いてから、多愚痴は『…ん?』 っと
首をかしげた。しかし、隙も見せずに日室が携帯でどこかに連絡を取った。
「ええ、はい…引き受けてくれましたよ! 病院でも会ってくれるって…ハイ!」

 相手もすぐに出たのだろう。僅かな返事の後、携帯を切ると、ものの5秒も経たないうちに、なんだかすごい
黒塗りのリムジンが、多愚痴達の前に現れた。
 そしてドアが開くと、ピカッと光る革靴を突き出して、白取が颯爽と降り立った。
 訳も分からず唖然とする多愚痴を尻目に、日室が「じゃあ、行きましょう!」とその手を取った。
え?え? とおたおたする多愚痴に、白取が「どうぞ」と車内へ促す。
「え…と、これはどういう」
 リムジンは、中も凄かった。対面の座席には小さくはあるがテーブルが付き、その上にはシャンペン
グラスが3つ並んでいる。その他にチーズやアボカドなどのつまみが乗り、車の中とは思えない強い
明かりを受けて、きらきらと光っていた。多愚痴はそんな中を、白取と日室に挟まれた形で小さくなっていた。
「ですから」と日室が説明する。
「病棟内では駄目なら、病院の外ならいいんだろうってことになって」
「それで、ボクとひむろんが協定を結んだの。病院の中ではお互い抜け駆けしないってね」
「ぬ、抜け駆け?」
 嫌な予感をひしひしと感じつつ、多愚痴が聞き返した。にっこりと2人は笑うと一つウン、と肯いた。
「もうこれからは、病院の中では多愚痴先生の迷惑になることはしません。多愚痴先生も納得されましたよね?」
「なら、これからは病院の外でお互い張り合おうってことにして、今日はまあ、ライバル関係とかは抜きにして、
お互いに愚っ痴ーと目一杯過ごそうって話になったのさ」
「…じゃあ、今、向かってるのは?」
 そう、なんかなりゆきのままに連れ込まれてしまったが、多愚痴はこの車の行き先を知らないのだ。背筋に氷が
走ったのを彼は感じた。
「そう、この車は」
「多愚痴家に向かっては、おりません」
 2人が示し合わせたように、台詞を吐く。
「車は、これからの3連休を迎えるべく、都内某ホテルに向かっております」
「そこで1泊してから、次は熱海の温泉に迎います」
「そこで、改めて「温泉、グルメ、愚っ痴ー」の3大リラクゼーションを、我々は堪能する予定です」
 なんだか、口調がどっかのローカルバラエティのようになった2人だったが、会話の内容のオソロ
シサに多愚痴が気付いたのは、車が随分と走りこみ、とうとう高速に乗ってしまった頃だった。

「いや、ちょっと待って! これは拉○だよ!!」
 両サイドから、シャンペンだつまみだと差し出してくる2人を跳ね飛ばして、黒いガラスで隔たれている
運転席に向かい、多愚痴は思いっきりガラスを叩いて怒鳴った。
「運転手さん、バック! バック!!!!」
 その声が届いたのか、ガラスがすーっと開いた。そこには60歳ほどのおじさんが、困ったような
はにかんだ笑顔を多愚痴に向けて、すぐにすーっとガラスを戻した。
 呆然とした多愚痴だったが、2本の腕に袖を引っ張られて現実に戻った。彼は再びガラスを叩いた。
「ちょっと…あなたもそんな、人の良さそうな顔をして!! 待って、車を止めてって!!」
「多愚痴先生…あの、部屋に入ったら、ベッドの隣で寝てもいいですか? なにもしませんから(ウソ)」
「日室先生~!」
「ハイひむろん、落ち着いて。ホラ、愚っ痴ー。口開けて。黒海産のキャビアだよ。食べたことない
だろうから驚かないようにね」
「失礼なこと言わないでください!!」
「あれ、食べたことあるの?」
「…ないです」
 じゃあ、いいじゃん。ほら、あーん…と金のスプーンを突き出してくる白取と、
「こっちもおいしいですよ」と、とろりとしたカマンベールチーズを差し出す
日室の間でかき回されながら、多愚痴はこれからの3日間を思い、目的地に着くまでに
合計10回、運転席のガラスを叩くのだが、その声が届いたためしはなかった…。

 ちなみに、多愚痴家には白取からの「ネズミーリゾート3日間宿泊付き」チケットが
届いていることすら、多愚痴は知らなかったりする。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんかいろいろ混じってますが、こういうのが許せない方は、まとめてあぼーんしてください。
でも、たまにはこういうのもいいかな、と。
ダメ?

  • 愚痴にデレデレな二人がひたすら可愛いです!素敵小説ありがとうございます!! -- A? 2011-07-29 (金) 10:22:22

このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP