on your mark
更新日: 2011-05-04 (水) 11:23:14
オリジしか書いたことないのに突然ナマモノにトキめいてしまい、
萌えを消化させたいのでこちらに初投下させていただきます。
至らないところがあったらすみませんです。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 犬の勝利を予想して書いたんだけどね…
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|
| | | | \ テイウカ、ジナンノアレハヨバイセンゲンナノカ…
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
走る姿を美しいと感じたのは、あの人が初めてだった。
いや、初めてというより唯一だ。
目標にしたいと思ったり、圧倒されるほど力強い走りに衝撃を受けた人は他にいたけど、他人の走る姿に純粋に見惚れた経験は後にも先にもあの人独りだけだ。
勝負したら負けない。俺のほうが絶対に速い。
そう胸に言い聞かせても、トラックを駆け抜ける姿に全神経が目となって惹きつけられた。
長い足から繰り出される大きなストライド。細身の身体がまるで風のようにしなやかに軌跡を描いていく。
それは残像となって目の奥に焼き付いてしまった。
以来、大会に出るとあの人の姿を真っ先に探している自分がいた。
とにかくあの人の走る姿が好きだった。
レースで何度か競い合ううちに親しく言葉を交わせるようになり、スプリンターとしてだけでなく、走ることへのストイックなまでの想いにも惚れ込んだ。
歳も一つしか違わないからこの先もライバルになると確信していたし、たぶん口にしなくてもあっちも同じ気持ちでいてくれたはずだ。
そう、間違いなく俺たちは世界を目指すスプリンターの同士だった。
なのに、いつからか普段でも気になって、会えればそれだけでめちゃくちゃ嬉しくて、
そのくせ本人を目の前にするとなぜか緊張して、自分のレース以上に心臓のバクバクが止まらなくなり――俺は恋に落ちたことをやっと自覚した。
そうか、俺は鷹比良さんのすべてが好きなんだ。
そろそろウォーミングアップを切り上げようかとふと横に目をやると、少し離れた場所で鷹比良さんと浅腹さんの二人が談笑しているのが見えた。
鷹比良さんの表情を伺うと、甘さを含んだ瞳が穏やかに輝いていた。伍厘の閉会式のときもあんな表情してたなと思い出し、少し胸が痛くなった。
あのときは気を利かせたつもりでわざと二人にさせた。もちろん本当は俺だって一緒にいたかった。
けど--鷹比良さんの気持ちを考えたら、なんだか二人きりにしてやりたくなったのだ。
結局、鷹比良さんは気持ちを伝えたのだろうか。でもあれから二人の間に特に変化は見られなかったように思う。
自分の恋心を自覚してまだ間もない頃、俺は鷹比良さんの視線の先にいる存在にも気付いてしまった。
知ったときは正直言って敵わないと思った。
レースでこそなんとか勝てるようになったけど、浅腹さんの持つ功績や人望や人柄を考えれば、俺はまだまだあの人に追い付いてさえいない。
あの人は俺にとってもものすごく偉大で、それこそ神様のような人だ。憧れてるし、尊敬もしてる。嫉妬心すら沸いてこなかった。
それどころか俺だってあの人のためにもメダノレを取ろうと必死だった。
リレイでのメダノレ獲得は浅腹さんの夢であり、鷹比良さんの夢であり、そして俺の夢でもあって。あ、もちろん据え継さんも。
そしてその夢は本当に実現した。
『浅腹さんにメダノレを』という気持ちは最後まで諦めないで貫いた鷹比良さんだったけど、自分の恋の成就は最初から諦めていたのかもしれない。相手を思いやれる優しい人だから。
でも、俺はただの意気地なしだな……。鷹比良さんを追って同じ企業にまで就職したけど、未だに一歩が踏み出せない。
小さくため息をついたあと、雑念を払うように目を瞑り頭を振った。
今はレースに集中しよう。
一度肩で深呼吸をしてからそのまま二人に近付いた。
俺に気付いた浅腹さんのほうから声を掛けてきた。
「調子良さそうだな」
「ええ、今日は浅腹さんにきっちり引導渡すつもりっすから」
今日のレースは絶対に負けられない。この人でさえ叶わなかった夢を、今後は俺が掴みにいくのだから。
俺の言葉を聞くと、浅腹さんは満足そうな笑顔を見せて頷き、肩をポンと叩いて去っていった。
鷹比良さんはその後ろ姿をしばらく見つめていたが、ふいに俺のほうを振り返った。
「足の具合、もう大丈夫なのか?」
「大丈夫っす。かなり調子いいし」
「うん、期待してる。日本短距離界のエースは束ポンだから」
「鼻先で負けるって言ったくせに……」
昨日言われたことが面白くなくて軽く睨むと、いたずらっぽく笑った。
「あれは願望」
「もっとひでえ……」
「でも複雑なんだよな。浅腹さんには勝ってほしいけど、束ポンが負けるところも見たくないから」
「なんすか、それ?」
投げやりぎみに言うと、鷹比良さんは俯き加減に少し首を傾げ、考え込むような表情になった。
「国内だけじゃなくてさ、世界戦でも束ポンが負けるのを見るのはすごく嫌なんだよな。無茶なこと言ってるとは自分でも思うけど……。他の人だといつも少しでも上位に食い込んでほしいと思って見てるのに、束ポンのときはとにかく負けてほしくないって思う。なんでだろうね」
最後はにっこりと笑って俺を見る。
なんか、それってけっこうすごいことをさらりと言ってると思うんだが……。
意識してしまったら心臓が大きく脈を打ち始める。
「それって俺だけ?」
「うーん、そうだね」
つまり俺だけ特別なんだ。ってか、これってじつは期待していいんじゃないか。もしかして本人気づいてないだけで、意外と俺に惚れてたりしないか?
自分に都合良すぎる妄想かもと思いつつも、なんだかニヤニヤが止まらない。
鷹比良さんはそんな俺の考えに気付くはずもなく、「良いレースにしよう」と笑顔で離れていった。
スタート時間が近付いてきても、さっきのやり取りが頭に浮かんで口元が緩みそうになって困った。
さすがに浮ついた気持ちじゃまずいと、気を引き締めるように両手で顔を強く叩いた。大きく深呼吸してスタートラインに着く。
よーし、もう俺は決めた。この想いを諦めない。これからは全力で鷹比良さんにぶつかってく。今はその心が他の人に向いてたって、最後に笑うのは俺だ。
もっと良い色のメダノレも鷹比良さんも両方手に入れたいなんて、俺ってかなり欲張りらしい。でも夢は追い続ければ叶うってことは、浅腹さんを傍で見ていて身を以って知ってしまったから。
「On your murk!」
スターターの号令が掛かった。両手両足の先まで神経を行き渡らせ、呼吸を整える。
「Set!」
腰を上げ、前を見上げた。
もう前しか見えない。迷いはない。ただ全力で走るだけ。
そう、いつか絶対あなたを振り向かせるときまで。
秋空に乾いた銃声が響くと同時に、俺は勢いよく前へ飛び出した。
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ジツハドノカップリングモ萌えナンダ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お粗末さまでした。攻め受けはご想像におまかせします…
このページのURL: