金賞 幼馴染
更新日: 2011-01-12 (水) 00:16:06
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| 80年代後半くらいのツアー三昧の頃だね
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 呼称は伏字だから実際と異なるよー
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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ミトコンは、ツアーに出ると、たいてい必ずライブのあとで女の子を部屋にお持ち帰りする。
ホテルがメンバーと相部屋の時には、女の子にお持ち帰られたりもする。当たり前か。
いつも似たようなタイプの女の子。
地元じゃいろいろ顔も素行も知れてるから、地方に来たときに少し羽目を外すくらい、まあいいんじゃないかな。
もっと羽振りのいいとこは、もっとものすごいことになってるらしいから、それに比べればまぁ控え目だろう。
何度か、朝になっても帰ってこなくて、出発が遅れたりして、そういう時はさすがに怒るけど、そうすると今度は女の子がずっとついてきちゃったりして、さすがにちょっと、かなり、参った。
今夜も軽い打ち上げの間中、ミトコンの好きそうなタイプの女の子が(最近じゃ女の子がミトコン好みの格好でやってくる)ずっと隣にいて、ああ、また連れて帰るんだろうな、って思ってた。
別にいいんだけど、そうそういいホテルに泊まれるわけでもなし、壁が薄かったり、部屋が扱ったりするとさすがに気まずい。声が聞こえてくるからね。
ひとしきり騒いで店を出る。ホテルに戻ろうとするとミトコンに呼び止められた。
「火事、こっちの子が、このあと一緒にどうかって」
ミトコンの隣にいた子のお友達かな、おとなしそうな子。俺は少しだけ考える振りをして「やめとく」と答えた。
「何でよ」
「……漫画読むから」
女の子はキャハハと高い声で笑い、ミトコンは「何の?」と聞いてきた。
昼間空き時間にふらっと入った古本屋でフヅコフヅヲの古い作品を見つけて纏め買いしたのだ。今夜からの楽しみだ。タイトルを言うとミトコンは心底うらやましそうな顔で「今度貸して」と言ったけど、腕にしがみついてる女の子を振り払ったりはしなかった。
「読み終わったらね」
答えて、手を振って別れる。
お友達ちゃんはなんとも言えない表情で一度こっちを振り返ったけど、それから、女の子に何か耳打ちして、その場を離れて行った。
ミトコンは、女の子と二人。
明日は出発が少しゆっくりだから、きっと朝まで帰ってこないんだろう。
「あいつ、またか」
誰かが呟く声が聞こえた。呆れた風ではなく、単なる確認の声。
部屋に戻って2冊目も読み終えてきりが良かったので、寝ようかなと思う。シャワーを浴びたあと放っておいた髪がいつの間にかすっかり乾いていて、ひどく広がって鬱陶しい。
いっそ切ろうかとも思うけど、ないと顔を隠せなくて困るだろう。
腕を持ち上げて後ろ手に束ね、何か留めるものを探しているとドアが開いた。どうやら鍵をかけ忘れていたらしい。
顔を出したのはミトコンだった。
「あれ」
「よお」
さっき別れてから、まだ1時間ちょっとしか経ってない。少しだけ気まずそうにしてるミトコンに「どしたの」と聞くと「漫画読みたいから帰ってきた」と答えた。
「ばかだろ、お前」
言いながら読み終えてた2冊を手渡すと、ミトコンはやけに自然にベッドに座った。
「もう寝るんだけど」
「え、もう?」
ミトコンは頭をかきながら床に腰を下ろした。俺はベッドの上に散らかした荷物をちょっと除けて、ごそごそと潜り込む。人の気配があると眠れないとかそんな繊細なタチではないはずだけど、今日はなんだかすぐに寝付けなかった。
ミトコンが漫画を読みながら体を小さく揺らして笑う振動がマットレスを伝わるせいかもしれない。しばらくじっとして寝たふりをしていたけど、ミトコンがどこで笑ってるのかが気になってちょっと寝返りを打った。
ページを覗き込むと、俺が笑ったのと同じところでミトコンも笑っていた。
「ああ、そこ」
「うん」
ミトコンの肩越しに覗き込んで、俺も一緒に笑った。
しょうがない奴だけど、こういうのを共有できる間はまあ、しょうがないな。腐れ縁とか、そういうのとも違うけど、結局こうなるんだ。
ミトコンはいろんな女の子のとこ行くけど、でも居心地がいいとこに戻ってくる。そういうことだ。多分。
だから、俺はまあ、漫画読みながら待ってるんだよ。いつでも。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ チュウもなしかよ
| | | | ピッ (・∀・ )
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