Top/37-208

実力行使

エ/フ/ワ/ソ 眉黄身 ※ナマモノ注意!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「タイトノレを取って何か変わりましたか?」
初めて王者になると必ずこう訊かれる。それも繰り返し、何百回もだ。
たいていは「何も変わらない」と答える。
だが今俺は、タイトルを取ってから変わったことを一つ見つけた。
自分のことじゃない。彼のことだ。
去年までは40回誘って1回会ってくれれば良い方だった。
でも今年からは、4回誘えば3回は会える。
俺は今日も彼を誘った。3回のうちの1回になるだろうか?
「早めにスペイソに来てよ。着いたら連絡して。美味い店を知ってるから一緒に行こう。」
2時間くらい経った頃「着いた」と連絡が入った。彼にしては早い。
4回のうち3回ある幸運。それに加えて、早めの待ち合わせ。今日は幸先が良い。
俺は浮き足立ちながら、彼の元へと向かった。

ホテルの1階にあるレストランで舌鼓を打った後、
「嬉しそうだね。何か良いことでもあった?」
と、彼に突然訊かれた。彼に質問されたことに内心驚いた。
けれども、顔には得意気な笑みを浮かべることにした。
「そりゃ、まあね。」俺が意味深な言い方をするので、彼は首を傾げた。
「最近たくさん会えるから、嬉しくて。」
正直にそう答えた途端、彼の耳は目に見えて真っ赤になった。色白だとわかりやすい。
今すぐこの場でその耳にキスしたい。でも理性で衝動をねじ伏せた。
そして俺は、一番訊きたかったことを口にした。
「たくさん会えるようになったのはなんで?」
彼は不機嫌な顔をして口を閉ざした。一度ウォッカを口に運び、唇を湿らせる。
するとウォッカが口を滑らかにしてくれたらしい。彼がぼそぼそと何か口走った。
「え、ごめんもう一回。」
俺が促すと、悪戯が見付かった子どものような顔をして彼は口を開いた。
「悔しさで頭がいっぱいの時には、会えないよ。」
俺は不意打ちを喰らった気がした。

「悔しがってた?俺相手に?」
彼は憮然とした。
「当たり前だろ。そっちが2回優勝した間に、こっちは『いつ優勝するんですか?』
 って200回は訊かれてた。悔しがらない人間が居たらそいつは感情が殆ど無いよ。」
「(そう思われてたからアイスマソって呼ばれるようになったんじゃないか…)
 いつも、俺相手に悔しいなんて答えてなかったじゃないか。」
「今答えてるじゃないか。」
「だったら俺の前以外でも言って欲しい。」
「いやだ。」
「どうして。」
「俺が誰の前で何を言うかは、俺が決めて良い筈だから。」
彼の言葉で言葉の応酬は途切れた。彼のこういう所が好きだ。好きだから取り付く島が無い。
俺はポケットにカードキーが入っているのを後ろ手で確認しながら席を立つと、
彼の腕を引いてすぐに部屋へと向かった。
エレベーターで昇って、駆け足で出て、ルームキーを開けると飛び込むみたいに中に入って、彼に口付けた。
壁と俺に挟まれて、彼はキスの合間に苦し気な吐息を漏らした。
赤い耳にも口付けた。仰け反った首筋にも。

二人でベッドに倒れ込んで、シャツをたくし上げた。
たくし上げた隙間から手を滑り込ませて、彼の肌に触れながら服を剥ぎ取る。
太ももの間に顔を埋めると彼は堪えきれなくなって、鼻に掛かった小さな声をあげた。
彼の体を慣らして俺自身が入り込む。何度も奥まで入ると、彼の足が絡みついて来た。
律動の波に飲まれてそのうち俺たちは達した。
荒い呼吸を繰り返しながら、上気して頬が赤くなっている彼の顔を覗き込む。
「悔しいってもっと言われたい。」
彼は何も言わずに俺の目を見ている。
「あと、あれ。『俺には関係ない』も、俺の関わる話題ではもう無しにしてよ。」
彼はまだ黙っている。俺は悪戯心を起こして、ちょっとだけ、彼の腕をつねった。

「いっ…て、何する…!」
「実力行使。」俺はニヤッと笑った。
彼の口が半開きに開いたので、不満を漏らす前に唇で塞いでしまった。
唇の次は、つねった腕に口付けを落とした。
俺は顔を上げて彼の目を覗き込み「こっちも実力行使」と言って笑って、続けた。
「あとさ、4回誘ったら4回会って。」
「いっぺんに色んなことを言うね。」
彼は、欲張りなんだな、と言ってあの青い目で俺を軽く睨む。
でもすぐにニヤッと笑って付け足した。
「だけど欲張りも悪くない。」
舌先をちょっと舐めるような笑顔に我慢できなくなって、俺はまた彼に口付けた。
見覚えのある笑顔だと思ったら、それは彼が去年優勝した時にチ-ムクル-の前で見せていた笑顔だった。
彼の上機嫌の笑顔なのだった。

木曜のプレ力ンでは彼と隣り合わせになった。
飛び出した質問はやはり、必ず訊かれるだろうと思っていた、会長の発言に対するコメントだ。
質問の矛先は彼へと向かった。
「会長の発言には賛成ですか?」
俺は横から彼の表情を伺っていた。
訊かれた彼はいつも通りの表情。今にもあの一言が出そうだ。
―俺には関係な…
俺は隣から手を伸ばして、彼の腕をつねるフリをした。
彼は一瞬驚いた。すぐに意味深な眼差しを浮かべると、
「この質問には答えないほうが良さそうだね」と言ってあの笑顔を浮かべた。そして爆笑した。
俺も堪らなくなって大笑いした。
実力行使はアメと鞭。
そう、俺は欲張りなんだ。
つねるフリをしたから、あとでちゃんとキスもしないとな。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本ヌレ269姐さん萌え狂うネタ投下ありが㌧!!


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP