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とあるスポーツの世界に身を置く人たち

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

とあるスポーツの世界に身をおく人たちの話。
元ネタはあるけど、ここでは敢えてぼかしておきます。

遠くに競技場が見下ろせるホテルの部屋が、彼の居場所だった。
夜が更けても未だ撤収作業の続くその会場の照明をじっと見入る彼の後姿。
もう休んだら、と声をかけたが、
うん…と生返事をするだけで、彼はそこから動こうとはしなかった。

次の日も、彼は同じ場所に立って、同じ場所を眺めていた。
もうそこはもぬけの殻で、昨日のあの興奮はどこへやら、といった感じだったが
それでも彼はあの景色を目に焼き付けようとするように、
漆黒の瞳を大きく開いて、じっとそこを見ていた。

まさか、昨夜からずっとそうしていたのだろうか?
昨夜この部屋を出る時、悪戯心で部屋のカードキーを拝借して行ったのだが
それすら気付かない程に彼は酷く物思いにふけっていたらしい。

「朝ご飯食べないの?」
1ミリの乱れも無い彼のベッドのシーツに目を遣りながら声をかける。
だが彼は突然の不法侵入者を気に留めるでもなく
「お腹すいてないから…」
と掠れたような声で返事をした。

これはそうとうキてるらしい。
普段の明るくて朗らかな美しい声を知っているだけに、
さすがの僕も彼の事が心配になった。

彼の心の内は手に取るように解る。
だが彼には、勿論僕にだってどうしようもない問題なのだ。
彼等は最善を尽くしてきた。
逆境の渕に追いやられても尚、歯を食いしばって耐えてきた。
昨日の彼の活躍がいい例ではないか。

「お腹が空いてなくても何か食べた方がいい。ルームサービスを取ろうか?」
「いいから少しほっといてくれないか?」
苛立たしげに振り返った彼の顔は憔悴しきっていて、今にも泣き出しそうな
そんな酷い顔をしていた。
「君にどうこう言われたくないよ。僕は……っ…」
彼が言い終えるより早く、僕はベッドを飛び越えて彼の身体を抱きしめた。
驚いて目を丸くしている彼の顎を取り、その唇を荒々しく塞ぐ。
腕の中で暴れる彼を窓に押し付け、その呼吸を奪うように執拗に口腔を弄る。
口端から掬いきれなかった唾液が溢れ、彼の白いシャツを浸食した。

「…僕にだって言わせてくれないか?」
荒い呼吸で睨みつけて来る彼の顔を覗き込みながら、僕は言った。
「僕だって終わらせたくない。この次も…何度だって、君と同じフィールドに立ちたいと思ってる」
「……うそだ…」
弱々しく頭を振って俯く彼を再度胸に抱いて、僕は遠くに見えるあの場所をじっと睨みつけた。
「嘘でこんな事しない…僕は、まだ、君を愛している。君の側にいたい思ってる」
赤く染まった彼の耳朶に小さくキスすると、緊張で固まっていた彼の身体が弛緩するのがわかる。
縋るように僕のシャツに縋り付いて来る彼。
「僕だって……好きだよ…」
彼の小さな呟き声。今の僕にはそれで充分だった。

「落ち込むのはまだ早いよ。答えが出たわけじゃない。まだ、僕らはここにいるんだから」
そう言うと彼は小さく頷き、僕の背中に腕を回してきた。

「まだ終わりじゃない」

反射する太陽の光の中で僕らは、もう一度唇を重ね合わせた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
改行多杉と言われたので1レス分伸びてしまいました。
お目汚しスマソ。


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