ゴンゾウ 飯塚→日比野 「イケナイ太陽」
更新日: 2011-04-29 (金) 15:27:45
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| まったくエロくないよこれ
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 勢いのみで書いたらしいよ。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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彼は光だった。
重く暗くどろりとしたイイヅカの闇を唯一照らしてくれる、彼はその名の通りの太陽だった。
「そんなのは幸せとは言えねえ、イイヅカ」
シャブで捕まり取り調べを受けている時、彼は真っ直ぐにイイヅカを見つめてそう言った。
確かシャブに手を出した理由を幸せになれるからだと答えた時だったか。
子供のころから要領が悪く、要領のいい周囲の人間に好いように使われてロクな人生を歩んでこなかった。
だからシャブに手を出したのもごく自然な流れだった。
周囲に色々な物を奪われ続けたイイヅカにシャブは色々な物を与えてくれた。
澄み渡った視界。
濁ったこの世界が明るくなった気がした。
いつもの何倍も速く回転する頭。
己の最悪な現状を頭脳で打開できる気がした。
どこまでも溢れ出る自信。
自分が劣等な人間であることを忘れることができた。
えもいわれぬ快感と幸福感。
快感も幸福もない彼の人生に彩りを与えてくれた。
シャブ中になってから初めて、イイヅカは「幸福」を実感することができた。
そんなイイヅカが幸福に包まれているところに現れたのが若い女刑事である。
そして、取り調べに現れたのはもう少し年上の、つまりイイヅカとあまり変わらない年の彼だった。
彼はきっぱりとイイヅカの「幸せ」を否定した。
「シャブが与えてくれる幸せなんざまやかしだ」
「……俺は、幸せになれました」
「俺ぁな、イイヅカ。幸せっていうのは簡単には手に入れられないんだと思う。
苦労して努力して手に入れるんだと思う。だから簡単に手に入る幸せなんて嘘だ。
確かに世界はお前に優しくないんだろう。俺には分からない苦労だって色々してるんだろ?
だったらまやかしの幸せなんかで満足してちゃだめだ。
ちゃんと本物の、嘘じゃない幸せを手に入れろ。お前にはその権利がある。―――お前になら出来る」
彼は何回も、ゆっくりと噛んで含めるようにイイヅカに話してくれた。
シャブでぼんやりしている頭にも沁み込むようにとの考えだったのだろうと思いついたのは
ムショに入って薬がだいぶ抜けてきてからのことだった。
一回覚えた「幸福」から抜け出すのは楽ではなかった。
かつて逃れ出たはずの世界の闇は彼を再び飲み込んだ。
それはかつてのものより遥かに色濃く凶悪だった。
どろりと重い倦怠感に包まれ頭も体も心も働かなくなった。
辛かった。苦しかった。何故自分だけがこんな目に合うのかと悲しくなった。
シャブを使えばここから逃れられる、と思ったのも一度や二度ではない。
しかし、イイヅカはまともに働かない頭でただ一人の顔と言葉をひたすら反芻した。
幸せになる。幸せになる。幸せになる。
お前になら出来る。お前になら出来る。お前になら出来る。
幸せになるのだ。
シャブを抜いた体できちんと働いて、その金で手土産でも買って井の頭署に挨拶に行くのだ。
あるいは彼が非番の日なら昔の自分を笑い話に酒の一つも奢ってもいい。
きっとお日さまのように笑って話を聞いてくれるに違いない。
それは、イイヅカの唯一の光だった。
イイヅカの闇を照らして進むべき道を指し示してくれる太陽、明るい道しるべだった。
―――しかし、彼は失念していた。
太陽は暖かく周囲を照らすだけではないのだ。
近づきすぎれば周囲を一瞬で燃やし蒸発させてしまうのだ。
彼が可愛がっている後輩が撃たれたとか。
彼が失敗続きだったとか、功に焦っていたとか。
見下していた人間が何故か彼より重用され気が立っていたとか。
そんなことはイイヅカの知る由もなく。
とにかくあの日、太陽はイイヅカを完膚なきまでに焼き尽くした。
結局、とイイヅカは思った。。
結局自分は光など望んではいけなかったのだ。
自分など、このままどろどろした闇に沈んでしまえばいい。溶けてなくなってしまえばいいのだ。
いま、光を失ったイイヅカは完全な闇の中に居た。
……それでも、再びお日さまが降り注ぐことを心のどこかで望んでいる自分が、彼はとても嫌だった。
<了>
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 勢いのみで走ってたな
| | | | ピッ (・∀・ )
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