ダークナイト
更新日: 2011-04-26 (火) 17:31:45
映画「闇騎士」より、宿敵二人。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「ヘイ、ヘイ、コウモリちゃん(Batsy)、今夜はずいぶんと手ぬるいじゃないか。取調室で俺に
飛び掛ってきたときの気概をどこへやった? 日曜に懺悔室でお説教でもされたのか?」
問われた彼は鼻を鳴らす。すでに今夜の決闘は済んだ。こいつが何を言おうと、それらはすべて
彼の動揺を誘うための敗者の戯言に過ぎない。仰向いた宿敵の胸に腰を下ろし、相手の腕を
膝で押さえつけ、5atmanはゴッサム史上最悪の犯罪者の動きを注意深く封じていた。
「すぐに警察が到着する。俺がすべきことはお前の拿捕だ。私刑じゃない」
「ヘイ、どうしたよ、ベル? そんなキスで怪物を王子に変えられるとでも思ってるのか?」
クラウンメイクの狂人は現状を恐れたふうもない。敵の尻に組み敷かれている事実などないかの
ように、彼はにやにや笑いを見せつけた。こういった挑発は初めてではない。今回のネタは
“美女と野獣”だ。彼は不快げに目を細めた。
「――変える? ばかばかしい、お前に更生の可能性があるなんて夢は見ちゃいない」
「そうかい! そうだよなあ、俺はいつだって俺だ。じゃあ次は配役を逆にしてみようか!」
けたたましい笑い声に、5atmanは眉を顰めた。Jok3rはおどけるような上目使いで彼の様子を窺う。
「ゴッサム市民の言うことにゃ、俺は犯罪界の道化王子なんだろう? 王子は王子らしく、
ヒロイン(The Beauty)の呪いを解いてやるのが筋ってもんだ。前にも言ったろう、 お前は
呪われてるんだ。お前はルールに縛られて、無理矢理人間の形をしてるだけなんだよ。
怖がるな。俺に任せろ。俺がお前を救ってやる」
Jok3rの舌が鳴る。
「元の怪物に戻してやるよ。安心しろ、うんと優しく――」
拳が飛んだ。
「ぐ……!」
グローブとプロテクターで固められた重い拳に頬げたを張られ、口内を噛んだ Jok3rが苦鳴を
漏らす。怒りのあまり声も出せずに喘いだ5atmanに気つけとばかりに揺すぶられ、彼は
頬まで塗りたくられた赤い化粧を歪めた。
「ハ、ハハ、ハ、ハア! いいじゃないか、だいぶ上手くなってきた! いい調子だが
黙りっぱなしじゃ風情がねえな。サービス精神は大事だぜ? 俺の言ってる意味がわかるか?
もっと『舌を使う』んだ……ガっ! 」
二発目。
「か、ぁ……! ハ、いいぞスウィートハート、素敵なキスだ! 気が遠くなる! お前はどうだ?
鏡を見てみろよ、お前の中の怪物は……う、ぐッ!」
こじ開けた口に移動用のロープを丸めて突っ込み、5atmanは宿敵の軽口を塞ぐ。遠慮の
ない手つきにJok3rはえづいた。くぐもった声で咳き込んでなお愉しげに笑む彼を、 5atmanは
膿んだ傷にでも臨むかのような目で見下ろした。
白んだ空を切り裂いて、警察車両のサイレンが近づいてくる。闇に浮かんでいるときは一種
神秘的な色すら見せた彼の白塗りが、黎明の光の中では妙にうら寂れて見えた。おそらく、己の
5atスーツもそうなのだろう――ブルースの印象を確認するすべはない。ここには鏡がないのだから。
ちらりと通りを確認したブルースは、角を曲がってこちらへ急行するパトカーの群を認める。
赤と青の回転灯が、彼らの影に色を添えた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
「投下する」なんて言う必要はねーんだ…
その言葉を頭の中に思い浮かべた時には! 行動はもうすでに終わってるんだからな!
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