オリジナル
更新日: 2011-05-03 (火) 13:01:09
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
改まって正座をして文庫本を読んでいたところ、急に膝の辺りに重みを感じ、
彼が視線を落とすと悪戯っぽく輝く瞳と視線がかち合った。
「膝枕ってあんまり気持ちよくないですねえ、なんか硬いし、高いし、首が変だし」
「だったら、さっさとその頭どけろよ、重い」
邪険にあしらわれても、相手は甘えるように彼の太ももに頭をこすりつけ、ひゃひゃひゃと
笑い声を立てながら彼の目の前に右手を突きつける。その手のひらには小さな目薬の瓶が
握られていた。
「俺に目薬差してくれってこと?」
こっくりとうなずく相手に彼はやれやれと苦笑し、本を傍らに置くと、目薬の瓶を受け取って、
背を丸め相手の顔を覗きこんだ。
「行くよ」
一滴、二滴、ぽたりぽたりと雫が垂れる。
「なあ、お前さ」
「なんです?」
「こっちが目薬差そうとする瞬間に目を閉じるから全然差せないんだけど……」
かすかな苛立ちを滲ませる彼の声に、相手は心外だとばかりに切れ長の瞳をぱちぱちと瞬いた。
「さっきから一生懸命開けてますよ!」
抗議の声を上げた瞬間、瞳の周りに溜まっていた差し損ないの目薬が頬に向かって一筋たらりと
流れていった。その雫を指先で拭いながら彼は真面目な顔で、
「目を開ける代わりに口開いているんだけど、その口に差してやろうか?」
と声を押し殺して言うと、相手は
「そう言えば目薬って媚薬の効果あるっていいますよね。飲み物の中に一滴入れるといいって」
改めて瞳を閉じて、待ち構えるように口を大きく開ける。
「バカだな、ほんとに」
彼は諦めたように首を振り、今度は無理やり相手の瞼をこじ開けて今度はきっちり目薬を差してやった。
一仕事終えて、やれやれと大きくため息をつくと、相手も同時に残念そうにため息をつく。
「残念。その気にムラムラになれるかと思ったのに」
「そうやってなんでもかんでもシモの方向に持っていくの、止めろよな。溜まった男子中学生か、お前は」
ぐいっと大きな手のひらで相手の頭を押しのけて、彼はそそくさと先ほど読んでいた本を取り上げた。
しかし、さっきまで夢中になって読んでいたはずなのに、今度は気が散って集中できない。
目薬で潤んだ瞳と目じりから零れ落ちる透明の雫、そして間抜けな半開きの唇。それがあることを
連想させて、どうにも落ち着かない気分にさせられてしまった。
溜まっているのは自分の方かという彼の自己嫌悪に気づいているのか、
「じゃあ、お礼に狭い穴に棒を突っ込んでぐりぐりとしてあげますよ!」
能天気な相手の声に釣られて顔を上げると、その手には耳かきが握られて、しっかりと正座をして
待ち構えている相手がいた。
「……痛くするなよ?」
「任せてくださいよ」
ぽん、と相手は膝を打ち、彼の顔に浮かんだ微妙な表情をどう捉えたのか、
「どうせ俺はシモネタ男ですから」
と屈託無く笑う。
多分、相手の考えている以上のことを自分はやらかしてしまうのだろうなというかすかな予感に
かすかに脅え、そして期待しつつ、彼はその膝に頭を預けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
このページのURL: