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VOCALOID マスター×KAITO「夢中」中編

某化炉マスター×海人。マスター視点。オリキャラ注意
後編がなかなか切れずに中編になりました

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガ オオクリシマース

急に寒さを感じて、真っ暗な夢から意識が戻ってくる。
酒が抜けたんだろうか。まあ、あれだけ飲めば冷えるか。
薄く目を開けると、パソコンの電源が落ちている。

少し重い頭を動かして、違和感を覚えた。下にあるのが、枕の感触じゃない。
冷えた体に少しずつ温もりをくれるそれは、自分のものじゃない。
明らかに他の、人のもの。

そこまで考えて、まだ寝ぼけてるのか、と我ながら呆れる。
この部屋にオレ以外の人間が、誰がいるってんだ。

バカバカしくなって仰向けになると、
オレが枕だと思っていたのは、誰かの膝の上で。
そこには人がいた。

寝ぼけ眼が一気に覚めて、混乱が頭の中を一気に走り出す。
泥棒か。空き巣か。強盗か。入る家間違えてるぞ。他を当たれ。
ウチにあるモンで価値のあるものなんてパソコンくらいしかねえ。
でも持ってかれるわけにはいかねえんだ。大事なモンが入ってるんだから。
仕事用ファイルとか書きかけの譜面とかあいつが―――

あいつのことを考えた瞬間、何故か急に混乱が解けた。
冷静になったところで、未だ何もしてこない不振人物の顔を見てやる。

見たことのある顔が、眠るように目を閉じていた。
見たことあるどころか、毎日見ている顔だった。

「……………カイト……?」

無意識に名前を呼ぶと、そいつは目を開けた。

「………マスター……?」
聞き慣れた声で呼ばれて、オレは飛び起きる。
外からの光で少しだけ照らされたその人間は、いつも画面の向こう側にいる
“カイト”と寸分違わなかった。

ああ、人間って混乱が脳みその許容範囲を超えると、何も考えなくなるんだな。
そうやって納得するくらい、オレは落ち着いていた。
ただ単に訳が分からなくなって、呆然としていたとも言えるが。

それはカイトも同じだったようで。
向こうは明らかに驚きを顔に出したまま固まっていたが、
何度か瞬きした後、突然オレの腕を掴んできた。

「……マスター、なんですよね?」
当たり前だろ、と思うような質問に、おう、とだけ答える。
「お前は、カイトなんだよな?」
オレもオレで当たり前だろ、と思われるような質問をして、カイトが頷く。

「どうして………?どうしてマスターが?」
「それはこっちの台詞だ。なんでお前がパソコンから出てきてるんだよ」
お互いに同じような問いかけをして、同じようにまた黙る。
カイトが相当混乱してるのが分かる。まあ、それが普通か。
だってあり得ないことが起きてるもんな。
あり得ない?そうだよ、あり得ないよな。そうかこれは夢か。
にしてもリアルな夢だな。さっきの温かさとか、カイトに掴まれてる感触とか。

一人そんなことを考えていると、それまで静かだった部屋に、音が生まれる。
すすり泣くような声をたどると、カイトの顔が崩れていた。
「……何、泣いてんの」
「っ…すみませ……でも………こんなに近くに、マスターが……」
軽く溜息をついて、オレは手を伸ばして、カイトの頭をぽんぽん叩いてやる。
髪の感触がリアルすぎて、夢なのか現実なのか区別が付かなくなりそうだ。

「…それは、泣くほど嬉しいって意味でとっていいのか?」
オレの問いに、カイトは頷く。腕にあった手が、オレの手に移る。
なんでこれが夢なんだろうな。虚しくなる。

「…まあ、なんでこんなことが起きたのか分からねえけど
オレも、お前と一緒だよ」
そう言って、オレはカイトを抱き寄せてみる。まだ目は覚めない。
そのまま宥めるように頭を撫でていると、カイトが恐る恐る手を伸ばしてきた。
背中に回ってきた手の感触が、温かい。

「マスター。…俺、ずっとこうしたかったんです」
カイトの言葉に釣られて、オレは見下ろす。

「マスターに触れたい。マスターに触れられたい。ずっと、思ってたんです。
そうすればもっとマスターを好きになれるって。…思ってたとおりでした。
俺、今までで一番、マスターが大好きです」
そう言ってカイトは、赤くなった目を細めて笑う。

お前は、いつもそうだ。恥ずかしげもなく好き好き言いやがって。
その度に、オレがどれだけ我慢してるかも知らないで。

オレはカイトの顔に手をやると、口付けた。
一瞬、驚いて身を竦ませるのを無視して、より深く繋ぐ。
舌のぬるついた感触が、生々しい。しばらくそれを楽しんで、口を離した。

「…画面越しより、こっちの方がいいだろ?」
オレが聞いて、息を吐きだしたカイトの顔が赤くなる。
しかし今度はそっぽを向かないで、小さく、何度も頷いた。

ああ、もう夢でいいや。実際、リアルすぎて現実と変わらないし。
むしろ夢だからいい。こんな夢、今後一生見ないだろ。

一息吐いて、オレはそのままカイトを布団の上に押し倒した。
ぼふ、と布に沈む音がして、二つの体がくっつく。

「え……っま…マスター……!?」
カイトが驚きと混乱が混ざった顔を向ける。何か言いたげな口を、もう一回塞ぐ。

「言ったろ。コイビト同士なら、もっと他のことしたいって」
今度はすぐ離して、少し気恥ずかしくなって小声で言ってみる。
カイトは再び顔を赤くした。相当混乱してるのか、口が開いたままだ。

「お前がどうしても嫌っていうんなら、我慢するけど」
軽く頭を撫でて、一応聞いてみる。実際、我慢できる自信はないが。

しばらくオレを見たり、視線を逸らしたりを繰り返して、沈黙が続く。

「………嫌じゃ、ないです」
大分経って、カイトの返事が、再び回された手の感触と共に返ってきた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
また頃合いを見て最後まで投下します。乱文失礼


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