100-1
更新日: 2011-05-02 (月) 17:58:47
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| またしても勢いに乗って長い100-1パロかモナ!?
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| しかもこの期に及んで2/7/hネタかい!
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ニガテナヒトハスルースイショウ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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釜サワギ~早朝キマシ試験直前までの脳内補完話でつ。
まさかここまでとはな……
自分が一番の当事者であるにも関わらず、俺はどこか冷めた目で眼前の状況を見つめていた。
いまだかつて経験したこともない状況。
自分と同等、いやそれ以上のゲイ/ニンたちが一同に会して文字通りのお笑いバトルを繰り広げている。
台本などあってないようなものだ。
仕切りを任された時から、頭の中でいろいろと最悪のパターンを想定してシュミレーションしたりもしていた。
が、それもこれも冒頭の「お笑い怪獣」登場で全て吹っ飛んでしまった。
あまりに思い通りにならない展開に苛立ちを感じ、余計な一言を言ってしまったような気もする。
とにかく流れを戻すことに必死で、ツッコミが冷たいものになっているのも分かってはいた。
「お前、ツッコミが冷たいねん!」
脳天への激痛とともに大先輩からくらったお叱りの言葉は、俺の混乱に拍車をかけた。
冷たいったって、収めるにはこれしかないやんか……!
混乱を収拾しようとすればするほど、事態は悪化しているような気がする。
冒頭から叫びっ放しだったせいか、声も掠れてきた……こんなん滅多にないのに。
どうしたらいいのか分からず、俺はこの場を逃げ出したいと心底思った。
どないしたらええねん……!!
グッ!
スーツの裾が思い切り引っ張られ、咄嗟に振り返る。
そこには、相方がいた。
本人も結構気に入ってるらしい、ちょっとハズした感じの女装。
このカッコの時は意識して可愛い顔をしているはずの相方の瞳は真剣そのもの。
真っ直ぐに俺を見据える視線の力強さに、俺は一瞬たじろいだ。
「何を……」
してんねん、と小声で言うより早く、相方の唇が動いた。
「落ち着け。尺のことだけ考えろ。無理に収めようとすんな」
静かな、しかし有無を言わせない声で言いたいことだけ言うと、俺の側を離れて混乱の中に紛れてしまった。
3秒ほどの間を置いて、さっきの相方の言葉を反芻する。
落ち着け、か……俺も人のことよう言えんわ。
心の中で苦笑いし、すっと口元を引き締めた。
「はいはい、ええから一回座ろうって!」
とりあえず前半終了やな……
楽屋でスーツを脱ぎ捨て、缶コーヒーを煽ってため息をつく。
あの後も相変わらずのドタバタが続いたが、辛うじて時間通りに収めることが出来た。
息つく間もなく次のコーナーに入り、Vが入っている今がしばしの休息。
かと言って眠るわけにもいかない。次のコーナーまではあと30分ほど。
少し一人になりたい。ここじゃないところで。
タバコを片手に立ち上がると、奥の非常口に向かった。
こういう異常事態の時は、不思議なくらいにバイオリズムが一致するらしい。
非常階段のドアを開けると、先客が座り込んでタバコをふかしていた。
「何しとんねん」
「それはこっちの台詞や。一人になろう思て来たのに」
ワイシャツ姿の小さな身体が、勢い良く立ち上がる。
「ああええっすよ。俺が戻りますから」
「いや……別にお前やったら気にならんから」
飲むか?という声と共にコーヒーが差し出される。
さっき飲みましたから、と制して階段に座り込んだ。
スタッフさえも滅多に入ってこないこの場所は、とても静かだ。
ライターの音とタバコの燃える音が、静寂の中に響く。
「さっきは、ありがとうございました」
「何のことや」
「落ち着け、って言うたやないですか」
「……ああ」
「自分がテンパってたら世話ないっすよねえ」
「……あれは、誰がやったってああなるわ。あんまり気にすんな」
そう言うと、丘村さんは缶コーヒーを一気に飲み干した。
「丘村さんに落ち着けって言っときながら、自分がこれですわ」
「…………」
「やんなりますよ、ほんまに……」
やはり疲れているのだろうか、自嘲気味な言葉が口をついて出てくる。
本番前日、異常に緊張している丘村さんに「落ち着け」とメールを送った。
あんまり一人で背負い込むな、絶対俺がフォローするから、と。
返ってきた言葉はたった一言。
「ヨロシク頼むわ」
この一言に丘村さんの思い全てが込められていることを感じて、思わず身震いした。
丘村さんがどんな状態になっても、俺だけは、俺だけはフォローし続けよう、落ち着いていこうと誓ったのに……
このザマや。
「自分が情けないですわ」
「アホかお前は」
「なっ……」
滅多に吐かない弱音をサラリと返されて、カチンときた。
「なんやそれ。そないな言い方せんでもええやろが」
「するわ阿呆。お前昨日メールに何て書いた?絶対フォローするからって書いたやろうが。
逆もまた然りやろ。お前がおかしなったら俺がフォローする。それがコンビちゃうんか?」
「…………」
「俺のことばっか心配せんと、自分のことも考えろ」
「……すんません」
丘村さんにぴしゃりと言い返されて、グウの音も出ない。
「何や懐かしいな、この感じ」
急にくすくす笑い出した丘村さんをいぶかしげに見つめる。
「高校の頃は、俺がお前を叱ることのが多かったやんか」
「……そうっすね」
そうだった。あの時は俺は後輩、丘村さんは先輩。
試合中、焦って周りが見えなくなった俺に近づき、「落ち着け」と声をかけてくれた。
ハーフタイムに、ふがいないプレーをして落ち込む俺を叱り飛ばしたこともあった。
関係が「相方」に変わって、東京に出てきてからはそういうことも少なくなっていたのだが。
「あん時は、まさかこの年までお前と一緒におるとは思わんかったけどなあ」
「……そうっすね」
それきり、お互い黙り込んだ。
俺は、高校時代から今までのことを思い返していた。
憧れの先輩で、一番仲の良かった丘村さんをこの世界に誘って15年近くになる。
誘った時は、自分たちがここまでになるとは思っていなかった。
丘村さんと2人、楽しいことをやれればそれでいい。
それだけやったのにな……
今じゃいろいろなことに振り回されて、苦しい思いもたくさんして。
それが嫌というわけでもないけれど、たくさんの大事なものをどこかに置いていってしまったような気がする。
違うか?丘村さん……。
「……ほんまはな」
それまで黙っていた丘村さんが急に話し始める。
「あの時、俺もテンパってたんや」
「知ってますよ」
「いや、そうやなくて。お前が……秋刀魚さんにどつかれたやろ?
あん時、俺カーッとなってもうて……相方どつかれて、腹立ったんやろうなあ。
よっぽど秋刀魚さんに噛み付いたろ、と思ったんやけど、余計収拾つかんと思ったからやめたんや」
「…………」
「それでも、お前が秋刀魚さんにどつかれたせいで混乱してんの見るのが辛くてなあ……
俺まで泣きたくなってもうて。だから何もできんかった。お前に声かけるので精一杯やったわ」
ゲイ/ニン失格やな、俺……そう呟くと、丘村さんは小さく笑った。
この人は…………
思うより先に、体が動いた。
丘村さんの肩を引き寄せ、思いきり抱き締める。
俺の胸にすっぽりとおさまった丘村さんは、突然の出来事に身体を強張らせた。
「何やねんな、いきなり」
それには答えず、抱き締める腕にさらに力を込める。
参っている俺に何を言っても無駄と思ったのか、やがて丘村さんは力を抜いて俺に身体を預けた。
「好きや……」
「……そうか……」
「あの時、丘村さん誘って良かった」
「…………」
「丘村さんで……ほんまに良かった」
腰が折れてしまうのでないかと思うほど、強く強く抱き締める。
ネタでも何でもなく、「このまま一つになれたらええのに」と思っている自分に驚いた。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
「……感極まるには、まだ早いで」
言いながら、丘村さんがそっと俺の腕を抜け出した。
じっと俺の目を見据える瞳。
「ここから先は、お前が頼りや」
「…………」
「俺がどんな状態になっても、お前だけは普通にしててくれ。いつものようにしててくれ」
「……分かってます」
丘村さんの真剣な表情を直視することができず、俺は丘村さんに背中を向けて、タバコや空き缶を拾い集めた。
「ボクシングで万一のことがあったら、骨ぐらいは拾ってくれや」
「またあんた、縁起でもないことを……」
冗談めいた言葉に振り返ると、予想していなかった丘村さんの真っ直ぐな瞳があった。
思わず、口をつぐむ。
「100パーセントないとは言い切れんやろ」
「…………」
「そん時は……頼むで」
「……はい」
改めて、この番組と、最後のボクシングに賭けている丘村さんの覚悟を感じた。
今の俺が、丘村さんのためにできることは……見守ることくらいやな。
いつものように、がんばる丘村さんを見守ること。
それが、俺の仕事であり、俺の一番の喜びやから。
俺達は、それから何も言わず、ただ静かに時が流れるのを待っていた。
「谷部さ~ん、丘村さ~ん」
俺たちを呼ぶスタッフの声が聞こえる。
2人揃って姿が見えないものだから、さすがに心配したのだろう。
「……ハーフタイム終了、ってとこやな」
「上手いこと言いよりますね」
何時間ぶりかに口をついて出た「らしい」やりとりに、ニッと笑いあう。
長い長い後半戦も、2人でなら乗り越えられる……
そう素直に思えたことが、この「ハーフタイム」最大の収穫だった気がする。
もう、大丈夫や。絶対に。
「行くで」
「はい」
非常口のドアを開け、歩き出す丘村さんの背中を追いかける。
15年の時を経ても、あの頃と変わらない丘村さんの背中を見つめながら、俺はそっと微笑みを浮かべた。
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| | □ STOP. | |
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コレカラハヒトリデコソーリミマツ…
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