Top/40-412

相棒 小野田×右京と亀山×右京

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

昨日の続きです

昨日投下した文章を読み返してみて
やたら読みにくい、何故?と思っていたのですが
行間をまるで空けてなかったんだなorz

お楽しみいただければ幸いです

先日瓶山から届いたメールには、様々なエピソードと共に、元気でやっていると記されていた。
最後は椙下の体調を気遣う文章で締められており、写真が添付してあった。

沢山の子供達にもみくちゃにされながら、弾けるような笑顔でこちらを見ている。
広い空の下で一日中、強い日差しと風の中に立っているのだろう瓶山の日焼けした笑顔は
匿名係室の狭いデスクに居た時よりずっと魅力的だ。

行きたければ行けばいい、と最初に突き放したのは自分だった。
陽の差さない息の詰まるようなこの部屋は、彼に似合わない。
皮肉でなく本心からそう思った。
出合って8年。長い歳月はすっかり自分を変えてしまった。

彼が自分の部下として配属されたばかりの頃は、なんて足手まといなんだろうと思っていた。
計算し尽くした上での自分の行動に、いちいち口を挟まれるのが不愉快で
明らかに傷つくであろう嫌味をたっぷりと浴びせたことも度々あった。
自分の言葉で心を痛める姿を見るのは決して愉快ではなかったが、申し訳ないとは思わなかった。

今まで幾人もの部下が同じように傷つき、ある者は罵声を浴びせながら、
ある者は憎しみのこもった眼で涙を流しながらここを去っていった。
だから彼もすぐ、ここから居なくなるだろうと思っていた。

それでいい
ここは自分一人のための牢獄だ。問題を起こしたとはいえ前途ある若い部下が
この狭い部屋の中で警察官として生きる目的を失い、朽ちていくのを見るのが耐えられなかった。

だが彼だけは、なぜかここから立ち去らなかった。
離れるチャンスは幾度となくあったのに逃げ出さなかった。
それどころか冷たく背を向けた自分に対して手を差し伸べ、一緒に行こうと笑いかけた。

とまどいつつその手を取ってしまった瞬間、彼の将来を奪ってしまったという罪悪感と共に
今まで感じたことのない甘やかな感情に侵食されていくのが分かった。

そして心に決めた。
彼がここに居る限り、自分は全てを失っても彼を守り抜こう
彼が理由は何であれここを去ると決めたなら、笑顔で送り出そうと。

だから彼が突然、海外へ渡りたい、と思いつめたように報告した時も驚きはなかった。
ただ、ついにこの日が来たのだな。と思った。

それなのに、なぜこんなに空虚なのだろう。
いつだって覚悟はしていた筈なのに。

瓶山が去って幾日もしないうちに、必ず彼が夢に現れるようになった。
もともと浅い眠りではあったが、それが却って夢の生々しさと、目覚めた後の虚無感を強くさせた。
覚醒しているときは、無意識に耳が彼の声を求めている事に気付いた。

もう、ここには居ないのに。その事は誰よりも自分が知っているのに。

だから、夢を見ないように、眠るのをやめた。
声を思い出さないように、音楽で耳を塞いだ。

重々しいバロック音楽はいつの間にか終わり、胸を抉るような切ないピアノソナタが流れ始めた。

「大丈夫ですか!?」
ある日の午後、依頼された書類の束を受け取った瞬間、椙下の膝ががくんと落ち床に倒れこんだ。

「顔色が悪いですよ、今日はもうお帰りになったほうが…」
若い巡査が肩を支えながら、心配した様子で声を掛ける。
「…大丈夫です。早退するかどうかはこの書類を済ませてしまってから考えます」
何事もなかったように散らばった書類をまとめ、いつもの冷静さでデスクに戻ると一枚一枚に目を通し始める。

結局依頼された全ての業務を片付けると、終業時間となっていた。

泥のような足取りで自宅に戻る。
冷たいシャワーで汗を流し身支度を整えると、いつものように全ての灯りを消し、ヘッドフォンを手繰り寄せた。
毛布を繭のように巻きつけ、ベッドの端に静かに腰掛ける。

頭がぼんやりする。手足の先に重りを取り付けたように疲労が蓄積しているのが分かる。

それでも、単純とはいえ山のようにある雑務を黙々とこなしていく匿名係室での時間に不満はなかった。
怖いのは一人きりになる時間だ。耳を裂くような激しいオーケストラに気持ちを逃そうとしても、
ともすれば身体は眠りの淵に誘い込もうとする。

ふっと一瞬でも眠りに落ちてしまえば、そこにはどんなに手を伸ばしても触れることのできないあの鮮やかな残像が
狂おしいほどの甘さを湛えて現れる。
もう、限界かもしれない。

会いたい、と思った
封印していた強い感情がじわじわと湧き上がり、それはあっという間に大きな波となって全身を侵食していく。
わずかに残った理性が、そんな事を考えても無駄だとあざ笑っても、
体中の細胞が一つの大きな意思を持って動き始めるのを止める事ができない。

身体が強く震え出すのを感じ、思わず自分自身を抱きしめる。
最終章に向かって高まりを増していくオーケストラに会わせる様に叫びが発せられようとした瞬間、
ぐっと強い力で抱き寄せられた。

この腕の感触には記憶があった。無理矢理忘れようとしても決して忘れる事ができなかった、
しかしどう望んでも二度と戻らないあの力強いしなやかな腕だ。

きっと夢なのだろう。これまで何度こんな甘い悦びの幻に翻弄されたことか。
しかしいっそもう夢にずぶずぶに溺れるのも、狂いはじめた自分には丁度いいのかもしれない。

抱きしめられたまま腕の中で向きを変えると、視線を上げずに毛布の間から腕を伸ばし、首元に縋りつく。
ヘッドフォンが外され、耳元で囁きが聞こえる。
「卯京さん、痩せちゃいましたね」

思わず顔を上げた。
いつもならここで幻は消えてしまうはず。

そこには瓶山がいた。

「…どうして…」
額に小さなキスを受けながら、震えたかすれ声で呟く。
「向こうでの仕事、大急ぎで片付けました」

自分が今どんな表情でいるのか分からないが、瓶山は少し困ったような穏やかな笑顔で
しきりにそんな顔しないでと囁きながら、繰り返しついばむような軽いキスをくれる。

そしてゆっくりと腕をほどき、真剣な眼差しで正面から見つめると、
求めて止まなかったあの柔らかな弦楽器のような声ではっきりと言った。

「俺は、匿名係の瓶山ですから」

外界を遮断する繭のように身体を覆っていた柔らかな毛布がするりと滑り落ちた。

「ただいま。卯京さん」

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 以上です。おそまつさまでした
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  結局瓶の仕事って何だったんだ?
 | |                | |             \
 | | □ STOP       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ シンガプーラ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

以上です
GJ頂いた姐さん方ありがとうございました

ほんと頼みます…公式…


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP