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コーラおいしいです 奥×手前

こーらおいしいです でお馴染みのAA
奥×手前です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「くるまにあたって、おかねをもらうしごとがあるみたいですね」

そうですか、とだけ返しておいた。
台所からビチャビチャと得体の知れない音がする。
カレーでも作っているのかもしれないが、食べられるものでないのは容易に想像がついた。

「これでわたしもにーとじゃなくなります」

そう言って振り向いた顔はやたらいい笑顔だった。
きもちわるいと呟きながら、自分も台所に行き食器を出した。
一人分だけ、もちろん自分のものではない。
いいかげん自分の責任は自分で取るものだということを覚えてほしい。
ちらりと見た鍋の中から、奇妙な色のどろりとしたものが溢れていた。

「わたしはね、」

カタンと一人分の料理がテーブルの上に置かれる。想像していたより臭いはキツくなかった。
何もないリビングで、テーブルをはさんで向かい合って座る。

「おもうのです」

『なにを?』と聞く前に、彼は料理を一口食べた。
そしてすぐに口の端からだらりと垂らしてしまった。

「いとこのゆうたろう、あなたはわたしのいとこです」

彼の顎を伝ったそれが、ぽたりとテーブルに一滴落ちる。なんとなくそれを見つめていた。
そしてまた、なんとなく相槌は打たないでいた。顔さえ見ないでいた。
ぐるぐると食器の中のものをかきまぜるスプーンと、それを持つ彼の手だけが視界の中で動いていた。

「いとこなどでなければ、にーとのわたしがわざわざあなたをやしなおうなどとはおもいません」

ぽた、とまた一滴。

「でもゆうたろう、あなたでなければ、わたしはあたりやさんなんてしませんよ」

カチャン、とスプーンがテーブルに置かれる。

「そうですか」

それだけしか言えなかった。
責任を取る、ということは覚えてほしかった。しかしここまで望んだ覚えはない。
まるでけっこんしているみたいだと、頭にぼんやり浮かんだことは口に出さなかった。言えば付け上がるのが見えている。

「ゆうたろうは、わたしがかえったときにどあをあけてくださいね」

からだがちぎれていたらどあはあけられませんしね、と彼はその手をゆっくりこちらに伸ばしてきた。
机の上においていた自分の手に、彼のその指先が触れる。

「ゆうたろう、あなたとわたしはいとこです」

触れたところから、じわりと融け合う。しまった、と思う頃には、彼の顔が目の前にあった。

「いとこはけっこんできるんです」

奇妙な色の料理を傍らに、指先からどんどん融合してゆく。
置き去りのスプーンが、自分達の姿を小さく反射していた。

「そうですか」

融けかけの喉から、精一杯の言葉を吐いた。
その言葉をどうとったのか分からないが、満足したような『ゆうごう たのしいです』という声が、ぼやけていく意識の中で小さく聞こえた。
 いとこはけっこんできるんです、いとこはけっこんできるんです。
交ざりあう爪先を見つめて、さっきの彼の言葉を反芻する。
(こんなに融け合うなんて)

あなたいがいに、だれがいる。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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