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ダークナイト

映画「闇騎士」より。
映画と原作のJok3rの違いについて考えてたら纏まらなくなったので>>8を免罪符に見切り投下。
かなり私見が入った『人間』Jok3r注意。パラレルワールドだとでも思ってくれ…。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ダンペン デスガ

 扉を蹴り飛ばした5atmanの目に入ったものは、寝床から跳ね起きる男の影だった。
 5atmanが部屋へと踏み込むその数瞬で、男はベッドサイドから拳銃とナイフを掴み取る。
パイプベッドの向こうに滑り落ちるようにして、彼は襲撃者から距離を取った。床に降り
立つやいなや、彼は即座に寝床を横倒した。銃撃に備えて簡易バリケードを築いた彼が
発砲を待ち受ける僅かな間に、5atmanは男を急襲する。異変に気付いて男が拳銃を
構えた時にはもう遅い。
 5atmanは難なく拳銃をもぎ取って、ナイフが握られた左手と男の襟首とを同時に掴み上げた。
 マスクの奥で燃える目と、落ち窪んで血走った目がにらみあう。薄いマットレスと
スプリングを挟んで、彼らは何度目かの――そして、ある意味初めての対面を果たした。
「……ルームサービスは頼んでねえぜ」
「まだ目が覚めないのか? お前の役割は客じゃない。今回の注文はお前のテイクアウトだ」
 応えた5atmanは、目の前の男をしげしげと眺めやった。
 そこにいたのは、男だった。
 白塗りもない。口紅もない。もしこの顔だけを見せられたとして、Jok3rであると
断言できる警官は、市警全体を探してもはたしているかどうか。緑がかったもつれた髪と
口角の無残な切り傷だけが、かろうじて道化王子の片鱗を残しているといえた。薄汚れた
パイプベッドを盾にナイフを握りしめるその男の顔には、赤くニキビが浮いている。
派手な化粧がないぶん、口角の傷跡が目を引いた。これで声に聞き覚えがなければ、己の
空振りに歯噛みしたところだ。横倒しになったベッドサイドからぶちまけられた中に
食用油のボトルがあるのは、まだらに脂じみた顔と床に放られたぼろ布から推測するに、
化粧落としに使われたためだろう。――むろん、今も替え玉の可能性はゼロではない。
 男は舌を鳴らした。

「寝込みを襲うたあ大胆なお誘いだ。相変わらずお前は駆け引きってやつを分かってねえな。
お付き合いってのはもっとスマートにやるもんだ。化粧のヴェールを剥ごうだなんて無粋だぜ」
 男の軽口を、5atmanは決然と無視した。
「逃げようなんて気は起こさないことだ。自慢の傷がまた増えるぞ」
「逃げる?」
 驚いたように繰り返した男は、裂けた口角を歪めた。
 彼は掴まれた手首をもぞつかせる。逃げられる前に押さえ込もうと一気に緊張した5atmanを
尻目に、両の手首をそろえた彼は、それを5atmanへと差し出した。
「どうして逃げなきゃいけない? 捕まえてくれよ。俺は、ずっとそうしてほしかったんだ」
「なら、今度こそアーカムに永住するんだな」
 鼻で笑った5atmanは、低い呟きを聞きとがめた。
「本気だぜ」
 うそだ。
 喉元まで出かけた否定の言葉は、男の発散する鬼気に呑まれて消えた。
 5atmanは――“ブルース”は立ち尽くした。

「なあ、頼むぜ、ダーリン。一生のお願いだ。俺の片割れ、俺のかわいい真珠、愛しい愛しい
コウモリちゃん(Batcake)……」
 真珠。
 あの日の悲鳴が甦る。血まみれの真珠が一粒ずつ道路に落ちて、とぎれとぎれの悲鳴をあげる。
優しかった母の悲鳴が、厳しく頼もしい父の悲鳴が――毎晩毎朝夢に見る、ブルース・
wayn3の抱える“恐怖”が甦る。
 ――泥のような狂気を纏って、男が、笑う。無表情に似た満面の笑顔、楽しげにも
寂しげにも見える道化の笑みで、笑う。

「明日の新聞の一面に、派手に晒してくれるだろう? 『ゴッサムの怪人(Phantom of The City)、
空前の快楽犯罪者を逮捕!』。それでこそ俺の5atmanだ。これで俺は本物の『Jok3r』になれる」
 いやだ。
 いやだ。やめてくれ。
 Jok3rは、こいつは、こんな人間だったろうか。
 知らない。こんな男は知らない。こんな、ただの、“男”は。
 こんな、弱弱しい、まるで縋るような、助けを求める狂人のような、悩める神経衰弱者のような、
まるで“ただの人間”のような、まるで――まるで自分と変わらない、ただの人間なんて、知らない。
「――黙れ」
 低く押し殺されたブルースの声に、“男”の肺が痙攣した。いや、もしかしたら
笑ったのかもしれない。落ち窪んだ目と引き攣った口元は、ふとした瞬間にふとした仕草で
『Jok3r』の表情を見せる。
「俺はお前に憧れてたんだ。俺みたいなけちなこそ泥じゃない、本物の恐怖、本物の怪物に。
お前は輝かしい恐怖、お前は闇夜を往く騎士、俺の――」
 いやだ――
 悲鳴が聞こえる。聞こえる。
 “ブルース、恐れるな、ブルース――”
 “闇と一つになるのだ、おまえの恐怖を克服しろ――”
 あの夜の悲鳴が、幼いブルースの、自分の、自分の、悲鳴が――
「俺の――」
 やめてくれ――
「――『ヒーロー』――」
 悲鳴が――

「黙れ――!!」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )コレダケ・・・・・・?

ナンバリングミススマソ。


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