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オリジナル 「チーム・オナホ」

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。

この胸のつかえの原因は何だろう。
六六六はオナホを語る志井の瞳が輝きを増していくのを息を呑んでみつめていた。
見つめながら、思い至った。まさかと思った。だから無理やり気持ちを切り替えた。
いまはオナホのデザインに集中しよう。
ミーティング後、六六六は自分のPCで図面製作ソフトを立ち上げた。
肌との密着性がよく、極めてやわらかく、吸い付くような素材の特性を最大限にいかした形状にしたい。
1000個売れればヒット商品と言われるジョークグッズ的オナホではなく、
成人用玩具として堂々とオナホールをつくる。これは前代未聞のプロジェクトだ。
安全で機能的かつ衛生的な成人用玩具には性犯罪を抑制する力が潜んでいる。
それだけじゃない。このオナホはきっと、身障者のための性行為補助具としても機能する。
人口増加の抑制にだって役立てるだろう。
株式会社志井商事は、財団法人ジョイセフ(家族計画国際協力財団)と協力し、
「性」と病気に関する正しい知識と予防方の啓発と普及活動に取り組んでいる。
どうかレイプやセクハラがなくなりますように。性の病で苦しむひとが減りますように。
この世界の為にコンドームやオナホールに出来ることを白真剣に考え、
志井商事の営業推進部マーケティンググループは販売戦略を立てている。

なすべき事を心得て己が勤めに励むべし。
六六六がすべき事は本体とパッケージのデザインだ。
形態(デザイン)は機能に従う。決してデザイン=見てくれではない。
機能美を極めたオナホで快感を得てほしい。結果としてデザインを感じてもらえたら本望だ。
パッケージも然り。世界をマーケットに事業を展開するには、形や図柄などの
表層デザインだけではなく、輸送や保管などの機能性も要求される。
オナホ職人として恥じない仕事をしよう。
六六六の頭の中には、既存のどのオナホとも違う、人間工学に基づいた設計と、
六六六自身の想像力と直結したフォルムが存在していた。

同時刻、三鷹は職場で日経ビジネスをめくっていた手を止めた。
見開きで特集されていた志井商事の記事に、志井と志井によく似た男の顔写真が載っていた。
美しく引き締まったくちびるの右端に小さなほくろがある方が志井だ。
ちょっと前ならおそらく見分けられなかっただろう。
けれど、いまの三鷹はすぐにわかった。
静寂さと透明感のある男だと思う。
付き合っていた頃、志井の高雅な雰囲気にオナニーなどしなさそうなやつだと感じていた。
まさか、オナホ屋だったとは。
同じ街の人間だと思っていたが、東京在住だったのにも驚かされた。
セフレと別れて欲しいという言うわけでもなく、三鷹の都合に合わせて会ってくれていた。
わざわざ飛行機で自分に会いに来てくれていたのかと思うと、
知らなかったとはいえ、気軽に呼び出していた自分が鬼畜に思える。

交際中、二人の仲はよく冷えたビールのように心地よく冷めていた。
熱く情熱的ではなかったが、冷え切ってギスギスしていたわけでもなく、生ぬるくもなく、
心から打ちとけあうことこそなかったが、
エクササイズ感覚で欲を発散させあう体だけの関係でもなかった。
他者の共感を得られない関係だったとは思うが、
三鷹にとって志井が心地よい男だったのは事実だ。
別れたあと、いろんな事がとても静かに沁みてきた。
再開し、顔を見て話をした。ちゃんと向かいあってみた。
フェイス・トゥ・フェイス……。
そうしたら、志井のほくろの位置がわかった。
会いたかったのは向かいあいたかったからだと、唐突にわかった。
写真にそっと指先を触ればわせる。
好きだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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