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野球 埼玉西武ライオンズ0107

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
麦酒かけネタ再びなんで急いで…!17で。

「ナ力ジあいしてるー!!」
「イェーああああ!!」
大の男が抱き合ってびしょ濡れになって、しかも大声で愛してるだの最高だの。
思考がぶっ飛んでいるからこそ出来る。
またはここが、日本一のネ兄勝会のその場だから出来る事。今日の台詞も行動も、それに免じて許してくれ。
上手く言えばこの全身に浴びるビールの泡と同じように、はじけて流れてうたかたのように酔う。
今は何も隠さなくてもいいし、きっと思い出したら後で爆笑することばかり。酔いというのは恐ろしい。
「さんぺえェー!!お前スゴい、よくやった!!」
「ぶぎゃっ」
「お・れ・も!あ・い・し・て・ん・でっ!!」
ニ遊間コンビを組む相方とその巨漢のサ一ドを捕まえて、ダブルでビール砲撃を喰らわせる。
奴も奴でまるでどんとこいとでも言うように、両手を広げて甘んじて全身をさらしたりする。
大の男が、馬鹿みたい。酔い、は本当に恐ろしい。
「いて!」
「あー!やっさんヒロさーん!!」
今度は逆に、背後から誰かに捕まった。

冷てえ!と暴れる片岡の頭に、思い切りのシャワーが振ってきた。
いや、もう冷たいのか何なのかわからない。苦さや痛みすら麻痺する。
そりゃ、11月に全身で冷えたビールを浴びれば寒くないわけない。同じく目に染みたら、痛くないわけが。
けれど今痛いのはそっちではなくて。
「ばっ…くーりー!!」
「あ、当たったとこ?やっぱさすがに腫れてます?」
「そりゃそーだろー。でも今日はもういい!って、なー!!」
「ぐぷっ」
上からぶっ掛けて、逃げるところを下から噴射。しかし久利山は水中眼鏡で防御している。卑怯だな。
さっきつかまれた背中の一部には、彼の握力の痛みがまだ尾を引く。
つい数時間前に硬王求が、時速150キロ近いスピードで当たったところだ。
多分今日これが終われば、もっとずきずき痛み出す。けれどそれは今はもういい。
もういいんだ。
「はぁーいお疲れー!」
肩岡は笑って、久利山の水中眼鏡を引っぺがす。お互いビールまみれになりながら、痛い痛いと笑いあう。
ぎりぎりの、同点のラソナーだった。それでも俺は前だけ見ていた。
お前を見ない、お前は後ろにいる。
背水の陣じゃない。足はすくまない。
俺は還るぞ。
「ちょマジ痛、眼鏡っ」」

させるかよ、と伸ばした手をかわしまた新たな瓶を掴む。もう床もテーブルもべたべたのぐちゃぐちゃだ。
白いテーブルクロスの上に、四方八方にビール瓶が倒れている。
そして色んなものが絡まる。ぶつかり合う他人の濡れたシャツだの、まわる取材カメラのコードだの。
誰かの喜びだの、叫びだの、どこかで本気で泣いている声も。
「なっ、九里!」
「ぅぶば!!なびが!?」
「何でもないー愛してるー!!」
いつだって。俺が振り出しに戻してみせる。還ってみせる。
だから、後は頼む。
いつだって、何とかなると思ってた。お前がいるから、後は頼んだ。
頼んだぜ、なあ。
よくやるみたいに絶叫で抱きつき、残りのビールを頭から一緒に被った。久利山も反撃で背中に流し入れてくる。
デッドボールの跡の上も、多分幾つもの傷跡の上も、流れていく。
今度は誰かが自分たちの間に突っ込んできた。ヘッドロックをかまされて肩岡は後ろにのけぞる。
脚がすべる。もうヘロヘロだ。
「あー、やっさーん!!」
「うぁー!?」
「愛してるよー!!」
その声に振り向けば、今度はまた誰かの噴射がもろに顔面を焼いた。

ぎゃーだかうわーだか、言葉と歓声が交じり合ってばたばたとそれから逃げる。
「何だって、久利ー!?」
げほげほ咳込みながらまた呼べば、今度は中木寸だか誰かの上に馬乗りになっている彼も振り向く。
歓声としずくでお互いまみれてぐちゃぐちゃだ。頭の中も外もめちゃくちゃだ。
声も叫び声で、そしてまた歓声に紛れていく。
声や騒ぎが一体になって、べたっとして、耳に蓋をされたようだ。
聞こえているけど、全部の中から何かひとつを探すのは難しい。
「え?」
「何つった、クリ!?」
だから何て言った?さっきの、お前の言葉は何だった?
「愛してますよ、て言うた!!」
「んー!?」
べちゃべちゃの髪をかき上げて、栗山が笑った。握ったビール瓶を高々と突き上げる。
目が真っ赤。
思わず片岡も、同じように手を天に突き上げて言った。
「んだそれ!それ、さっきの俺と同じ台詞じゃんよー」
「あー、そうっすねー!」
お互い、笑っているんだか泣いているんだか、な顔だ。頬も髪も、頭の中もぐちゃぐちゃだった。
一つの声を、拾う。
「何で二回言う!!」
砂漠の無数の中からたった一粒、煌く砂を拾い上げる。
そんな気持ち。
「え、何となくねえー!!」

「…変な奴だな、わかってるけどっ」
「そうすかねっ?あんたもさっき言ったくせに!」
「俺は良いんだよ、バーカ!」
「馬鹿はアンタやー!」
「…お前もだ!!」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
大事なことだから2回言うんだぜ


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