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銀魂 定×銀→高

SilverSoul?スレで頂いたネタで自CPに絡めて投函。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ただいま戻りましたよ~っと」
ほろ酔い加減で家に辿り着き引き戸を開ければ、シンっとした部屋が俺を出迎えた。
神楽は今夜は新八の家に泊まりだ。
それゆえにこれ幸いと久々に飲みに出かけたんだが、
誰もいない部屋に帰ってきて違和感を感じるなんざ、俺もそうとうヤキが回ったのかね。
紅桜の件以降たまに考え込んじまう俺を気遣ってか、
こうして時々一人にしてくれるのはありがたいんだが…
逆に賑やかな方があいつの事を考えなくて良い分楽なんだぜ。
自嘲気味な笑いが知らずに零れたが、どうせ誰も居ねぇんだ。
気にする必要もねぇ…って…
「うおっ!」
居間を横切ろうとした俺は何かに蹴躓いてそのまますっ転ぶ。
衝撃を覚悟して目を瞑ったが、次の瞬間訪れたのはポフッっという柔らかな感触と弾力感。
「なん…ああ、定春か」
床に寝そべっていた定春の腹に倒れこんだらしい。

すぐに起き上がろうとした俺は、しかし頬に感じる柔らかな毛並みと温もりに、
なんとなく顔を離すことが出来なかった。
柔らけぇなぁおい。銀さんが一日おきにブラッシングしてやってるお陰だぞー。
視線を向ければ定春は気にしたふうもなく眠ったままだ。
助かった…起きてて齧られでもしたら今度こそ彼岸を見るね!
にしても…やべぇ、なんかマジ気持ちイイ。
ゆっくりと揺れる腹が揺り篭のようで、
ふわふわと擽る毛皮が誰かの手のようで、
伝わる温もりが人肌のようで、
決してそんな甘い記憶に心当たりはねぇが、
それに近いものを確かに共有していた記憶が心の片隅に今もしつこくこびり付いている。

……ぎんとき……

耳の奥でこだまする懐かしい声。
姿も雰囲気も変わっちまってたけど、あの瞳と、
俺を呼ぶ時の独特の声音だけは変わってなかった。
俺が置き去りにした、あの時のまま…。

ツキンと小さく胸が痛み、僅かに身体を丸めて、俺はきつく目を瞑った。
あいつを思い出すと、後悔しか湧いてこねぇってどうよ。
あれが最善だと思って、それを信じてあの場から去ったのは俺自身じゃねぇか。
なんで今更後悔なんか…。
「ん…?」
不意にふわり、と身体をかすめた柔らかな感触に顔を向ければ、
定春の尻尾がふわふわと揺れて、俺を宥めるかのように優しく触れていた。
「定春…?」
顔を向けても今の姿勢からは定春の顔は見えなかったが、
スピスピと寝息が聞こえる事からして寝ぼけているらしい。
まるで母親が赤ん坊をあやすかのようなその行為に、知らずに笑みが零れる。
「んだよ、甘やかすんじゃねぇよバーカ」
そのくすぐったい様な心地よさに、笑い含みに擦り寄れば、
独特の獣臭があの黒い獣を思い出させる。
そっけないくせに、それでも気が付けばいつの間にか傍に居た。
あいつの体温を傍で感じている時だけが、まだ生きている事を実感できた時間だった。
今の俺は、お前から見たら、生きてんのかな?死んでんのかな?
もう一度会って、確かめさせちゃくれねぇか。

「なぁ、高杉……お前に、会いてぇよ」
声に出してみたら、それは自分が予想していた以上に深刻さを帯びていて、
俺は思わず嗤ってしまった。
酔いとこの温もりが相俟って、いつになく本音が零れ落ちてしまう。
こんな女々しい自分なんて、とてもじゃねぇがガキ共には見せらんねぇ。
ああ、今夜ここに居るのが定春だけで本当に助かった。
「定春ぅ~今の、聞かなかった事にしろよ。誰にも云うんじゃねぇぞぅ。
 俺とお前だけの秘密、だからな」
ぱふぱふとその身体を叩いてそう云うと、パサリ、と大きく尻尾が揺れた。
別に返事を期待してた訳じゃねぇけど…ったく、男前過ぎて嫌んなるね。
少しだけ軽くなった心を抱いて、俺は定春の温もりを感じたまま眠りに付いた。
明日はいつもよりブラッシングに手をかけてやろうと、そう思いながら。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
SilverSoul?初書きが定×銀って…orz


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