Top/4-267

谷っちと丘さん

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 | __________  | |100-1でコソーリと
 | |                | |           \
 | | |> PLAY.      | |             ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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「かわいいなぁ」

突然谷部は呟いた。
「は?」とその場にいた出演者、スタッフ全員が頭の上に
クエスチョンマークを浮かばせた。
今はテレビ番組の収録中。
収録中なのに、谷部は思いっきり意識を飛ばしていた。
一瞬にして空気が変わったスタジオ。
その空気に気付き、ようやく谷部は現実に引き戻された。
目の前には丘村が、普段でも大きな目を
更におっぴろげて自分を見ている。
「…あ、いや、ち、ちゃうねん。○○ちゃんってかわいいなぁって、おか、丘村さんに…」
しどろもどろに言い訳をする。
谷部はめちゃくちゃ焦った。
ゲストの○○ちゃんも不思議そうな顔で、谷部を見る。
背中に冷や汗が流れる。
「…アホか!お前ちゃんと主語付けて喋れ!お陰で俺が口説かれたんかと思ったやないか!」
ドッと笑い声が溢れた。
何とか丘村さんのフォローでスタジオの空気は
元に戻り、何事もなかった様に進んでいった。

でも谷部の心臓はまだバクバクと激しかった。

(どうしたんや俺…)
収録が終わり、普段以上に疲れた顔をして
谷部は楽屋に戻る。
今日は、いつもの収録。
最初は谷部もいつもの通りに収録を進めていった。
(そう、いつも通りや。なのになんでやねん)
良い感じだった。流れもばっちり、自分も手叩きまくって笑った。
丘村さんも調子がいいみたいだ。
と思ったその時。

パチッと丘村さんが自分を見た。
多分向こうもなんとなくだろう。
いつも見てる顔。のはずなのに。
(この人いつもなんか目ェキラキラしとる)
(ほんと目が綺麗やなあ)
(…かわいいなあ)

そんな気持ちがドバーと頭に流れ込んできて、
無意識のうちに先程のようなことになってしまった。
(いやいかんいかんいかんいかんやろこれは!)
さっきのことを思い出すついでに
またさっきの丘村さんの表情を思い出してしまい、
谷部は意識飛ばす寸前で自分の頬を手でペチッと叩いた。
「あんなん三十路過ぎのおっちゃんやん!」
ペチペチペチッととにかく叩きまくった。
とにかく必死だった。

「お前頭大丈夫か…」
呆れた顔をして丘村さんが扉の前に立っていた。
本当にものすごく呆れていた。
「あ、あんたいつから…!」
「こっち戻る時からすぐ後ろ歩いてましたー」
溜め息つきつつ、よっこいせと丘村が畳の上に座る。

「お前何なの?どっか疲れてんのとちゃう?さっきもいきなり変なこと言うし…」

ちょっと心配してる顔で見つめてくる丘村に、
谷部は再びバクバクバクバクと心臓が五月蝿くなるのを感じた。
(なんじゃこりゃ!この人見て何でドキドキせんなんあかんねん!)
顔熱い。俺多分めっちゃ顔赤くなっとるで。
耳まで真っ赤っかやないか?
タコやタコ!
俺はタコじゃ!
もうタコ焼きにでも何にでもしてくれ…

「聞いとんのかコラ!」
バン、と机が叩かれて、谷部はまた意識が飛んでいたことに気付く。
「は、はい?何ですの…」
「何ですやない!お前やっぱ病院行け病院!頭のてっぺんから足のつま先まで検査してもらえ!」
丘村はキレていた。
こいつ人の話聞いてない!
っちゅうか全然聞く気ない!
「わ、わかった!わかったから…あー、やっぱ調子悪いみたい…俺、も帰るわ…」
このままだったら丘村さんハンパなくきれる…と判断した谷部は、
そそくさと逃げるようにして楽屋を出て行った。

「特に脳みそ見てもらえ!脳みそ!」
ドアが閉まっても聞こえる丘村の声に、
やっぱりまだ胸はバクバクして破裂しそうだった。
(やっぱりおかしい俺)
(ほんまに病院行こうか)

いや、きっと明日になれば大丈夫。
明日になればまたいつも通り。
今日みたいにおかしなことにはならない。
どこにそんな根拠があるのかわからないけど、
谷部はそう思うしかなかった。
そう思いたかった。

「…クソッ」
まるで自分を避けて、
逃げるように帰ってしまった谷部。
出て行ったばっかりの扉を睨み付けて、丘村は悔しそうに呟いていた。

二人とも、頭の中も胸の中もグチャグチャだ。

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 | | □ STOP.       | | まったくもって
                        健全でスイマソン
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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